2026年05月27日

「週刊エコノミスト Online」

「週刊エコノミスト Online」に『啄木ごっこ 多面体の肖像』(角川文化振興財団)の書評が載りました!

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20260519/se1/00m/020/003000d

現在発売中の「週刊エコノミスト」6月2日・9日合併号にも掲載されているようです。書店で探してみよう。

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2026年05月26日

秋田

今日は秋田市内の観光です。

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2026年05月25日

角館

今日は角館観光です。

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2026年05月24日

盛岡(2日目)

啄木関連の文学散歩。
9:00〜15:00

常光寺(啄木誕生の間、六地蔵)、石川啄木記念館・玉山歴史民俗資料館、道の駅・もりおか渋民(レストラン「啄木亭」)、宝徳寺、渋民尋常小学校、齊藤家、渋民公園(啄木一号歌碑、鵜飼橋)、IGR好摩駅(啄木歌碑)、夜更森園地(啄木歌碑)、好摩小学校(啄木歌碑、啄木胸像)

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2026年05月23日

盛岡(1日目)

国際啄木学会2006年盛岡大会へ。

10:00〜10:20 総会
10:30〜12:00 研究発表など
13:30〜17:30 シンポジウム「啄木・賢治の現在地」
18:00〜   懇親会

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2026年05月22日

岡井隆『森鷗外の『沙羅の木』を読む日』


「未来」2013年8月号から2016年4月号に連載された文章をまとめた本。

訳詩と創作詩と短歌「我百首」を収めた鷗外の『沙羅の木』(1915年)を読み解きつつ、現在の短歌や詩の話、そして自らの思いをつらつらと記している。


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・『『赤光』の生誕』(2005年)
・『鷗外・茂吉・杢太郎』(2008年)
https://matsutanka.seesaa.net/article/387138273.html
・『森鷗外の『うた日記』』(2012年)
https://matsutanka.seesaa.net/article/387138707.html
・『木下杢太郎を読む日』(2014年)
https://matsutanka.seesaa.net/article/389907439.html

これら四冊に続く内容で、五部作の最後の本と言っていいだろう。なぜか、この本だけ本棚に置いたまま読んでいなかった。

鷗外が、意外に、流行に弱いというか、新しもの好きといったところは、『沙羅の木』の中の創作詩に、市電の姿が実写されていることからもわかる。あれは、ただの日常詠でもなければ身辺詠でもない。
今読むと、この象徴詩(薄田泣菫『白羊宮』の「わがゆく海」)は、あまり魅力がない。近代詩がたどらなければならなかった、ある場面だとは判っていても、どうも面白くない。事実、現代詩の世界で、いま泣菫や有明を読むことはほとんどない。
『沙羅の木』が出ておよそ百年になるというのに、詩壇の反応は、ほとんどなかったようにみえるのはなぜだろう。(…)これは、詩壇だけでない。「我百首」に代表される鷗外の短歌についても、歌壇は冷ややかだったのだ。

これについては、その後、今野寿美『森鷗外』(笠間書院)や坂井修一『森鷗外の百首』(ふらんす堂)が出て、少し状況が変ったと言っていいだろう。

坂井は上記の本の参考文献に岡井の3冊の本を挙げながら、「岡井隆の著作は、森鷗外の研究書として読むのではなく、一人の現代歌人が森鷗外の詩歌をどのように感受したかというエッセイとして読むのが良いだろ」とわざわざ注記している。

そこには岡井への対抗意識が表れていて面白いのだが、もともと岡井は研究書として書いてはいない。自ら楽しみながら、学びながら、思索しながら書いている。そこが岡井の持ち味と言っていい。

詩人のデエメルの自伝(鷗外訳)を紹介しながら岡井は、

「初めの妻」とあるからには、次の妻も出てくるのだろうと思って読む。鷗外も、ドイツ留学中のエリーゼや、いわゆる「かくし妻」を入れれば、志げは四人目の女性である。こうしたデエメルの率直な記載に当って、いろいろ考えたに違いない。

と書いている。鷗外がデエメルの自伝の家族関係を翻訳しながらいろいろ考えただろうと想像しているのだが、私(読者)はこれを読んで岡井も「いろいろ考えたに違いない」と想像する。

文章を書く、文章を読む、という行為には、そんな入れ子構造のようなところがある。

最後にもう一つ。
鷗外が晩年に奈良で作った漢詩が引かれている。

南都有鳴鹿  南都に鳴く鹿がいる
(略)
男酔将杖打  酔っぱらった男は鹿を杖で打ち
(以下略)

以前、「外国人が奈良の鹿を蹴る」といった話題が広まったけれど、何のことはない、百年前の日本人も鹿にずいぶんひどいことをしているのだ。

2016年7月10日、幻戯書房、3500円。

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2026年05月21日

栗木京子歌集『夢のあとさき』

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2022年から2025年までの作品430首を収めた第12歌集。

植物は枯れゆくときに香をもてり雪の晴れ間の庭に出づれば
昼すぎの「のぞみ」に開く本のなか死体は三日経て見つかりぬ
殺人の罪を問はるるロシア兵二十一歳の肌透きとほる
下くちびるゆつくり出して目を閉ぢる昼の電車の中の赤子は
顔か、いや筋肉ならむ夜の風にむらむら揺るる藍のあぢさゐ
貼られゐるお品書きには一字づつ二重丸付き居酒屋暑し
北朝鮮の兵はロシアの兵となり蜥蜴の色の軍服を着る
水あればなにゆゑ遠くへ行きたいと思ふのだらう春の浜名湖
実山椒の緑すがしき店先に双子を乗せたバギーのとまる
むらさきの花房出でて蜂と蜂はじき合ひつつ空へと飛びぬ

1首目、「植物は」とあることで、人間は、私はとの連想が広がる。
2首目、新幹線に乗っている現実の時間と小説の中の時間が交わる。
3首目、「二十一歳」という年齢を入れたことで身近に感じられる。
4首目、上句の描写がいかにも赤ちゃんという感じ。描写は大事だ。
5首目、「筋肉」と捉えたことでまるで闇に蠢く獣のようになった。
6首目、いかにも居酒屋という感じがする。賑やかで少し暑苦しい。
7首目、「蜥蜴の色」が絶妙。色の話だけでないイメージが重なる。
8首目、川や海を通して水は世界へとつながっているからだろうか。
9首目、上句の「み」の頭韻。季節感と爽やかさと生命力を感じる。
10首目、「はじき合ひつつ」が巧みだ。クマバチの勢いと力強さと。

2026年5月10日、本阿弥書店、2500円。

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2026年05月20日

出石(その3)

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出石明治館。

1887(明治20)年に出石郡役所として建てられた擬洋風建築。水色の壁がおしゃれ。メインの観光ゾーンから少し離れているので、誰もいなくてひたすら静か。


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旧出石郡長室。


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1708年創業の「出石酒造」の酒蔵。
漆喰を塗っていない赤い土壁が印象的だ。


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出石旧福冨家住宅。

生糸を扱う豪商だった福冨家の離れ。1892(明治25)年に建てられたもの。


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こちらは主屋の2階。1912(明治45)年竣工。


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中庭を囲むように、主屋・離れ・土蔵などが建ち並んでいる。

和みますな。

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出石(その2)

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出石永楽館。

1901(明治34)年に開館した芝居小屋。1964(昭和39)年に閉館したが、2008(平成20)年に改修工事を経て再開した。


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館内の様子。
映画「国宝」のロケ地ということで、見学客が多かった。


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舞台からの眺め。


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奈落(地下)の通路。
花道の下の部分だ。


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廻り舞台を動かす装置。
手動で回すようになっている。


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町に咲いていた睡蓮。
きれいですな。

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2026年05月19日

出石(その1)

豊岡で別邸歌会を開催した翌日、出石へ行った。

豊岡駅からバスで約30分。現在は豊岡市の一部になっているが、2005年の合併前は出石町であった。かつての出石藩の城下町。


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まずは出石城跡へのぼる。
見えているのは復元された西隅櫓。


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本丸跡のさらに上に有子山稲荷神社があり、参道には鳥居が並ぶ。


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城跡から眺めた出石の町。
重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。


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出石藩家老屋敷に座る人形。
リアルな姿なので部屋に入ったとき一瞬驚いた。


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出石のシンボルでもある辰鼓楼(しんころう)。
1871(明治4)年に建てられた時計台で、高さは約13メートル。


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マンホールの図柄も辰鼓楼。


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山口誓子の句碑。「新蕎麦を刻む人間業ならず」

出石は蕎麦が有名で50軒ものそば屋があり、その一つ「五萬石本店」の前に立っている。

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2026年05月18日

無料動画

YouTubeやZoomで見ることのできる私の講演やトークイベント、講座などのご紹介です。

【YouTube】
◎講演「言論統制と啄木」
2026年5月6日の啄木祭での講演。43:40頃から。
https://www.youtube.com/watch?v=12uxc2eS0lQ

◎松村正直さん新歌集『について』を読む会
2025年10月開催の「N学短歌プラス」の特集部分
https://www.youtube.com/watch?v=YzHXpuKlueE

◎松村正直『駅へ』復刊記念トークイベント
2021年3月27日に開催された野兎舎主催のトークイベント
https://www.youtube.com/watch?v=E8QcAIAp6bU

◎アンソロジー『戦争の歌』(松村正直)を読む
2020年8月12日に開催された野兎舎主催のトークイベント
https://www.youtube.com/watch?v=jN3CYty61oc

【Zoom】
◎短歌のコツスペシャル第二弾
2026年5月12日に笹公人さんと行ったNHK学園の講座
https://college.coeteco.jp/live/gzjcyvn2

◎オンライントライアル講座
2023年4月に小島なおさんと行ったNHK学園の講座
https://college.coeteco.jp/live/523wc9vn

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2026年05月17日

映画「ナースコール」

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監督・脚本:ペトラ・フォルペ
出演:レオニー・ベネシュ、ソニア・リーゼン、アリレゼ・バイラムほか

スイス・ドイツ合作映画。

旅先で映画館に立ち寄るのが好きで、以前も訪れた豊岡劇場に来たところ、ちょうどタイミングよく上映されていた作品。

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人手不足の州立病院で働く看護師の準夜勤の様子を描いたドラマ。

冒頭から同僚、看護学生、入院患者、患者の家族、医師との慌ただしいやり取りが続く。病院を舞台にした群像劇のようでもあって、ぐいぐいと引き込まれる。

とにかく忙しい。次から次にするべき仕事はあるし、用事を言いつけられるし、ナースコールは鳴るし、携帯電話も掛かってくる。

主役のフロリアはプロ意識の高いベテラン看護師だが、それでもトラブルやミスや患者の死に直面して感情が揺れ動く。

何かするたびに常にアルコールで手指消毒するのも印象深かった。

豊岡劇場、92分。

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2026年05月16日

第26回別邸歌会

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13:00から兵庫県豊岡市にある「豊岡稽古堂」で、第26回別邸歌会を行った。

1927(昭和2)年に建てられた旧豊岡町役場で、現在は1階と3階が豊岡市立交流センター、2階が市議会議場になっている。「稽古堂」という名前はかつての豊岡藩の藩校に由来するもの。

参加者は9名。一人2首の計18首について議論した。いつもより参加者が少なかったが、その分、濃密なやり取りができたように思う。

16:30終了。近くの和食店「なか井」で夕食&お喋りをして解散。

次回は6月22日(月)、横浜市の大倉山記念館で開催します。

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三上延『ビブリア古書堂の事件手帖X』


副題は「扉子と謎めく夏」。

「ビブリア古書堂」シリーズも「栞子さん」が7冊に「扉子」が5冊で12冊目。最初に出たのが2011年なので、もう15年も続いていることになる。
https://matsutanka.seesaa.net/article/387138686.html

今回登場するのは、『シャーロック・ホームズの歸還』、森山大道『写真よさようなら』、中原中也『山羊の歌』。正直なところ本の謎解きとしては物足りないのだが、このシリーズだけは今も読んでしまう。

「扉子+恭一郎」のペアが、かつての「栞子+大輔」に重なって、近所のおじさんのような立ち位置で応援してしまうのかもしれない。

2026年4月25日、メディアワークス文庫、890円。

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2026年05月15日

もう夏だな

今日の京都は最高気温29℃。

もう夏だな。
半袖でも汗ばむくらい。

体感的に言うと、

冬・・・12月1月2月
春・・・3月4月
夏・・・5月6月7月8月9月10月
秋・・・11月

といった感じ。

過ごしやすい時期というのが年々減ってきている。
おそろしい。

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2026年05月14日

山下多恵子『かなしき時は君を思へり』


副題は「石川啄木と五人の女性」。

啄木と深い関わりを持った5名の女性(妻の節子、娘の京子、橘智恵子、小奴、母のカツ)を取り上げて、その生涯や啄木に与えた影響を考察した本。随所に鋭い分析が光っていて読み応えがあった。

作品はいいけれども人間としては駄目な奴だった、という旧来の啄木伝説を、鵜呑みにする人はさすがに少なくなってきたようです。
カツと節子の不和の、その根っこの部分に、啄木という人間に対する認識の違いがあったように思われます。それは「嫁姑」という関係だから、ではなく、つまりは、カツは「石川一」を愛し、節子は「石川啄木」を愛したのです。
全部で二十二首の歌。ここに啄木の潜ませた暗号が、智恵子に伝わっていたかどうか。二十二というのは、智恵子にとって意味のある数字でした。彼女は明治二十二年生まれ、そのとき数え年二十二歳でした。

「あとがき」に記された次の文章にも共感した。

昨今はやりの「作品を作者から切り離して読む」という読み方を、私は採りません。血を抜き肉を削ぐような無残な行為と思われて……。作者がいのちをかけて、魂を込めて書いたものを、どうしていのちや魂を抜いて読むことができるでしょうか。

私の『啄木ごっこ』は全体に女性に関する記述は少なめだったので、その意味でもいろいろと教えられる一冊であった。

2020年10月20日、未知谷、1800円。

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2026年05月13日

『啄木ごっこ』の書評・感想

3月に刊行した『啄木ごっこ 多面体の肖像』の書評・感想などが少しずつ出始めています。ありがとうございます!

・恒成美代子ブログ「暦日夕焼け通信」(4月9日)
  http://rekijitsu.cocolog-nifty.com/blog/2026/04/post-4f91f6.html
・岩手日報「郷土の本棚」(4月26日)
  https://www.facebook.com/photo/?fbid=1280542677614728&set=a.113242544344753
・藤野早苗ブログ「南の魚座 福岡短歌日乗」(5月5日)
  https://minaminouo.exblog.jp/38600496/
・門哉彗遙note(5月11日)
  https://note.com/hull1960/n/nf667b5e008f6
・寺阪誠記note(5月12日)
  https://note.com/teratanka/n/na4e64efd3b92

近年、書籍の出版・流通をめぐる状況は悪くなる一方です。いつか買おうと思っていても、売行きが悪ければあっという間に絶版となり、在庫も処分されてしまいます。

引き続き、『啄木ごっこ』のご購入、SNS等での宣伝、図書館へのリクエストなど、ご協力よろしくお願いします。

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2026年05月12日

今井むつみ・秋田喜美『言語の本質』


副題は「ことばはどう生まれ、進化したか」。

私たちに身近なオノマトペを切り口にして、子どもがどのように言語を習得するのか、そして言語が現実世界とどのように結び付いているのかといった問題を追求している。

ベストセラーになっている本だが、確かにとても面白かった。言語学だけでなく、認知科学や発達心理学などさまざまな知見が盛り込まれている。

日本語の「かたい」という形容詞はいかにも硬く、「やわらかい」という形容詞はいかにも柔らかく感じられる。「かたい」はk、tという阻害音を、「やわらかい」はy、w、rという共鳴音を含んでいる。そのため、日本語を知らない外国人に「どちらがsoftでどちらがhard?」と聞くと、多くの人が正解する。
言語は目の前の物事だけでなく、その場にないものや過去・未来の出来事も話題にすることができる。つまり、言語はモノや事柄がイマ・ココに存在するか否かに縛られず、時空を超えて物事を語ることが可能である。
ことばが多義になる原因はほかにもある。想像によって意味を派生させようとする志向性である。この志向性によって、ヒトは、決まりきった使い方にとどまっていられず、つねに隠喩・換喩によって意味を発展させ、新しい意味を創り出そうとする。
つまり言語習得とは、推論によって知識を増やしながら、同時に「学習の仕方」自体も学習し、洗練させていく、自律的に成長し続けるプロセスなのである。

人間はまずオノマトペによって身体(現実世界)と言語の結び付きを獲得し、さらに言い間違いや推論の失敗を繰り返しながら言葉を学んでいく。その際、単に言葉を学ぶだけでなく言葉の学び方も学んでいくというところが言語習得の鍵と言っていいのだろう。

2023年5月25日初版、2025年3月20日12版。
中公新書、960円。
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2026年05月11日

お土産

昨日、大阪に住む息子から連絡があり久しぶりに会った。

ゴールデンウィークに友だちとウズベキスタンを旅行したそうで、現地で買ったTシャツやお菓子、栞、香辛料をお土産にくれた。

社会人3年目で相変わらず仕事はいやだと言いながらも、元気にやっているようだ。

店で一緒に食事をしたら全額払ってくれた。息子に奢られるのは初めてかもしれない。

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2026年05月10日

橋本喜典『混濁の彼方に』

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昭和21年に著者(2019年逝去)が自作した本を遺族の方が出版したもの。昭和19年8月から昭和20年末までの日記を元に書かれた自伝的小説である。

満年齢で15歳から17歳まで、旧制中学4年から旧制高校1年にかけての時期。勤労動員で仲間とともにマグネシウム工場で働きながら、青春の悩みを語り合い、勉強し、受験して、やがて終戦とその後の混乱に直面する様子が描かれている。

こんな生活ではいけない! と云ふ感情がどっと押し寄せた。勉強しよう、勉強しようと思ふ心が、彼を痛みつけた。しかし疲れ切った体は、机に向ってもさう永くはもたなかった。
彼等はこの三月、豊島中學を卒業してゐたが、戰の実相は、彼等に上級学校に於ける勉強を與へず、当局は彼等をして、尚三ヶ月間、同工場に留める措置にでてゐた。
彼等は、お互に友人のサインを求め合った。卒業寫眞は寫眞屋が戰災の爲、あはれ灰燼に歸してしまひ、「金三円也」は誰の懷に入ったのか、彼等には何ら思ひ出の種とてもないからだった。
義夫は漢詩や新体詩、和歌等が大好きだ。未だ下手だけれども、よく作ろうと心掛けてゐる。誰だって始めから上手な人はゐない。好きで努力するのは美しいことだ。

勉強したくてもできない戦時下の困難な状況にあっても、仲間と励まし合いながら精一杯に日々を生きていた姿が、生き生きとした文章で綴られている。陸軍士官学校や海軍兵学校に入学する同級生を駅まで見送りに行ったり、仲間と秩父に山登りに出掛けたり、空襲が続く中でも自分たちのやりたいことを貫いている。

蒼波のわだつみの声に杭を打つ「だまれ」はかつての軍人言葉
/橋本喜典『行きて帰る』

橋本さんは晩年、戦争や社会状況に関する歌を多く詠んでいるが、その背後にはこうした自身の戦争体験があったことを、あらためて深く感じさせられた。

素晴らしい本、価値のある本だと思う。出版にご尽力された娘の佐怒賀悦子さんにも感謝したい。

2026年5月1日、3000円。

posted by 松村正直 at 10:37| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする