副題は「狩る、食う、そして自然と結ばれる」。
雑誌「渓流」に連載された「現代マタギ考」全17章を改題してまとめたもの。狩猟する人々への取材とともに、自らも狩猟免許を取得して猟をするようになる経緯が記されている。
土に残る微細な足跡が、いつ刻まれたものかの判定が重要になってくる。(…)しかし、雪が降れば話はべつで、見切りは格段に楽になる。きのうまでなかった足跡があれば、それはもちろん昨夜から今朝のものに決まっているのだから。
熊の脂は、古くから切り傷や火傷の特効薬として用いられてきた。しかし、医薬品と銘打てば薬事法に抵触する。だから、肌に潤いを与える商品として販売するのだ。つまりはスキンケアであり、化粧品として売るのである。
近年は、センサーによって罠の捕獲をスマホに伝えてくれるシステムまであるという。時代の変化といえばそれまでだが、その便利さが猟の上達に繋がるわけではない。むしろ額に汗して山に登り、罠を見まわって、山の囁きに耳を傾けてこそ、動物の動きが見え、工夫が生まれるのである。
奥会津、山形・小国、南会津の猟師に加えて、京都で罠猟をする千松信也さんも登場する。
2021年4月1日、つり人社、1800円。