2022年05月13日

一ノ瀬俊也『軍隊マニュアルで読む日本近現代史』


副題は「日本人はこうして戦場へ行った」。
2004年に光文社新書から刊行された本を改題して文庫化したもの。

明治・大正・昭和初期に刊行された「兵営事情案内・軍隊教科書」「手紙例文集」「式辞・挨拶模範」などのマニュアル本を丹念に読み解いている。そこから見えてくるのは、軍隊や戦争に関する人々の意識のあり方である。

これらの軍隊「マニュアル」は現代のものと同様、安価で誰でも買える、一冊だけを見ればありきたりとしか言いようのない本である。おそらくそのためか、これまでの歴史学研究の中で積極的にとりあげられることもなかった。

そうした本を数多く収集・分析して歴史学の研究に役立てた目の付け所が、非常に冴えていると思う。そこには、単なる建前でも本音でもない人々の心情が滲んでいたのだ。

一般の兵士でも現役服役中は結婚できない。だから家事上妻帯を要する場合には、なるべく入営前に正式な婚姻をしておかねばならない。なぜなら万一戦死した場合、国家から支給される扶助料の受給資格が内縁の妻にはないからである。
陸軍の兵士観は、『歩兵操典』の文言を見ただけでは決して知りえない。「捕虜になるくらいなら死ね」などとは、そのどこにも書いていないからである。
各「マニュアル」は戦争、徴兵制軍隊の存在を人々に納得させて受け入れさせる説得¢葡uの役割を果たしていたのである。

公的な文書や書物からだけでは見えてこない軍隊の実際の姿が、マニュアルという通俗的な本を通じて浮かび上がってくる。非常に視点の鮮やかな一冊だ。

2021年4月30日、朝日文庫、740円。

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2022年05月12日

講座「アイヌと短歌」

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5月22日(日)11:00〜12:30、毎日文化センター(大阪梅田)で「アイヌと短歌」という講座を行います。

バチェラー八重子、違星北斗、森竹竹市らアイヌの歌人の短歌を読むとともに、北原白秋、前田夕暮、与謝野晶子らがアイヌの集落を訪れて詠んだ短歌も紹介し、アイヌ民族の歴史や多文化共生について考えます。

教室受講とオンライン受講の併用講座となります。ご興味のある方も、特に興味はないけどという方も、ぜひご参加下さい!

http://www.maibun.co.jp/wp/archives/course/36106

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2022年05月11日

朝日新聞夕刊

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本日の朝日新聞夕刊の文化面に、インタビュー記事を載せていただきました。

デジタル版も公開されています。有料記事ですが分量は長いです。
https://www.asahi.com/articles/ASQ567W3RQ3VUCVL00T.html

『踊り場からの眺め 短歌時評集2011‐2021』は、版元の六花書林やamazonに在庫があります。
http://rikkasyorin.com/syuppan.html

私の手元にもありますので、ご連絡いただければ振込用紙同封・送料無料でお送りします。5月28日(土)の「ふらッと短歌」にも持って行きます!

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2022年05月10日

公益財団法人日本生態系協会『にほんのいきもの暦』


2009年にアノニマ・スタジオから刊行された単行本の文庫化。

立春から大寒に至る二十四節気それぞれの特徴と動植物の様子を、カラー写真入りで紹介している。

身も凍るような寒さの中、二十四節気では春を迎えます。(…)中国から伝わった陰陽五行説には、寒さが極まり底をつけば、それから後は暖かくなっていくという考え方があります。そこから、一番寒いときに春が生まれるとされたのです。

これまで漠然と旧暦と新暦のずれによって立春が寒い時期に来るのだと思っていたのだが、そうではなかった。昔も今も立春は寒い時期に来るのである。「暦の上では春ですが」と思うのは暦の問題ではなく、昔と今の季節感(季節をどのように区分けするか)の変化の問題なのであった。

四十雀(しじゅうから) 体重は十五グラム程ですが、1年に食べる虫は10万匹を超えるといわれています。
日本では、螢といえば清流を思いうかべる人が多いかもしれませんが、その多くは森や草はらでくらしています。
鳳蝶(あげはちょう) 幼虫が、天敵の攻撃や厳しい気象条件、食べものの奪い合いなど、さまざまな困難を乗り越えて無事に蝶の姿となれる確率は、わずか一、二%です。
(常緑樹は)何年も同じ葉をつけているわけではなく、落ち葉そのものの量は、落葉樹とくらべてほとんど変わりません。古い葉が落ちる前にちゃんと次の葉が生えているので、一年中青い葉をつけているのです。

こうして読んでみると、身近な自然についても知らないことがたくさんあることに気が付く。

2016年12月25日、角川文庫、960円。

posted by 松村正直 at 07:37| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月09日

朝日新聞のインタビュー記事

朝日新聞デジタル版に「伝わる批評とは何か 10年分の時評をまとめた歌人・松村正直さん」というインタビュー記事が載りました。

時評集『踊り場からの眺め』(六花書林)のこと、短歌を始めた函館時代の話、河野裕子さんの思い出など、いろいろ喋っています。

https://www.asahi.com/articles/ASQ567W3RQ3VUCVL00T.html

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2022年05月08日

現代歌人集会春季大会

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7月23日(土)に神戸で現代歌人集会春季大会が開催されます。
大会テーマは「歌の読み方・読まれ方〜震災からコロナまで〜」。

・基調講演(林和清)
・講演(松村正直)
・パネルディスカッション(笹川諒、平岡直子、山下翔、江戸雪)

一昨年、昨年とコロナ禍で開催できず、三年ぶりの開催となります。
皆さん、ぜひ来場下さい。

posted by 松村正直 at 18:55| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月07日

石原真衣編著『アイヌからみた北海道一五〇年』


2018年の「北海道命名一五〇年」を祝う行事についての違和感や疑問をきっかけに、30数名のアイヌの人々から寄せられた声や物語をまとめた一冊。

北海道の歴史をアイヌの側から捉え直すとともに、アイヌに対する差別の問題や今後の共生のあり方を示している。

「サイレント・アイヌ」の沈黙はさまざまである。アイヌであることが嫌で隠す。アイヌとして生きたいけれど、それができないから、隠す。アイヌの出自を持つことを知っているが、歴史や物語、文化について何も継承していないがゆえに、何を語っていいかわからない。(石原真衣)
今から五〇年前、二風谷では金田一京助氏の歌碑が建立された。碑文と石に刻まれた寄付者一覧が当時の状況を現代に伝えている。一番驚くべきは、今では悪名高い児玉作左衛門氏の名前もそこに刻まれていることだ。(萱野公裕)
近年、アイヌの文化がもてはやされていますが、アイヌは文化民族なのでしょうか? アイヌを名乗る人、アイヌを名乗れない人、アイヌでない人たちに、アイヌの真の歴史を考えてほしく思います。(戸塚美波子)
アイヌ語教室などで教えてくれる学者さんには、よくぞアイヌ語を勉強してくれた≠ニ感謝の気持ちがありますが、自分の民族の言葉を学者に習わなければならない情けない状況をつくった責任は国にあると思います。(山本栄子)

印象的なのは、アイヌの人々と一口に言っても非常に多様だということである。コミュニティとの関わり方も、住む場所も、祝賀行事についてのスタンスや考え方も、一人一人違う。これは考えてみれば当り前なのだけれど、忘れがちなことかもしれない。

例えば、イベントで和人がアイヌの衣装を着て踊ることについて「一緒にやってくれてありがとう、広めてくれてありがとうという気持ちで接したい」という人もいれば、「アイヌ民族を、和人の一部と貶めているのだ。だから、こんなでたらめが起こるのだ」と反発する人もいる。

もちろん、それは単に正反対の考えということではなく、その根底に先住民族アイヌに対する長い差別の歴史があることを踏まえて考えるべき問題なのだ。

30数名の文章のうち5名の方は「匿名」になっている。その事実こそが、差別が過去のものではなく今もなお続いていることを、何よりも雄弁に示している。

2021年9月25日、北海道大学出版会、1600円。

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2022年05月06日

「別邸歌会」参加受付中!

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関西各地のレトロな建物で2か月に1回、歌会をします。歌会は初めてという方もベテランの方も、どなたでもお気軽にご参加ください。

第1回 6月26日(日) 姫路文学館望景亭(兵庫県姫路市)
第2回 8月6日(土)  旧三井家下鴨別邸(京都府京都市)
第3回 10月2日(日) 旧水口図書館(滋賀県甲賀市)
第4回 12月11日(日) 今井町にぎわい邸(奈良県橿原市)

時間はいずれも13:00〜17:00。参加費は会場費を均等割り、ただし1000円を上限とします。

詠草2首を司会宛に(参加者が多い場合は1首にしますので、優先順位を付けて)お送りください。

ご参加、お待ちしています♪

チラシはこちら→「別邸歌会」チラシ

posted by 松村正直 at 07:23| Comment(0) | 歌会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月05日

都道府県のイメージ

「○○県と言えば?」と聞かれて、真っ先に思い浮かぶイメージ。

北海道:乳牛
青森:りんご
岩手:小岩井農場
秋田:なまはげ
宮城:ササニシキ
山形:最上川
福島:桃
茨城:霞ヶ浦
栃木:日光
群馬:富岡製糸場
埼玉:
千葉:落花生
東京:山手線
神奈川:横浜
山梨:ぶどう
新潟:雪
長野:松本城
静岡:富士山
愛知:トヨタ
岐阜:斎藤道三
富山:ホタルイカ
石川:白山
福井:そば
三重:伊勢神宮
滋賀:琵琶湖
京都:神社仏閣
奈良:大仏
和歌山:みかん
大阪:たこ焼き
兵庫:神戸
岡山:桃太郎
広島:原爆
鳥取:砂丘
島根:出雲大社
山口:長州藩
香川:うどん
徳島:阿波踊り
愛媛:道後温泉
高知:坂本龍馬
福岡:明太子
大分:カボス
佐賀:吉野ケ里遺跡
長崎:ちゃんぽん
熊本:くまモン
宮崎:ヤシの木
鹿児島:桜島
沖縄:美ら海水族館

埼玉県だけ、私の頭のなかに見事に何もなかった。
申し訳ない。
posted by 松村正直 at 13:39| Comment(2) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

映画「コーダ あいのうた」

監督・脚本:シアン・ヘダー
出演:エミリア・ジョーンズ、トロイ・コッツァー、ダニエル・デュラント、マーリー・マトリン、エウヘニオ・デルベスほか

第94回アカデミー賞の作品賞、脚色賞、助演男優賞を受賞。

タイトルの「コーダ」(CODA)はChildren of Deaf Adult/sのことで、聴覚障害者の親を持つ子を指す。
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20151008-OYTEW52654/

このところ映画を観て泣くことが多くなった。齢を取ったということだろうな。実生活ではほとんど泣かないのだけれど。

出町座、111分。
posted by 松村正直 at 09:01| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月04日

木村聡『さしすせその仕事』

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副題は「本物の調味料を作る本物の人」。

「週刊金曜日」2007年5月18日号から2008年9月26日号の連載を一冊にまとめたもの。

味噌、塩、みりん、酢、ソース、砂糖、ケチャップ、醤油など、各種の調味料を作る現場を訪れて取材したドキュメンタリー。

「調味料は主役ではなく、あくまで脇役です」
調味料の役どころを示す控えめで、謙虚な物言いだが、しかし裏側に「主役が映えるのは調味料があってこそだゾ」という職人の自負を感じてならない。
もともとみりんは甘い酒として広まっていた。家庭で調味料として使われ出すのは戦後になってからと新しい。
加工用トマトは赤系に分類され、ピンク系の生食用のトマトより色が鮮やか。ケチャップの濃い赤色とは、まさにこの加工用トマトの完熟色にほかならない。
醤油製造会社は大正時代には全国で約一万二〇〇〇社、戦後でも六〇〇〇社以上あったという。味噌ほど多彩ではないが、地方ごとに個性豊かな醤油蔵と味が存在した。しかし、その数は年々減り続け、現在は一六〇〇社ほど。

手間と時間をかけて作られる調味料の持つ豊かな味わい。こうした背景を知ると、値段が高くても良い調味料を使ってみようという気持ちになる。

2009年5月1日、株式会社金曜日、1800円。

posted by 松村正直 at 21:21| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月02日

ペーター・ヴォールレーベン『後悔するイヌ、嘘をつくニワトリ』


本田雅也訳。
副題は「動物たちは何を考えているのか?」

2018年に早川書房より刊行された単行本『動物たちの内なる生活―森林管理官が聴いた野生の声』を改題・文庫化したもの。

リス、ニワトリ、ミツバチ、ノロジカ、ウマ、クマムシなど様々な動物たちについてのエッセイ41篇が収められている。

人間は「目の動物」で、視覚に頼って狩りをする。だから人間に獲物として狙われる動物は、その視界から消えることを目指すことになる。
大人のウサギの寿命は平均して二年半だけれども、序列の違いが寿命の差と連動していることが確認されたのだ。いちばん下位のウサギは、性成熟に入ったあと数週間もしないうちに死ぬ。
では、ヨーロッパアマツバメは? 彼らは止まり木になど、決して止まらないのである。必要以上は一秒たりとも、地面や巣にとどまっていない。眠くなれば、飛びながら寝る。

著者の一貫した興味・関心は、動物にも感情や心があるのかという問題だ。これは現代の科学ではまだ証明できない点も多いのだが、著者は動物たちにも人間と同じ感情や心があると固く信じている。

人間はおもに感情によって動かされているのだから、目の前の相手の感情の動きをとらえてるためのアンテナを私たちだって備えているはずだ。そして、その相手が人間ではなく動物だというだけで、そのアンテナが機能しなくなるわけがあるだろうか?

本書の原題は「Das seelenleben der Tiere」(動物たちの魂の生活)なので、単行本『動物たちの内なる生活』の方が直訳に近い。しかもベストセラーになった「Das geheime Leben der Bäume」(樹木たちの知られざる生活)の続篇だということがわかりやすい。
https://matsutanka.seesaa.net/article/485621898.html

どうして改題したのだろう?

2021年7月15日、ハヤカワノンフィクション文庫、900円。

posted by 松村正直 at 17:39| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月01日

今後の予定

・ 5月22日(日)講座「アイヌと短歌」(大阪、オンラインあり)
 http://www.maibun.co.jp/wp/archives/course/36106

・ 5月28日(土)ふらッと短歌(新宿)
 https://matsutanka.seesaa.net/article/486299770.html

・ 6月12日(日)「パンの耳」第5号を読む会(神戸)
 https://matsutanka.seesaa.net/article/486965996.html

・ 6月26日(日)第1回別邸歌会(姫路)
 https://matsutanka.seesaa.net/article/486730353.html

・ 7月23日(土)現代歌人集会春季大会(神戸)
・ 8月 6日(土)第2回別邸歌会(京都)
・ 8月27日(土)講座「啄木日記から見た短歌」(くずは)
・10月2日(日)第3回別邸歌会(滋賀)
・10月16日(日)シンポジウム(宮城)
・10月23日(日)文学フリマ福岡
・12月11日(日)第4回別邸歌会(橿原)

posted by 松村正直 at 23:38| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月30日

雑詠(016)

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憲吉は三次(みよし)の生まれ弟の三之助のちに原爆に死す
失われもうないものを言うときにむしろ生き生きとことば輝く
用のある人のごとくに晴天の四条大橋をわたりくる猫
捜索するヘリコプターをそれぞれの「本社ヘリから」撮りたるが載る
会うたびに知らない人になってゆく息子と食べるチーズフォンデュを
ちょうどいい加減はなくていつ見ても木香薔薇が咲き過ぎている
かろやかな鳥にも歌はなれるけどあらがいながら昇りゆく凧

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posted by 松村正直 at 22:47| Comment(0) | 雑詠 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月29日

講座「アイヌと短歌」

 講座「アイヌと短歌」チラシ.jpg


5月22日(日)11:00〜12:30、毎日文化センター(大阪)で、「アイヌと短歌」という講座を行います。

バチェラー八重子、違星北斗、森竹竹市らアイヌの歌人の短歌を読むとともに、北原白秋、前田夕暮、与謝野晶子らがアイヌの集落を訪れて詠んだ短歌も紹介し、アイヌ民族の歴史や多文化共生について考えます。

教室受講とオンライン受講の併用講座となります。ご興味のある方も、特に興味はないのだけどという方も、ぜひご参加下さい!

http://www.maibun.co.jp/wp/archives/course/36106

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2022年04月28日

甲斐みのり『地元パン手帖』

グラフィック社
発売日 : 2016-02-05

全国各地のご当地パンを紹介した本。

全国規模の大手のメーカーではなく、その町その町の業者が作っている地元のパン。味も形も包装も昭和っぽくて懐かしい感じがする。

昭和50年代から郡山市内のパン屋がつくりはじめるようになったクリームボックス。
新潟ではバタークリームを塗ったコッペパンをサンドパンと呼び複数の店が製造。
石川県の多くのパン屋でつくられるホワイトサンド。
高知県内のほとんどの製パン会社がつくるぼうしパン。

など、地域色満載。

京都伏見の納屋町商店街にある「ササキパン本店」も紹介されていて、早速パンを買いに行ってきた。以前から古いお店だとは思っていたけれど、大正10年の創業なのだとか。

お菓子好きが高じて地元パン採集をはじめ、地元パンを愛するゆえに、パンのよき友である、牛乳やコーヒーまでにも食指が動くように。好き≠ェするする広がって、慕わしい味が増えていく。

著者の地元パンへの愛情がたっぷり詰まっていて、豊富な写真を眺めているだけでも楽しい一冊だ。

2016年2月25日第1刷、2016年6月15日第5刷。
グラフィック社、1500円。

posted by 松村正直 at 07:41| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月26日

太田匡彦、北上田剛、鈴木彩子『岐路に立つ「動物園大国」』


1882(明治15)年に日本で初めての動物園が上野に誕生して、今年で140年。動物園は大きな曲がり角を迎えている。

当り前のように町に動物園があって、珍しい動物が見られた時代はもう終った。ワシントン条約による輸入制限や余剰動物の取り扱い、希少動物の種の保存、動物福祉の向上、生息域の環境保全など、動物園は様々な問題を抱えている。

ライオンは繁殖が容易で、一度に3頭前後を産む。「赤ちゃん」のうちは人気があるから増やす動物園は多いが、成長すると近親交配や闘争のリスクが出てくる。
ちなみにウェイティングリストができるアシカは、メスに限る。なぜなら、体が大きいオスはショーに使うには危険で、水族館側はオスを望まないためだ。だからオスは、やはり余剰になりやすい。
そもそも動物園から別の場所へと移動させられること自体が、動物にとって負担になる側面もある。動物園動物の診療に携わる獣医師は、「種の保存のためには動物の移動は避けられないが、移動によって健康を損なうリスクがある」と明かす。

つい先日、神戸から岩手へ移送する途中にキリンが死亡したという事故のニュースが流れたばかり。
http://kobe-ojizoo.jp/info/detail/?id=512

今、動物園は存在意義を問われ始めている。それは、動物園の側だけでなく、市民であり観客である私たちの側にも突き付けられた問題なのだ。

2022年3月20日、現代書館、1800円。

posted by 松村正直 at 21:03| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月25日

『北海道のトリセツ』


副題は「地図で読み解く初耳秘話」。

道路地図や旅行ガイドブックで知られる昭文社が刊行する「トリセツシリーズ」の1冊。2019年9月に刊行が始まり、2022年1月の『高知のトリセツ』で47都道府県すべて揃ったとのこと。

このところ、北海道に関する興味・関心が私の中で強くなっている。写真や地図が豊富で、「地理」「鉄道」「歴史」「産業」「文化」と話題の幅も広く、知らない話がたくさん載っていた。

また北海道に行きたくなってきたな。

2020年11月15日1刷、2021年8月1日3刷発行。
昭文社、1400円。

posted by 松村正直 at 19:01| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月24日

井堂雅夫『平成版浮世絵 京都百景』


絵師として長年にわたって活躍した井堂雅夫(1945-2016)の多色刷り木版画の作品集。「清水寺」「三千院」「鴨川」「伏見稲荷大社」「金閣寺」「天橋立」など、京都を舞台にした100の風景が描かれている。

木版画は絵師と彫師と摺師の共同作業。その伝統を守るべく、井堂はギャラリーに併設する形で版元・歡榮堂を立ち上げた。

多色刷り木版画の伝統を継承していく観点からも、木版の世界に生きる職人が、将来にわたってより良い展望を持てるようにすることが必要と考えた井堂は、歡榮堂が平成の版元として、その役割を果たす象徴的な仕事に「京都百景」を位置づけた。

100点の作品にはすべて彫師と摺師の名前が明記され、「21版24度刷り」など版木の数や刷りの回数も記されている。多くの手によって一つの作品が生み出されることがよくわかる。

作品に添えられた短い文によれば、井堂は見たままの風景を描いているだけではない。

この作品に描いた桜の木は実際にはないが、急に桜を描きたい衝動に駆られた。(直指庵)
私は、手前の何もなかった空間に赤い寒椿を活けたくなった。(宝泉院)
木版画の下絵を描く段になって、雪景色の二条城にしようと思い立った。(二条城)

以前、川瀬巴水の展覧会を見た時にも感じたことだが、様々なアレンジが絵には施されており、晴れの景色が雪景色になることもある。
https://matsutanka.seesaa.net/article/483817956.html

これは、「写実」の短歌にも当てはまる話だろう。

2009年5月20日、京都新聞出版センター、1800円。

posted by 松村正直 at 09:43| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月23日

「パンの耳D」を読む会

 パンの耳Dちらし.jpg


6月12日(日)に神戸市東灘区文化センターで、魚村晋太郎さんを招いて「「パンの耳D」を読む会」を行います。どなたでもご参加いただけますので、参加希望の方はご連絡ください。

同人誌「パンの耳D」も販売中です。
https://masanao-m.booth.pm/items/3605117

チラシはこちら→パンの耳Dちらし.pdf

posted by 松村正直 at 11:33| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする