2022年07月08日

青年団「ソウル市民」

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兵庫県豊岡市の江原河畔劇場へ青年団第94回公演「ソウル市民」を観に行く。作・演出:平田オリザ。


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1989年初演で現代口語演劇の出発点となった作品だが、見るのは今回が初めて。

舞台は日韓併合の前年にあたる1909年夏のソウル。商店を経営する日本人一家の一日を通じて、植民地支配の構造を描き出している。

家族、使用人、朝鮮人の使用人、近所に住む夫婦など、多くの人物が登場するが、会話の内容や挨拶の仕方、椅子に座るかどうかといったことで、それぞれの関係や身分などが自然と理解できるようになっている。

人の話し方や話す内容といったものは、実は相手との関係性によって決まっているのだということがよくわかる。

文学談議の中で、雑誌「スバル」掲載の石川啄木の短歌も出てきたのには驚いた。〈この頃は絶交状をふところに入れておく故わが心安し〉という一首。歌集には載っておらず一般にはあまり知られていない作品だ。

国と国の関係ということではロシアとウクライナの情勢のことも思われるし、この年の秋に暗殺される伊藤博文の話も出てきて、歴史と現在との交錯を感じさせられた。

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2022年05月31日

「リアルのゆくえ」展

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平塚市美術館で開催中の展覧会「リアル(写実)のゆくえ 現代の作家たち 生きること、写すこと」へ。高橋由一、松本喜三郎、安本亀八、平櫛田中といった著名な作家と現代の作家の作品が、「リアル」というテーマで一堂に会している。

お目当ては、ポスターにも使われている安本亀八の「相撲生人形」。野見宿禰と当麻蹴速の格闘を力感あふれる姿に作り上げている。まさに圧倒的な迫力だ。


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こちらは、会場入口前に展示されている本郷真也「盈虚―鐵自在イグアナ―」。鉄という素材でイグアナの質感を見事に表している。しかも、このイグアナ、動くのだ。滑らかな尻尾の動きはまるで生きているかのよう。

本物よりもニセモノの方が生々しい。

本物が本物であることに何の努力も要らないが、ニセモノを本物に見せるのは大変なことだ。その物の質感、性質、特徴などを細かく観察して再現しなくてはならない。

そこに、本物以上の何かが生まれることもあるのだろう。

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2022年03月05日

「与謝野鉄幹・晶子、吉井勇とその時代」

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京都府立京都学・歴彩館で開催中の「与謝野鉄幹・晶子、吉井勇とその時代」を見に行った。
https://rekisaikan.jp/news/post-news/post-7311/

同館所蔵の「天眠文庫関係資料」「吉井勇資料」をもとに、小林天眠、与謝野鉄幹・晶子、吉井勇の人生や時代との関わりを描き出している。

与謝野晶子がフランス滞在時に描いた絵や、12冊の歌集から選んだ歌を散らし書きした六曲一双の屏風、吉井勇の戦時中の詳細な日記など、見応えのある展示が多かった。

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2022年02月26日

青年団第92回公演「S高原から」

作・演出:平田オリザ
出演:島田曜蔵、大竹直、村田牧子、井上みなみ、串尾一輝ほか
会場:江原河畔劇場


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高原のサナトリウムのロビーを舞台に、入所者、見舞いの友人、医師、看護師など計16名が織り成す会話による群像劇。

人間は相手との関係によって会話の内容や言葉遣いを変える。反対に言えば、会話の言葉によって、その場にいる人々の関係がわかるということだ。2人、3人、4人、5人など様々な組み合わせの会話が演じられることで、登場人物同士の関係が自ずと見えてくる。

また、舞台にいる人同士の会話から、舞台にいない人の姿や行動も想像される。舞台以外の世界もきちんと存在している感じがするのが面白い。

「いざ生きめやも」の解釈やサナトリウムと町に流れる時間の違いなど、生と死をめぐる話も印象に残った。


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2021年12月27日

上野リチ展

京都国立近代美術館で開催されている展覧会「上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー」を見る。ウィーンと京都で活躍したデザイナー、上野リチ(1893-1967)の回顧展。

会場で驚いたのは、展示作品に解説などを書いたキャプションがなく作品番号が表示されているだけであったこと。解説等は入口で配布される作品リストのパンフレットにすべて記されている。


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最初は作品とパンフレットを見比べるのに慣れず戸惑ったが、だんだんコツを摑めてきた。まずは作品だけを見て、もし気になった点があればパンフレットで確認すれば良いのだ。

山下裕二『商業美術家の逆襲』にも、こんな一節があった。

実作品をナマで、自分の眼だけを頼りに味わう。これが何より大事で、一番面白い美術の見方です。いつも言っていることですが、そのためにも、まずは作者名や作品を解説しているキャプションを読まずに見ることが大事です。知識というフィルターがかかって、眼が曇ってしまうからです。

今後はこういう方式が美術館の主流になっていくのかもしれない。

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2021年12月18日

川崎市岡本太郎美術館

川崎市に住む父と一緒に岡本太郎美術館へ。

小田急線の向ヶ丘遊園駅から歩いて15分くらい。「かわさき宙と緑の科学館」や日本民家園などもある生田緑地の西門近くにある。


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常設展・企画展ともに充実した内容で見ごたえがあった。渋谷駅に展示されている壁画「明日の神話」の下絵(177×1085cm)もある。どの作品も、うねるような力強い線と鮮やかな色彩が目を引く。


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岡本かの子(母)と一平(父)に関する展示もある。両親の強烈な個性を受け継いだ太郎の人生は、起伏に富んでいて面白い。

「太陽の塔」の手の中にはエスカレーターがあって万博当時は大屋根の上に出られたことや、近鉄バッファローズの有名なロゴも岡本太郎のデザインであることなどを初めて知った。


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屋外に立つ「母の塔」。

この美術館は、川崎市の小学生が遠足などで訪れる場所になっているようで、平日にもかかわらず賑わっていた。

ミュージアムショップで『岡本太郎にであう旅』という本を買ったので、各地に残る岡本作品をあれこれ見て回りたい。

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2021年11月04日

「ちこちこ小間ごと山口晃」展

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今年新たに祇園にオープンした「ZANBI」で開催中の「ちこちこ小間ごと山口晃」展を見る。和菓子屋「鍵屋良房」が運営する美術館。

チラシに載っているのは、「新京都百景 志賀街道 子安観音」。今出川通と志賀街道の交差するところにある鎌倉時代の石仏の風景。浮世絵風の絵の中に過去と現代が入り混じっている。

他にも五木寛之の新聞連載小説「親鸞」の挿画の原画の展示もあり、高い技術と独創的な発想による時空を超えた作品世界を堪能した。


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家に帰って朝日新聞の夕刊を見ると「関西遺産」にコーナーに子安観音が載っている。ちょっとしたことだけど、こういう偶然は嬉しい。

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2021年10月10日

「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」

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新宿のSOMPO美術館で開催されている川瀬巴水(1883‐1957)の展覧会に行ってきた。大正から昭和にかけて流行した新版画の第一人者。版画約200点が展示されているほか、旅のスケッチに使われた写生帖などの資料もあり、作品制作の舞台裏を垣間見ることができる。

とても良かった。

やはり美術でも映画でも何でも、思い立った時に観に行くべきだとあらためて思う。次の機会があるかどうかわからないし、その時に自分が同じ気持ちでいるかもわからないのだから。

展覧会を見て気付いたことが2つ。

1つは風景画と言ってもほとんどの作品に人物が配されていること。これは広重の浮世絵などでも同じだけれど、絵の中に人物がいることで、風景が不思議と精彩を帯びてくる。それと、風景だけではあまり時代を感じない場所でも、人物が入ると服装などから時代がわかるようになる。

もう1つは、写生帖と版画作品との違い。全国各地を旅してスケッチした巴水だが、版画制作においてはありのままを描いているのではない。写生帖では山と川だけだった風景に帆掛け船と人物を加えたり、晴天の風景を雪景色に変えたり、様々なアレンジを加えている。

摺り色によって時刻や天候を自由に変えることもできる。これは、絵師・彫師・摺師の分業体制によって作られる版画が、デジタル加工的な側面を持っているということでもあるだろう。巴水作品の魅力は単なる郷愁といった点にとどまらない。加工された世界の持つ様式性やデザイン性でもあるのだと思う。

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2021年09月27日

高島裕展(その2)

今回の高島裕展は、高島さんの故郷で行われたことに大きな意味があると思う。見学者は展示内容だけでなく、庄川美術館周辺の風景を目にすることになる。それは高島さんを育んだ自然・風土であり、高島作品を理解する上で大きなヒントにもなるものだ。


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美術館のすぐ近くを流れる庄川(しょうがわ)。
下流に堰堤があるので湖のようになっている。


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庄川ウッドプラザ前にある巨大水車。
休日ということもあって、この一帯は家族連れなどで賑わっていた。


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庄川の対岸に見える金屋石の採掘場跡。
注連縄が張られていて最初は岩屋や磨崖仏かと思ったが、石切場であった。江戸時代から昭和40年代まで採掘が続けられ、金沢城の修築などにも使われたとのこと。


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庄川合口(しょうがわごうぐち)堰堤から下流の風景。
堰堤の上を通って対岸へ渡ることができる。


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庄川の岸辺に咲く彼岸花。
秋晴れの何とも気持ちの良い一日であった。

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2021年09月26日

高島裕展(その1)

富山県砺波市庄川町の庄川美術館で開催されている「高島裕展」へ。

京都から特急サンダーバード、北陸新幹線、路線バスを乗り継いで約4時間半。小旅行といった趣きだ。


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美術館(写真右奥)は、自然豊かな庄川水記念公園の一角にある。


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とにかく素晴らしかった。

天井から垂れる布に大きく書かれた短歌のインスタレーションや、インタビュー映像、作品の解説などのほか、子どもの頃のアルバムや手帳、歌集のゲラ、創作ノート、手紙など、現物の展示が多いのに驚かされた。古いものが実にたくさん残っている。

内容が充実しているだけでなく、展示方法にも様々な工夫がされていた。中でも印象的だった「言葉」を3つ挙げたい。

歌がなくても生きて行ける人は、歌をやめてほしい。
あなたのことだ。

展示室の入口に掲げられた「あなたとは違う」というメッセージにある言葉。いきなりドキッとさせられる。

あなたのことを思うとこのところ寝苦しい思いです。

お母さんの手紙の一節。一人暮らしをしていた頃の高島に、母はしばしば手紙を出したようだ。10点ほどが展示されていたが、どれも愛情と人柄の滲む文面だった。

もし気が変はつたらいつでも「未来」へ帰つて来て下さい。

2002年に「未来」を退会した高島に宛てた岡井隆の手紙の一節。自分が若い人たちの力になれなかったと悔やむ言葉もあって、胸を打たれる。

こうした言葉を読んでくると、高島が東京から故郷の富山へ帰り、結婚して子供を育て、「未来」に再入会したことの、すべてが必然だったように思われる。

美術館周辺の山、川、空、田んぼなどの風景も含め、高島の核にあるものの一端に触れたような体験だった。

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2021年08月15日

巡回展「先住民族アイヌは、いま」

大和高田市立図書館で開催されている巡回展「先住民族アイヌは、いま」を見に行った。今年4月から10月にかけて奈良県内8か所を巡っている。


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展示室ではパネル展示とアイヌの民具や衣装の展示、そして映像の上映が行われている。


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【チェㇷ゚ケリ】

「鮭の皮でつくった靴。滑らない工夫として、底部に鮭のひれがくるように作られている。」


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なるほど、確かに靴底に鮭の鰭がある。

今日は展示のほかに、出原昌志さんの講演「シャクシャインの戦い」もあり、30名くらいの人が集まって盛況だった。シャクシャインの戦いは日本史でも習う出来事だが、和人(日本)の側から見るかアイヌの側から見るかで、歴史的な位置づけや評価が大きく違ってくる。

歴史の叙述のあり方について、あれこれ考えさせられた。

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2021年07月27日

展覧会「戦後京都の「色」はアメリカにあった!」

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京都文化博物館で開催されている「戦後京都の「色」はアメリカにあった!カラー写真が描く<オキュパイド・ジャパン>とその後」を見に行った。

https://www.bunpaku.or.jp/exhi_shibun_post/sengokyotonoiro/

昭和20年代の占領期にアメリカ人が撮影した京都のカラー写真が多数展示されている。アメリカに残っていたものが収集され、今回日本で展示されることになったのだ。

京都の暮らしや町並み、祇園祭の様子、接収住宅でのアメリカ人の生活の様子などが、当時日本ではまだ珍しかったカラー写真で残っているのは貴重なことだ。昭和20年代の空気がありありと甦る。

今も変らない風景もあれば、今ではもう見られない風景もある。先日明治村で見た聖ザビエル天主堂が、河原町の朝日会館の北、現在は「カトリック河原町教会」がある敷地に立っている姿も確認できた。

会期は9月20日まで。

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2021年03月15日

三井淳平作「神奈川沖浪裏」

大阪梅田の阪急三番街にブリックミュージアムという場所があり、レゴ作品が展示されている。

https://www.h-sanbangai.com/attraction/brick-museum/



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中でもスゴイのが、この「神奈川沖浪裏」。

レゴ認定プロビルダーの三井淳平さんが北斎の代表作を立体化してレゴ作品にしたもの。製作時間400時間、ブロック50000ピース。角度を変えて眺めるとまた新たな発見があって、見飽きることがない。


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レゴの可能性は限りないな。
制作動画も公開されているけれど、もう圧倒的。

https://www.youtube.com/channel/UCPkshG2WB3N4hI9HBUKiDjg


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2021年02月28日

企画展「イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示」


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京都伝統産業ミュージアムで開催中の企画展「イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示」へ。最終日ということもあって、かなり賑わっていた。

19世紀から20世紀にかけて欧米で開催された万国博覧会では、植民地の人々や少数民族の村の展示がよく行われた。日本でも第5回内国勧業博覧会の「学術人類館」において、アイヌ・台湾原住民・沖縄県人・朝鮮人・清国人などが展示された。

この企画展ではさらに、見世物やショービジネス、形質人類学や骨相学といった問題も取り扱っていて、キュレーターの問題意識がはっきりと伝わってくる。

特に印象に残ったのは、フランスの人類学者ジョゼフ・ドゥニケールの『地球上の人種と民族』に載っている日本人の写真。1862年に文久遣欧使節団の一員としてパリに渡った際の若き福沢諭吉の姿である。キャプションには「日本人士官」「面長の典型」などとあり、日本人の見本として扱われているのだ。

脱亜入欧を目指した明治期の日本のことや、かつて訪れた野外民族博物館「リトルワールド」のことなど、あれこれ思い浮かび、深く考えさせられる内容だった。

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2021年02月09日

オンライン講座「京都市明細図でバーチャル旅行!」

「まいまい京都」主催のライブ配信「京都市明細図でバーチャル旅行!語られざる占領下の京都へ〜米軍司令部、壊された膨大な民家、花街…浮かび上がる戦争と京都〜」を受講した。

講師は福島幸宏(東京大学大学院情報学環特任准教授)さん。京都府立総合資料館や京都府立図書館の職員を長く勤めて来られた方だ。

今回の講座は2010年に資料館の収蔵品から再発見された「京都市明細図」をもとに、京都の町の歴史をたどる内容。今回初めて知ったのだが、京都市明細図はデジタル化されて一般公開もされている。
https://www.arc.ritsumei.ac.jp/archive01/theater/html/ModernKyoto/

昭和2年頃に原図が作成され、占領期の昭和26年頃まで随時書き込みや彩色が追加されており、当時の京都の町の様子が詳しくわかる。

戦時下の建物疎開によって家が取り壊されて道路や公園になった様子をたどることもできるし、敗戦後に岡崎公園や南禅寺界隈の別荘群が「進駐軍用地」「進駐軍家族宿舎」になっていた事実も確認できる。

楽しく充実した2時間だった。

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2021年02月06日

青年団第84回公演「眠れない夜なんてない」

作・演出:平田オリザ
出演:猪俣俊明、羽場睦子、山内健司、能島瑞穂、松田弘子ほか
会場:AI・HALL 伊丹市立演劇ホール

舞台は1998年末のマレーシアの日本人向けリゾートのロビー。コテージタイプの施設に入居・滞在する5組の家族や従業員らの会話を通じて、彼らの過去や人生、そして終わりを迎えようとしている昭和に対する思いが明らかになっていく。

ロビーという場所の性格上、登場する人物が次々と入れ替わり、二人、三人、四人、五人、六人と様々な組み合わせが生まれる。また登場人物も、ロングステイで住んでいる人、施設の見学で滞在している人、仕事で来ている人、入居家族を訪ねて来た人など様々だ。

そのため、会話も当たり障りのない挨拶から、かなり個人的な秘密めいた話まで、実に幅が広い。同じ人物でも相手によって親密になったり、よそよそしい雰囲気になったり、声のトーンにも変化がある。

そのあたりを2時間たっぷりと楽しめる劇であった。オープニングやエンディングにラジカセから流れる当時の流行曲も懐かしかった。


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2020年12月22日

青年団公演「百メートル」

「忠臣蔵OL編」を観てから、夜になるまで時間をつぶす。喫茶店を2軒はしごして、夕方寒くなってきたので食堂でラーメンを食べる。身体が温まってありがたい。その後、19:00からの公演「百メートル」へ。


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夜の江原河畔劇場はこんな感じ。
ライトアップされていてきれい。

「百メートル」は陸上の100メートル走の決勝前の控室で、選手4名とコーチ2名の計6名が繰り広げる会話劇。試合前の緊張感や駆け引きが描かれている。上演時間は約30分。

帰りは19:52江原駅発に乗って22:59京都駅着。
特急が運転を終了していて普通・快速だけなので約3時間かかった。

日帰りで行くにはちょっと遠いかな。

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2020年12月21日

青年団公演「忠臣蔵OL編」

平田オリザの青年団が今年から本拠地にしている江原河畔劇場へ。
最寄り駅はJR山陰線の「江原駅」。
京都10:25発の特急に乗って12:32着。2時間あまり。


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初めて降り立った江原駅。
住所は兵庫県豊岡市日高町。
特急から降りた乗客は僕だけだった。


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駅前の風景。雪が積もっていて、ひたすら寒い!
食堂でやきとり定食を食べて、14:00からの公演へ。


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江原河畔劇場。
昭和10年竣工の旧豊岡市商工会館を改装したもの。


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劇場名に「河畔」とある通り、ロビーの窓から円山川が見える。

「忠臣蔵OL編」は上演時間約1時間。「大石さん」はじめ7名のOLが、会社で殿の切腹を知り今後のことを話し合う会話劇。忠臣蔵という誰もが知っているストーリーを踏まえて、討ち入りを決めるまでのやり取りがユーモラスに描かれている。

「忠臣蔵武士編」もやっているので、そちらも併せて観るとさらに楽しめるのだろう。


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2020年10月16日

青年団プロデュース公演「馬留徳三郎の一日」

作:高山さなえ
演出:平田オリザ
出演:田村勝彦、羽場睦子、猪俣俊明、山内健司、山村崇子ほか
会場:あましんアルカイックホール・オクト

尼崎市が主催する「近松賞」の第7回受賞作を、平田オリザが演出した作品。

山深い田舎にある老夫婦の家を舞台に、久しぶりに息子から電話が掛かってきたところから物語が始まる。息子の部下を名乗る人物や近所の人たちが入れ替り立ち替りやって来るのだが、認知症をわずらう人もいて、一体誰の話が本当なのかわからなくなっていく。

劇の終了後には、平田オリザ・高山さなえ・岩松了によるアフタートーク(約30分)もあった。受賞作から大幅な改稿があって、「馬留徳三郎の一日じゃなくて二日になっちゃった」という話など、面白く充実した内容だった。

今の時代、短歌にもこうしたアフタートーク的な何かが必要なのかもしれない。

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2020年09月13日

室内オペラ「零(ゼロ)」

作曲・指揮:中堀海都
作・演出:平田オリザ

「豊岡演劇祭2020」での公演。アリアと演劇が交互に行われる珍しい形式のオペラ。

1、イントロダクション
2、アリアT
3、演劇@
4、アリアU
5、演劇A
6、アリアV
7、エンディング

という構成になっている。

アリアと言っても朗々と歌うのではなく、舌をタンタン鳴らしたり、短い発声や息づかいを聞かせたりといったもの。演奏も大きな音で曲を奏でるというよりは、一つ一つの音を出したり、合わせたり、刻んだりする。

何とも不思議な体験だった。

70分、豊岡市民会館。

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2019年12月01日

現代歌人集会秋季大会

13:00からアークホテル京都にて、現代歌人集会秋季大会が行われた。参加者約120名。

はじめに米田律子元理事長の追悼を大辻隆弘理事が述べて、全員で黙禱。次に第45回現代歌人集会賞の授与式。藪内亮輔歌集『海蛇と珊瑚』。藪内さんと会うのは5、6年ぶりだろうか。

続いて、林和清理事長の基調講演。講演の中で出てきた1970年の現代歌人集会創立のシンポジウムについては、『高安国世の手紙』(326ページから)でも触れたことがある。興味のある方はお読みください。

その後、メインの斉藤斎藤さんの講演「〈私〉のつくられ方〜近代の短歌の文法と自我〜」。日本語と外国語(英語)の表現方法の違い、人称や時制の問題など、言葉の本質に根差した話で面白かった。「一人称」「三人称」という言葉が「一人称視点」「三人称視点」の意味で用いられていたので、やや混乱した方もいらっしゃるかもしれない。

16:00からは現代歌人集会の総会。
事業報告、会計報告、新入会員承認、議案の審議など。最後に島田幸典副理事長による閉会の挨拶があって17:00前に終了。

ご来場くださった皆さま、ありがとうございました。


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2019年11月14日

「日本の素朴絵」展

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龍谷ミュージアムで開催中の「日本の素朴絵」展へ。

「ゆるい/かわいい/たのしい/美術」という副題の通り、古代から近代にいたる絵画や彫刻を「素朴」「ゆるい」という観点で集めた展覧会である。絵巻、絵本、曼荼羅、大津絵、円空仏、埴輪、狛犬など、実に様々なものが集められている。

特に印象に残ったのは南天棒筆「雲水托鉢図」、北尾政美画『鳥獣略画式』、「大阪城堀の奇獣」、円空作「観音三十三応現身像」。

円空仏は六体が展示され、それぞれ「天大将軍像」「阿修羅像」などの表示が付いている。「どれも同じように見えるけれど、やはり専門家が見ると違いがわかるんだな」と感心していたら、何のことはない、仏像の裏側に墨で名前が書かれていた。

近年はやりの「ゆるキャラ」やマンガのルーツという意味でも、おもしろい内容であった。


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2019年10月31日

「佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」

京都国立博物館で開催されている「佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」を見に行ってきた。

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今回は「佐竹本三十六歌仙絵」の37枚(36名+住吉大明神)のうち、実に31枚が展示されるということで、会場は多くの人で賑わっていた。

展示は「国宝《三十六人家集》と平安の名筆」「“歌聖” 柿本人麻呂」「“大歌仙” 佐竹本三十六歌仙絵」「さまざまな歌仙絵」「鎌倉時代の和歌と美術」「江戸時代の歌仙絵」の6部構成となっていて、ボリュームたっぷり。

メインは「佐竹本三十六歌仙絵」だが、それ以外にも国宝4点(手鑑「藻塩草」「本阿弥切『古今和歌集』巻第十二残巻」「三十六人家集 素性集」「一品経和歌懐紙(西行筆)」)や三色紙(継色紙「いそのかみ」、升色紙「かみなゐの」、寸松庵色紙「ちはやふる」)など、貴重な作品が展示されている。

三十六歌仙には5名の女性がいるのだが、今回、斎宮女御・伊勢・中務は展示なし。また、パネル写真にも使われている小大君は会期の後半(11月6日〜)の展示ということで、今回見られたのは小野小町のみであった。


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ロビーには私が選歌を担当させていただいたTwitter企画「令和三十六歌仙」のパネルも展示されている。

皆さん、どうぞ会場にお越し下さい!


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2019年10月10日

青年団「走りながら眠れ」

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先日、京都に新しくできた劇場「THEATRE E9 KYOTO」で青年団の公演「走りながら眠れ」を見た。
作・演出:平田オリザ、出演:能島瑞穂、古屋隆太。

大杉栄と伊藤野枝の二か月間を描いた会話劇で登場人物は二人だけ。日常の何気ない会話から人間関係や時代の空気が窺われる内容となっている。観客は二人がこの後虐殺される運命だと知っているだけに、一つ一つの話が深く胸に入ってくるように感じた。

終演後には平田オリザさんのアフタートークが30分ほどあった。平田さんは「国際観光芸術専門職大学」(仮称)の開設を目指して兵庫県豊岡市に移住したばかり。多くの質問に一つ一つ丁寧に答えていたのが印象的だった。

鴨川のほとりにある劇場はカフェも併設していて、オシャレな雰囲気。家からも近いのでまたいろいろと見に行きたい。

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2019年09月23日

桂よね吉独演会

14:00〜、京都駅八条口の龍谷大学響都ホールにて。

 ・桂よね一 「煮売屋」
 ・桂二葉  「近日息子」
 ・桂よね吉 「御公家女房」
  (中入)
 ・桂二乗  「写真の仇討」
 ・桂よね吉 「らくだ」

落語を聞くのは2回目か3回目という初心者なのだけれど、
話はどれも面白く、ぐいぐい引き込まれてしまった。
常連さんが多いようで客席のノリも良かった。

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2019年03月30日

現代短歌フェスティバル イン 京都


13:00から京都教育文化センターで行われるシンポジウムへ。
主催は現代歌人協会、テーマは「平成短歌を振り返る」。

三部構成で、最初は大島史洋(現代歌人協会理事長)と林和清(現代歌人集会理事長)の対談。司会は栗木京子。

続いて若手8名による五分提言。大森静佳・楠誓英・澤村斉美・嶋田さくらこ・勺禰子・土岐友浩・吉岡太朗・鳥居。

最後に、坂井修一・東直子・島田幸典によるパネルディスカッション。司会は吉川宏志。

それぞれ考えさせられる内容が多くて面白かったと思う。
「塔」の人やカルチャーの方にもたくさん会った。


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2018年08月08日

「プーシキン美術館展」


今日は大阪の国立国際美術館で開催中の「プーシキン美術館展―旅するフランス風景画」へ。

全体が5章に分かれ、17世紀後半から20世紀前半にかけての絵画65点が展示されている。

 第1章 近代風景画の源流
 第2章 自然への賛美
 第3章 大都市パリの風景画
 第4章 パリ近郊―身近な自然へのまなざし
 第5章 南へ―新たな光と風景

一番印象に残ったのは

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ジュール・コワニエ/ジャック・レイモン・ブラスカサット
「牛のいる風景」
19世紀前半

絵葉書だとわからないのだけれど、2本の倒木の描写がすごい。まるで3Dのように画面から飛び出して見える。樹皮も本物を貼り付けたみたいな質感で描かれている。


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2018年08月04日

「浮世絵最強列伝」


今日は相国寺承天閣美術館で開催中の「サンタフェ リー・ダークス コレクション 浮世絵最強列伝」へ。

全体が時代順に6章構成になっていて、菱川師宣、鈴木春信、勝川春章、喜多川歌麿、東洲斎写楽、歌川豊国、葛飾北斎、歌川広重など、80点あまりが展示されている。

 第1章 江戸浮世絵の誕生―初期浮世絵版画
 第2章 錦絵の創生と展開
 第3章 黄金期の名品
 第4章 精緻な摺物の流行とその他の諸相
 第5章 北斎の錦絵世界
 第6章 幕末歌川派の隆盛

浮世絵には「やつし」や「見立」といった和漢の古典のアレンジやパロディーが頻出するが、その元ネタを知っているともっと楽しめるのだろう。「狂歌+絵」の摺物も多数あって、江戸時代の狂歌の隆盛ぶりが感じられた。


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これは歌川国貞「風俗三人生酔」。
1830年〜32年頃の作品。

大正〜昭和頃のお酒のポスターに通じるものがあって面白い。


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前期の展示は明日までで、8日から展示をすべて入れ替えて後期となる。


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2017年12月18日

ジブリの立体建造物展


あべのハルカス美術館で開催中の「ジブリの立体建造物展」へ。

「風の谷のナウシカ」から「思い出のマーニー」まで約20作品の制作資料約450点が展示されている。中でも、「魔女の宅急便」のグーチョキパン店や「千と千尋の神隠し」の油屋、「となりのトトロ」のサツキとメイの家、「天空の城ラピュタ」のスラッグ渓谷の鉱山などの立体模型は見応えがある。

美術館に行って初めて知ったのだが、この展覧会は藤森照信氏が監修をしていて、建築史的観点から詳しい解説を加えている。ジブリ好きで藤森ファンでもある私にとっては非常に嬉しい内容であった。

アニメは二次元の世界であるが、三次元の立体になっても齟齬を来たすことがないように、細かな点にまで隠れた配慮が行き届いている。そのことに改めて感心した。

 アニメの世界は“虚構”の世界だが、その中心にあるのは“リアリズム”であらねばならないと私は思っている。 /宮崎駿
 刺激的な演出ではなく人々の日常の暮らしの中にこそ、発見に値するものがある。 /高畑勲

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2017年05月04日

「マティスとルオー」展


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あべのハルカス美術館で開催されている「マティスとルオー」展へ。

国立美術学校の同級生だったアンリ・マティスとジョルジュ・ルオー。2000年代に入って発見された往復書簡を元に、約半世紀にわたる二人の親交をたどる展覧会である。

展示されている作品はルオーが7割くらい。黒の線の力強さに惹かれる。中でも『悪の華』のシリーズ12点、『気晴らし』のための原画15点が印象に残った。タロットカードみたいな感じがする。

マティスでは『ジャズ』の20点が良かった。戦後すぐの作品なのに、非常に現代的でオシャレである。
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2017年04月29日

講演会「ミルクキャラメルの物語」


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昨年9月3日に呉市立美術館で行われた講演会「ミルクキャラメルの物語」(講師:野秋誠治)の中で、私の評論「森永ミルクキャラメルの歌」(「歌壇」2016年8月号)に触れていただきました。

 さかだちをしたる天使の性別に話題は移るキャラメルむきて
                吉岡生夫『草食獣・勇怯篇』

動画の3:10(3分10秒)のあたりからです。
https://www.youtube.com/watch?v=krX7QcSBsAA

講師の方が「和歌」「和歌」とおっしゃっているのが印象的。「短歌」よりも「和歌」という呼び方のほうが今でも一般には通用しているのかもしれません。
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2017年04月28日

「マイ・チャレンジ」 第6回


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京都産業大学特別対談シリーズ「マイ・チャレンジ」の第6回に
行ってきた。

第1部は平田オリザさんの講演「わかりあえないことから」。
第2部は平田さんと永田和宏さんの対談。

コミュニケーション能力や異文化理解、コンテクストのずれの問題
など、非常におもしろい話であった。
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2016年09月17日

見世物大博覧会

国立民族博物館で開催されている特別展「見世物大博覧会」へ。

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展示室の入口には呼び込みの声が流れ、中に入ると一画に見世物小屋が再現されている。おどろおどろしくて猥雑で好奇心をかき立てる空間。小屋の中では人間ポンプ・安田里美の公演(録画)が放映されているほか、古い新聞やチラシなどの資料が多数展示されている。

小屋の外に出ると、1階中央には見上げるほどに巨大な関羽の籠細工が立つ。

他にも、軽業、曲芸、獅子舞、一式飾り、生人形、菊人形、動物の剥製、人魚のミイラなど、ありとあらゆる見世物が紹介されている。最後は、なんと寺山修司!

どれも面白くて、長い時間かけて見入ってしまった。

こうした企画が実現するというのは画期的なことだと思う。一方でそれは、どこか怪しげでいかがわしく、それゆえに魅力的だった見世物という世界の終わりをも示している。今では見世物は廃れ、博物館の展示や郷土芸能としてのみかろうじて生き残っているということだ。

もちろん今だってアートアクアリウムもシルク・ドゥ・ソレイユもあるけれど、怪しさやいかがわしさはもうどこにもない。

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2016年08月30日

大阪へ(その3)

会場の堂島リバーフォーラムの裏手には堂島川が流れている。川と高層ビルがある景色はいかにも「水の都」という感じで、京都とは雰囲気が大きく違う。

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川沿いを歩いていると、土砂運搬船が通ったりする。

その後、3番目の目的地である葉ね文庫へ。
中崎町駅から歩いてすぐのところにある。

店の前でカルチャーの生徒さん2人とばったり出会う。
全員が葉ね文庫は初めてということで、ものすごい偶然だ。

店内には、詩、短歌、俳句、川柳の本や雑誌、同人誌などが所狭しと置かれている。座って本を読んでいる人や詩歌の話をしている人たちもいて、学生時代の部室を思い出す。

展示にも工夫があり、手作りの温かさがある書店だ。店主の池上さんに勧められるままに短冊に歌を書かせていただいた。


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2016年08月29日

大阪へ(その2)

続いて、堂島リバーフォーラムで開催されている「アートアクアリウム展」へ。「アクアリウム」(水族館)と「アート」を融合させたイベントで、今年で10周年を迎えるそうだ。

ピンポンパール、水泡眼、頂天眼、朱文金など、珍しい種類の金魚が展示されているほか、幾何学的な水槽に泳ぐ金魚がライトアップされて幻想的な光景を繰り広げている。

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照明は次々と変化して、そのたびに水槽の金魚も表情を変えていく。

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テーマは「大阪・金魚の艶」。休日の昼間ということで家族連れやカップルで大賑わいであった。会場全体が夏の祭や夜店の雰囲気である。

夕方からは会場の一隅に設けられたバーでお酒も飲めるとのことで、大人のデートにもぴったりという感じだ。人気が出るのもよくわかる。

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2016年08月28日

大阪へ(その1)

京都と大阪はJRの新快速に乗れば30分と非常に近いのだが、普段はあまり大阪に出かけることがない。映画も買物も食事も、たいていは京都で済ませてしまう。

とは言っても、大阪に行かないと見られないものもたくさんあるので、今回3つまとめて行くことにした。

まずは、大阪市立美術館で開催されている「デトロイト美術館展」へ。天王寺公園の中にある美術館で、昭和11年に建てられている。

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「大西洋を渡った名画たち」という副題で、全52点が4部屋に分かれて展示されている。「第1章 印象派」「第2章 ポスト印象派」「第3章 20世紀のドイツ絵画」「第4章 20世紀のフランス絵画」という流れになっていて、ドガ、モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホ、カンディンスキー、マティス、ピカソ、モディリアーニらの作品がならぶ。

特に印象に残ったのは、ゴッホの「オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて」。絵の具の塗り跡そのままに舟や川や木々を描いている。

キルヒナー「月下の冬景色」は、冬山の幻想的な光景を色彩豊かに表現していて、ちょっと恐いくらい。

ピカソの「アルルカンの頭部」は、モノクロ写真のような道化の顔に点々と青色が添えられていて、内面の翳りを滲ませている。

そして、忘れてはいけないのが、展示室の最後にあるルオーの「道化」。なんと池本一郎さんにそっくり!!

これが、今回の最大の発見でした。

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2016年08月05日

藤田嗣治展

芦屋のカルチャーセンターでの講座を終えて、午後から兵庫県立美術館へ、「藤田嗣治展 東と西を結ぶ絵画」を観に行く。

100点を超える展示があって、かなり充実した内容であった。

特に良かったのが「砂の上で」。
砂浜の上に寝ころぶ二人の裸婦と赤子を描いた作品。シャベルやバケツ、貝殻などもある。

大作「アッツ島玉砕」はよく見ると、ところどころ兵士の身体が透けている感じがする。幽鬼とでも言ったら良いだろうか。

同じく大作「五人の裸婦」は、黒田清輝「智・感・情」を思い浮かべた。あっちは三人だが。

「アントワープ港の眺め」は、こんな絵も描いていたのかという感じで新鮮だった。

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2016年07月26日

並河靖之七宝記念館

泉屋博古館に続いて、並河靖之(なみかわやすゆき)七宝記念館へ。
地下鉄の東山駅から岡崎の図書館や美術館へ行く途中にいつも見かける場所だが、中に入ったのは今回が初めて。

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「七宝」(しっぽう)とは、銅や陶磁器などの素地にガラス質の釉薬を塗って焼いたもの。鮮やかな色と艶、細かなデザイン、非常に手間のかかった工芸品である。

今回は夏季特別公開ということで、記念館だけでなく、明治27年にできた邸宅や、七代目小川治兵衛が手掛けた庭園も見ることができた。

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建物の下まで池が入り込んでいる。
水面に反射した光が軒下に揺らめいて、ずっと見ていても飽きない。

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2016年07月24日

泉屋博古館

京都東山の鹿ヶ谷にある泉屋博古館(せんおくはくこかん)へ。
中国の古美術を中心とした住友家のコレクションが収蔵・展示されている美術館である。

現在、「上島鳳山と近代大阪の画家たち」という特別展を開催中。

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上島鳳山の代表作「十二月美人図」は、会期の後半ということで、六月から十二月の6枚が展示されていた。「十二月 雪路」が今回見た絵の中で一番の美人。

常設展は中国の青銅器。4部屋にわたって、相当な数の青銅器が展示されている。第1室の「青銅器名品選」に展示されている「虎卣」(こゆう)は紀元前11世紀、商(殷)後期のもの。

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虎が人を食べている!のではなく、人を抱えて守っているらしい。2本の脚と尻尾で立つデザインが可愛らしく、虎というより招き猫かトトロのようでもある。

係員の方の説明によると、もともと一対のもので、もう一つはフランスにあるとのこと。調べてみると、パリのチェルヌスキ美術館に収蔵されている。
http://www.cernuschi.paris.fr/fr/collections/vase-you-en-forme-de-felin

いつか2頭の虎が出会う日が来るといいなと思う。


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なぜか顔ハメ。
顔の角度が難しかった。


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2016年07月11日

若冲展

今年は伊藤若冲(1716―1800)の生誕300年ということで、あちこちで若冲展が開かれている。

まずは、細見美術館の「伊藤若冲―京に生きた画家―」。

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「鶏図押絵貼屏風」
(6曲1双)に描かれたヒヨコがいい。
ササッと書きましたという感じ。

「糸瓜群虫図」には11匹の虫がいるというので、しばらくじっくり見る。
はっきりと確認できるのは8匹。

続いて、承天閣美術館の「伊藤若冲展」へ。

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「動植綵絵」30幅(コロタイプ印刷による複製)のほか、重要文化財「鹿苑寺大書院障壁画」などの展示がある。

今回気に入ったのは、「動植綵絵」の「群魚図」に描かれた子タコ。親タコ(?)の脚にしっかりしがみついていて、何とも可愛らしい。

2つの美術館をめぐって発見したのは、「厖児戯帚図」(承天閣美術館、絹本着色)と「仔犬に箒図」(細見美術館、紙本墨画)が似ていること。前者は箒が手前で犬が奥、後者は箒が奥で犬が手前になっている。

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2016年03月31日

夷酋列像

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大阪の国立民族学博物館の特別展「夷酋列像(いしゅうれつぞう)」を見に行ってきた。

「夷酋列像」は松前藩士の蠣崎波響(かきざきはきょう)が描いた12名のアイヌの肖像画。1789年に起きた「クナシリ・メナシの戦い」の鎮圧に際して松前藩に協力したアイヌの有力者を讃えるために描かれたものである。

今回はフランスのブザンソン美術考古博物館に収蔵されている原画をはじめ、日本各地に残されている数多くの模写や粉本(下書き)も展示されている。写本を系統立てて整理するように、模写がどのような流れで作成されていったかが見えてくるのが面白い。

また、絵に描かれた衣装や道具に類似した品々の展示もあり、アイヌ文化に対する理解を多角的に深めることができる。

特別展のサブタイトルは「蝦夷地イメージをめぐる人・物・世界」となっており、日本人(内地人)が蝦夷地やアイヌをどのように見ていたかが、大きなテーマとなっている。それは実際の蝦夷地やアイヌとは少し違って、誤解や政治的な意図を多分に含んだものであった。

クナシリ・メナシの戦いはコシャマインの戦い、シャクシャインの戦いに続く大規模なアイヌの武装蜂起であったが、最終的に鎮圧され、参加者のうち37名が処刑される結果に終わった。

松前藩に協力したとされる「夷酋列像」の12名にも、それぞれに苦しい立場や複雑な胸の内があったに違いない。マウタラケ、チョウサマ、ツキノエ、ションコ、イコトイ、シモチ、イニンカリ、ノチクサ、ポロヤ、イコリカヤニ、ニシコマケ、チキリアシカイ。美しく力強い12枚の絵を見ながら、そんなことを思った。

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2016年03月07日

対談 「日本美術放談会」

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昨日は14時から京都教育文化センターで開催された山下裕二さん(明治学院大学教授)と山口晃さん(画家)の対談「日本美術放談会」を聞きに行った。

360席のホールがほぼ満員。事前に申込み葉書の抽選をして、当選した人だけが参加できる会であった。

二人の本はよく読んでいるのだが、実際に目にするのは初めて。

・赤瀬川原平・山下裕二著 『日本美術観光団』
 http://matsutanka.seesaa.net/article/431542168.html
・山下裕二・橋本麻里著 『驚くべき日本美術』
 http://matsutanka.seesaa.net/article/431102160.html
・赤瀬川原平×山下裕二著 『日本美術応援団 オトナの社会科見学』
 http://matsutanka.seesaa.net/article/387138776.html
・藤森照信×山口晃著 『日本建築集中講義』
 http://matsutanka.seesaa.net/article/387139207.html
・山口晃著 『ヘンな日本美術史』
 http://matsutanka.seesaa.net/article/387138969.html
・山口晃展
 http://matsutanka.seesaa.net/article/387138965.html

今回は『日本美術全集』(小学館)全20巻の完結記念ということで、全集に収められた写真をスクリーンに映し出しながら、二人が喋るという内容であった。縄文土器から現代の村上隆や山口晃の作品まで、ユーモアをまじえて楽しい話をたっぷりと聞くことができた。

美術史家である山下さんが学問的・体系的な話をするのに対して、画家の山口さんは実作者として線の引き方や構図の取り方の話をする。そのバランスが絶妙だ。

短歌の世界でも、歌に詳しい「学者」「評論家」と実作者である「歌人」とが、こんなふうにざっくばらんに話ができる機会があれば良いのだけれど。

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2015年12月31日

箱根へ

2泊3日で母や兄たちと箱根へ。

小涌谷にある岡田美術館で「箱根で琳派 大公開」展を開催中。
常設展示もかなり充実している。

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入口にある福井江太郎の「風・刻」。
風神雷神図屏風を元にした縦12メートル×横30メートルの大壁画である。

館内は写真撮影禁止。
入場する際に空港の保安検査のようにセキュリティゲートを通り、手荷物検査を受ける。

速水御舟の「紅葉」「木蓮(春園麗華)」が特に良かった。
「紅葉」は幹のうねり具合と葉の鮮やかな赤色、さらに啄木鳥の姿に生命力とエロスがあり、「木蓮」には死相を思わせるような不気味なまでの妖艶さがある。

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近くにある「千条(ちすじ)の滝」。
大正時代からの観光スポットらしい。

古い写真と見比べてみると、昔はもっと高さがあったようだ。
上部が崩落したらしく、岩肌がえぐれていた。

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2015年11月03日

京都府立堂本印象美術館

秋晴れの気持ち良い一日。

今年は「琳派400年記念」ということで、京都各地の美術館で関連する展覧会が行われている。その一つ、堂本印象美術館で開催されている特別企画展「京都画壇にみる琳派のエッセンス―ユーモアとウィット」を見に行く。

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まずは、堂本自らデザインした建物の外観や内装に注目する。斬新で美しい。

展示作品の中では、西芳寺(苔寺)の襖絵である「遍界芳彩」が、とにかくすごかった。こんな斬新な襖絵があるなんて!

企画展は今月29日まで。

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2014年11月26日

石橋美術館

もう15年も前のことになるが、久留米に旅行したことがある。特に目的があったわけではなく、何となく観光で訪れたのだ。その時に市の名所でもある石橋美術館にも行った。

館内に入って驚いたのは、青木繁の「海の幸」や「わだつみのいろこの宮」など、教科書に載っている名画が展示されていたことである。青木が久留米の出身であることはその時に初めて知った。

今朝の朝日新聞の文化欄に「福岡・久留米の石橋美術館 作品を東京に移管」という記事が載っている。石橋美術館の千点近い収蔵品の全てを2016年に東京のブリジストン美術館へ移すとのこと。

これまで久留米市から運営を受託してきた石橋財団が、年間約1億7000万円の赤字負担もあって、運営から手を引くことになったらしい。美術館が久留米市で「空気のような存在になっている」とのコメントもあり、宣伝や集客がうまく行っていないのだろう。

やむを得ないこととは言え、残念である。こうしてますます東京一極集中が進んで行ってしまうのだ。

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2014年08月29日

海洋堂フィギュアワールド

美術館「えき」KYOTOで開催されている「海洋堂50周年記念 海洋堂フィギュアワールド」を見に行く。

1964年にわずか一坪半の模型店としてスタートした海洋堂の歴史と今をたどる展覧会。会場は「海洋堂50周年の軌跡」「ガレージキットの創世記」「おまけフィギュアミュージアム」「精緻なるヴィネット・フィギュアの世界」「ミュージアムフィギュアの世界」「全身可動・リボルテックフィギュアの世界」「海洋堂造形作家列伝」という構成になっている。

ワールドタンクミュージアム、栞子さんのヴィネット、東京国立博物館公式フィギュア「風神」「雷神」、リボルテックスネークなど、思わず見惚れてしまうものばかりであった。

8月31日まで。


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2013年05月05日

演劇「銀河鉄道の夜 ロボット版」

先月オープンしたばかりの、グランフロント大阪。
駅から続く通路には拡声器を持った警備員の人が何人も立っていて、大勢の人でごった返している。

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今日は北館にあるナレッジシアターのこけら落とし公演「銀河鉄道の夜 ロボット版」を観る。
原作:宮沢賢治、作・演出:平田オリザ、ロボット・アンドロイド開発者:石黒浩。

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チケットの購入が早かったためか、最前列の席である。
昨年見た普通版の「銀河鉄道の夜」と内容やシナリオはほぼ同じだが、ロボビーという可愛らしいロボットがカムパネルラ役を演じている。

普通版とロボット版と、見た印象はどう違うか。

結論から言えば、ほとんど違いはない。人間が演じていてもロボットが演じていても、受ける印象に大きな差はない。笑える場面では同じように笑えるし、感動する場面では同じように感動する。

もともと私たちは、相手の行為や仕種などから、その人の感情や気持ちを推測して生活している。だから、その相手がロボットであっても、同じように感情を読み取ることが可能なのだ。

普通版とロボット版から同じ印象を受けるというのは、ある意味でスゴイことなのかもしれない。今回はロボットが1体で他は人間だったのだが、もし他の役もみなロボットだったらどうなるのだろう、などと想像が膨らんでいく。

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2012年11月30日

山口晃展

美術館「えき」KYOTOで開かれている「山口晃展〜山口晃と申します 老若男女ご覧あれ〜」を見に行く。山口晃の作品を見るのは、以前、上野の森美術館で会田誠と二人の展覧会を見て以来。

会場に入ってすぐ、「門前みち/軍艦」という2枚のスケッチがある。これは、全く別の対象を同じ構図で描いたもの。この2枚を見ただけで、山口晃の世界に引き付けられてしまう。

ちらしにも使われていた「邸内見立 洛中洛外圖」では、京都の町を一軒の邸に見立てて描いている。「御所」は「碁所」になってみんなが碁を打ってるし、「京大」は「鏡台」に、「金閣寺」は「きんかくし」(=トイレ)になっているという具合。

一枚の絵に時代を超えた様々なものが入り乱れ、それでいてなぜか落ち着いている。そんな不思議な世界をたっぷりと味わうことができる。

今回は新聞小説の挿絵の展示もあり、それが毎回違った手法で描かれていることにも驚かされた。一回一回、全く別の描き方なのである。そうした確かな技術の裏打ちがあって初めて、新鮮な発想も生きてくるのだろう。

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2012年11月24日

青年団第68回公演「銀河鉄道の夜」

原作:宮沢賢治、作・演出:平田オリザ。
出演:鄭亜美、木引優子、小林亮子、たむらみずほ、渡辺香奈。

茨木市市民会館ユーアイホールでの上演。ホールは約1000席という大きさであるが、その客席はまったく使わず、舞台上に仮設された客席で観劇する。20席×5段=100名という規模。最前列に座ったので役者さんとの距離は1メートルもない。

この「銀河鉄道の夜」は、もとは2010年にフランスの児童向けに上演した作品を、今回日本語版に書き換えたもの。2011年3月の東日本大震災を経て、この物語の持つ意味はさらに大きなものとなったように感じた。

カムパネルラの着ている服(水色のシャツに黒のベスト)が、最後にスクリーンの映像に溶け込むように消えていくシーンが、美しくまた悲しく、印象的だった。

上演後は平田オリザさんのアフタートークもあり、観客との間で活発な質疑応答が行われた。

上演時間:約60分。

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2012年04月11日

青年団公演「隣にいても一人 関西編」

作・演出:平田オリザ。こまばアゴラ劇場にて。

目が覚めたら夫婦になっていた2人と離婚寸前の2人、しかも男同士女同士はきょうだいという二組の夫婦をめぐる物語。たった4人の登場人物であるにも関わらず、舞台に4人が揃っている時、3人の時、2人の時、1人の時、0人の時と、人間の関係性が様々に変化していく。

今回見たのは登場人物が関西弁を喋る「関西編」だが、他にも「帯広編」「盛岡編」「三重編」「広島編」「青森編」「熊本編」「英語版」の計8バージョンがあるとのこと。同じ作品を別の方言で聞くとどう違うのか、そんな楽しみ方もできるわけだ。

題名は尾崎放哉の「咳をしても一人」のパロディだろう。内容的には喜劇なのだが、夫婦のあり方についてしみじみと考えさせられる作品であった。
posted by 松村正直 at 00:17| Comment(0) | 演劇・美術・講演 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする