監督・脚本:パトリス・ルコント
原作:ジョルジュ・シムノン
出演:ジェラール・ドパルデュー、ジャド・ラベスト、メラニー・ベルニエ、オーロール・クレマンほか
舞台は1953年のパリ。ドレスを着た身元不明の若い女性の死体が発見され、メグレ警視が事件の謎を追う。
憧れの都市を目指して地方から若者が集まってくるのは、どこの国でも同じことなのだろう。そんな若者たちに老年を迎えたメグレがやさしく寄り添う姿が印象的だ。
京都シネマ、89分。
2023年03月29日
2023年03月21日
映画「四畳半タイムマシンブルース」
原作:森見登美彦、上田誠(原案)
監督:夏目真悟
脚本:上田誠
キャラクター原案:中村佑介
森見登美彦の小説『四畳半神話大系』の上田誠の戯曲『サマータイムマシーン・ブルース』のコラボ作品のアニメ化。成り立ちは少し複雑だが、別に何の知識も前提も必要とせずに楽しめる作品に仕上がっている。
京都の出町柳周辺が舞台になっている映画を「出町座」で観るのは、味わい深いことだ。昨年12月からロングランが続いていて、大学生らしい若者を中心に多くの客で賑わっていた。
出町座、92分。
監督:夏目真悟
脚本:上田誠
キャラクター原案:中村佑介
森見登美彦の小説『四畳半神話大系』の上田誠の戯曲『サマータイムマシーン・ブルース』のコラボ作品のアニメ化。成り立ちは少し複雑だが、別に何の知識も前提も必要とせずに楽しめる作品に仕上がっている。
京都の出町柳周辺が舞台になっている映画を「出町座」で観るのは、味わい深いことだ。昨年12月からロングランが続いていて、大学生らしい若者を中心に多くの客で賑わっていた。
出町座、92分。
2023年02月11日
映画「イチケイのカラス」
監督:田中亮
脚本:浜田秀哉
原作:浅見理都『イチケイのカラス』
出演:竹野内豊、黒木華、斎藤工、山崎育三郎、田中みな実ほか
主演の2人が好きでテレビドラマも良かったのだけれど、映画は今ひとつかな。映画だとどうしても脚本が頑張って、内容を詰め込み過ぎてしまうのかもしれない。
吉田羊の台詞を聞きながら、映画「沈黙のパレード」を思い出した。
ムービックス京都、119分。
脚本:浜田秀哉
原作:浅見理都『イチケイのカラス』
出演:竹野内豊、黒木華、斎藤工、山崎育三郎、田中みな実ほか
主演の2人が好きでテレビドラマも良かったのだけれど、映画は今ひとつかな。映画だとどうしても脚本が頑張って、内容を詰め込み過ぎてしまうのかもしれない。
吉田羊の台詞を聞きながら、映画「沈黙のパレード」を思い出した。
ムービックス京都、119分。
2023年02月05日
映画「ヨーヨー」
監督・脚本・主演:ピエール・エテックス
「ピエール・エテックス レトロスペクティブ」の一篇として上映された1965年の作品。
構図や動きや音響やカメラワークなど、一つ一つのシーンがよく計算されていて面白い。親子二代にわたる時代の移り変わりが、しみじみとした味わいで描かれている。
サーカスの場面も多くあって、先月見たチャップリンの「サーカス」を思い出した。
京都シネマ、98分。
「ピエール・エテックス レトロスペクティブ」の一篇として上映された1965年の作品。
構図や動きや音響やカメラワークなど、一つ一つのシーンがよく計算されていて面白い。親子二代にわたる時代の移り変わりが、しみじみとした味わいで描かれている。
サーカスの場面も多くあって、先月見たチャップリンの「サーカス」を思い出した。
京都シネマ、98分。
2023年01月27日
映画「すずめの戸締まり」
原作・脚本・監督:新海誠
声:原菜乃華、松村北斗、深津絵里、染谷将太、伊藤沙莉ほか
主人公が宮崎、愛媛、神戸、東京、岩手と旅するロードムービー。1970〜80年代の懐かし過ぎる曲が、挿入歌として数多く出てくる。
ファンタジー色の強い話なのかと思っていたら、震災を描いた生々しい作品だった。
Tジョイ京都、122分。
声:原菜乃華、松村北斗、深津絵里、染谷将太、伊藤沙莉ほか
主人公が宮崎、愛媛、神戸、東京、岩手と旅するロードムービー。1970〜80年代の懐かし過ぎる曲が、挿入歌として数多く出てくる。
ファンタジー色の強い話なのかと思っていたら、震災を描いた生々しい作品だった。
Tジョイ京都、122分。
2023年01月21日
映画「柳川」
監督:チャン・リュル
出演:チャン・ルーイー、シン・バイチン、ニー・ニー、池松壮亮
原題:漫長的告白
中国人の兄弟がかつての恋人を訪ねて日本の柳川を旅する物語。柳川の掘割や古い町並みを舞台に、現在と過去が交錯する。
チュンとチュアンがベンチで話している前を自転車でドンが行ったり来たりする場面が、最高に良かった。
柳川は何度か行くチャンスがあったのだけど、まだ訪れたことのない町。この映画を見て、ますます行きたくなってきた。
京都シネマ、112分。
出演:チャン・ルーイー、シン・バイチン、ニー・ニー、池松壮亮
原題:漫長的告白
中国人の兄弟がかつての恋人を訪ねて日本の柳川を旅する物語。柳川の掘割や古い町並みを舞台に、現在と過去が交錯する。
チュンとチュアンがベンチで話している前を自転車でドンが行ったり来たりする場面が、最高に良かった。
柳川は何度か行くチャンスがあったのだけど、まだ訪れたことのない町。この映画を見て、ますます行きたくなってきた。
京都シネマ、112分。
2023年01月18日
映画「理大囲城」
監督:香港ドキュメンタリー映画工作者
2019年に起きた香港理工大学事件のドキュメンタリー。
民主化を求めるデモ隊が大学構内に立て籠もり、包囲する警官隊との間で激しい衝突が起きた。13日間に及ぶ籠城の末に、一連の運動の中で最多の1377名の逮捕者が出たのである。
カメラは立て籠もりの始めから終わりまでを追い続ける。逃げ場のない状況に追い込まれ、次第に疲労の色が濃くなっていき、デモ隊の内部に対立も生じる。
警官隊や教員の説得を受け入れて投降する者、警官隊と戦って包囲網を突破すべきだと主張する者、粘り強くあくまで籠城を続けるべきだと考える者。
どんな戦いでも、勝つに越したことはない。でも、たとえ負ける戦いであったとしても、いかに負けるかが大事なのだと、強く感じさせられる内容であった。
出町座、88分。
2019年に起きた香港理工大学事件のドキュメンタリー。
民主化を求めるデモ隊が大学構内に立て籠もり、包囲する警官隊との間で激しい衝突が起きた。13日間に及ぶ籠城の末に、一連の運動の中で最多の1377名の逮捕者が出たのである。
カメラは立て籠もりの始めから終わりまでを追い続ける。逃げ場のない状況に追い込まれ、次第に疲労の色が濃くなっていき、デモ隊の内部に対立も生じる。
警官隊や教員の説得を受け入れて投降する者、警官隊と戦って包囲網を突破すべきだと主張する者、粘り強くあくまで籠城を続けるべきだと考える者。
どんな戦いでも、勝つに越したことはない。でも、たとえ負ける戦いであったとしても、いかに負けるかが大事なのだと、強く感じさせられる内容であった。
出町座、88分。
2023年01月14日
映画「土を喰らう十二ヵ月」
監督・脚本:中江裕司
原案:水上勉
料理:土井善晴
出演:沢田研二、松たか子、西田尚美、火野正平、奈良岡朋子ほか
水上勉『土を喰う日々 わが精進十二カ月』ほか何冊かのエッセイ集を元にしたオリジナルストーリー。本の表記は「喰(くら)う」だが、映画では「喰らう」にしてある。「くう」と読まれると困るからだろう。
主演の沢田研二が良かった。料理もどれも美味しそう。最終的に恋愛モノにしなくて正解だったと思う。
京都シネマ、111分。
原案:水上勉
料理:土井善晴
出演:沢田研二、松たか子、西田尚美、火野正平、奈良岡朋子ほか
水上勉『土を喰う日々 わが精進十二カ月』ほか何冊かのエッセイ集を元にしたオリジナルストーリー。本の表記は「喰(くら)う」だが、映画では「喰らう」にしてある。「くう」と読まれると困るからだろう。
主演の沢田研二が良かった。料理もどれも美味しそう。最終的に恋愛モノにしなくて正解だったと思う。
京都シネマ、111分。
2023年01月08日
映画「乳房よ永遠なれ」
監督:田中絹代
脚本:田中澄江
出演:月丘夢路、森雅之、葉山良二、杉葉子、大坂志郎ほか
1955年公開のモノクロ映画。日活110周年記念特集「Nikkatsu World Selection」の一篇として上映された。
若月彰『乳房よ永遠なれ 薄幸の歌人中城ふみ子』や中城ふみ子の歌集『乳房喪失』『花の原型』を元にした内容。ストーリー自体は既に知っているものであったが、戦後の札幌の風景が映されているのが印象に残る。
また、「短歌研究」50首応募1位入選(1954年4月)、歌集『乳房喪失』刊行(7月)、中城の死(8月)、歌集『花の原型』刊行(1955年4月)、若月彰『乳房よ永遠なれ』刊行、映画「乳房よ永遠なれ」公開(11月)という映画化までのスピードの速さにも驚かされた。
京都みなみ会館、110分。
脚本:田中澄江
出演:月丘夢路、森雅之、葉山良二、杉葉子、大坂志郎ほか
1955年公開のモノクロ映画。日活110周年記念特集「Nikkatsu World Selection」の一篇として上映された。
若月彰『乳房よ永遠なれ 薄幸の歌人中城ふみ子』や中城ふみ子の歌集『乳房喪失』『花の原型』を元にした内容。ストーリー自体は既に知っているものであったが、戦後の札幌の風景が映されているのが印象に残る。
また、「短歌研究」50首応募1位入選(1954年4月)、歌集『乳房喪失』刊行(7月)、中城の死(8月)、歌集『花の原型』刊行(1955年4月)、若月彰『乳房よ永遠なれ』刊行、映画「乳房よ永遠なれ」公開(11月)という映画化までのスピードの速さにも驚かされた。
京都みなみ会館、110分。
2023年01月02日
映画「サーカス」「一日の行楽」
チャールズ・チャップリン映画祭(没後45周年「フォーエバー・チャップリン」)で上映中の「サーカス」(1928年)と短篇「一日の行楽」(1919年)を見る。
私が言うまでもないことだけれど、チャップリンは面白い。100年前に撮られた作品なのに、今見ても十分に楽しい。近くに座っていたお客さんは、上映中ずっとゲラゲラ笑い続けていた。
それにしても、檻の中でライオンと一緒になるシーンとか、鋪装中のアスファルトに入って身体が斜めになるシーンとか、どうやって撮影したんだろう。
全15篇の上映なので、また他の作品も見に行きたい。
アップリンク京都、72分、18分。
私が言うまでもないことだけれど、チャップリンは面白い。100年前に撮られた作品なのに、今見ても十分に楽しい。近くに座っていたお客さんは、上映中ずっとゲラゲラ笑い続けていた。
それにしても、檻の中でライオンと一緒になるシーンとか、鋪装中のアスファルトに入って身体が斜めになるシーンとか、どうやって撮影したんだろう。
全15篇の上映なので、また他の作品も見に行きたい。
アップリンク京都、72分、18分。
2022年12月30日
映画「ラーゲリより愛を込めて」
監督:瀬々敬久
原作:辺見じゅん『収容所から来た遺書』
脚本:林民夫
出演:二宮和也、北川景子、松坂桃李、中島健人、桐谷健太、安田顕ほか
第二次世界大戦後、ソ連軍に捕まりシベリアに抑留された人々の姿を描いたストーリー。主演の二宮和也の好演が光る。舞鶴引揚記念館の展示などを思い出した。
一つ気になったのは、顔や衣服が汚れたり粗末なものになっているのに対して、歯並びの良さや白さはそのままであること。もちろんドキュメンタリーではないので、それで構わないのだけれど。
MOVIX京都、134分。
原作:辺見じゅん『収容所から来た遺書』
脚本:林民夫
出演:二宮和也、北川景子、松坂桃李、中島健人、桐谷健太、安田顕ほか
第二次世界大戦後、ソ連軍に捕まりシベリアに抑留された人々の姿を描いたストーリー。主演の二宮和也の好演が光る。舞鶴引揚記念館の展示などを思い出した。
一つ気になったのは、顔や衣服が汚れたり粗末なものになっているのに対して、歯並びの良さや白さはそのままであること。もちろんドキュメンタリーではないので、それで構わないのだけれど。
MOVIX京都、134分。
2022年12月26日
映画「夜、鳥たちが啼く」
監督:城定秀夫
原作:佐藤泰志
出演:山田裕貴、松本まりか、森優理斗、中村ゆりか他
佐藤泰志原作の映画は「海炭市叙景」「そこのみにて光輝く」「オーバー・フェンス」「きみの鳥はうたえる」「草の響き」と、これまですべて見てきた。
どれも暗澹とした中に、わずかな希望だけがあるような話だ。
主人公の小説家は「なんで自分のこと書くの?」と聞かれて、「終わらせたいから」と答える。
そうだよな、ほんとに。
115分、MOVIX京都。
原作:佐藤泰志
出演:山田裕貴、松本まりか、森優理斗、中村ゆりか他
佐藤泰志原作の映画は「海炭市叙景」「そこのみにて光輝く」「オーバー・フェンス」「きみの鳥はうたえる」「草の響き」と、これまですべて見てきた。
どれも暗澹とした中に、わずかな希望だけがあるような話だ。
主人公の小説家は「なんで自分のこと書くの?」と聞かれて、「終わらせたいから」と答える。
そうだよな、ほんとに。
115分、MOVIX京都。
2022年12月20日
映画「擬音」
監督:王婉柔(ワン・ワンロー)
出演:胡定一(フー・ディンイー)
2017年製作の台湾映画。
40年にわたって音響効果技師(フォーリーアーティスト)を務めてきた胡定一をはじめ、擬音に関わる人々のドキュメンタリー。
撮影現場では雑音が入ったり音が小さかったりしてうまく録音できない音声を、場面を再現したり、様々な道具を使ったりして採取する。靴音ひとつでも、ハイヒールの場合、スニーカーの場合、革靴の場合、それぞれ実際に履き替えて音を採る。また、現実に存在しない宝刀を抜く時の音などは、それらしい音が出るように道具を工夫する。
こうしたアナログな職人技は、時代とともに使われなくなってきている。現在ではデジタルな音をミキサーで編集・加工して音を生み出すようになっているのだ。
そうした時代の変化によって失われた世界が、丁寧に鮮やかに記録されている。
京都シネマ、100分。
出演:胡定一(フー・ディンイー)
2017年製作の台湾映画。
40年にわたって音響効果技師(フォーリーアーティスト)を務めてきた胡定一をはじめ、擬音に関わる人々のドキュメンタリー。
撮影現場では雑音が入ったり音が小さかったりしてうまく録音できない音声を、場面を再現したり、様々な道具を使ったりして採取する。靴音ひとつでも、ハイヒールの場合、スニーカーの場合、革靴の場合、それぞれ実際に履き替えて音を採る。また、現実に存在しない宝刀を抜く時の音などは、それらしい音が出るように道具を工夫する。
こうしたアナログな職人技は、時代とともに使われなくなってきている。現在ではデジタルな音をミキサーで編集・加工して音を生み出すようになっているのだ。
そうした時代の変化によって失われた世界が、丁寧に鮮やかに記録されている。
京都シネマ、100分。
2022年12月15日
映画「天上の花」
監督:片嶋一貴
原作:萩原洋子『天上の花―三好達治抄―』
出演:東出昌大、入山法子、吹越満、浦沢直樹、萩原朔美、有森也実ほか
主人公は詩人の三好達治と、萩原朔太郎の妹慶子(本名アイ)。太平洋戦争も終盤の昭和19年から20年にかけて2人は福井県三国町で同居生活を送る。
わずか10か月で終った凄絶な日々を、そこに至るまでの16年間の回想も交えつつ、生々しく描き出している。
三国町は東尋坊を見たことがあるだけ。また行ってみたいな。
125分、京都みなみ会館。
原作:萩原洋子『天上の花―三好達治抄―』
出演:東出昌大、入山法子、吹越満、浦沢直樹、萩原朔美、有森也実ほか
主人公は詩人の三好達治と、萩原朔太郎の妹慶子(本名アイ)。太平洋戦争も終盤の昭和19年から20年にかけて2人は福井県三国町で同居生活を送る。
わずか10か月で終った凄絶な日々を、そこに至るまでの16年間の回想も交えつつ、生々しく描き出している。
山なみ遠(とほ)に春はきて
こぶしの花は天上に
雲はかなたにかへれども
かへるべしらに越ゆる路
『花筐(はながたみ)』(昭和19年)
三国町は東尋坊を見たことがあるだけ。また行ってみたいな。
125分、京都みなみ会館。
2022年12月08日
映画「人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版」
監督:武石浩明
出演:山野井泰史、山野井妙子ほか
単独登攀で世界の数々の巨壁に登ってきた山野井泰史の密着ドキュメンタリー。
現在の伊豆半島での生活やトレーニングの様子に、1996年にヒマラヤ・マカルー西壁に挑戦した時の映像も織り交ぜ、約50年にわたるクライマー人生が描き出される。
難関を一つクリアすると、また次の難関に挑戦する。凍傷で手や足の指を失っても登ることをやめない。まさに山に憑りつかれた人生と言っていいだろう。
命の危険と常に隣り合わせであり、この映画に出ている人の中にもその後に亡くなった人たちがいる。そう考えると、57歳の山野井が今も生きていることの素晴らしさをあらためて強く感じる。
アップリンク京都、109分。
出演:山野井泰史、山野井妙子ほか
単独登攀で世界の数々の巨壁に登ってきた山野井泰史の密着ドキュメンタリー。
現在の伊豆半島での生活やトレーニングの様子に、1996年にヒマラヤ・マカルー西壁に挑戦した時の映像も織り交ぜ、約50年にわたるクライマー人生が描き出される。
難関を一つクリアすると、また次の難関に挑戦する。凍傷で手や足の指を失っても登ることをやめない。まさに山に憑りつかれた人生と言っていいだろう。
命の危険と常に隣り合わせであり、この映画に出ている人の中にもその後に亡くなった人たちがいる。そう考えると、57歳の山野井が今も生きていることの素晴らしさをあらためて強く感じる。
アップリンク京都、109分。
2022年11月12日
映画「男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋」
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
出演:渥美清、いしだあゆみ、柄本明、片岡仁左衛門、倍賞千恵子、吉岡秀隆ほか
1982年公開のシリーズ第29作。
陶芸家を演じる片岡仁左衛門と、女中役のいしだあゆみがいい。陶芸家の自宅シーンは、京都の河井寛次郎記念館で撮影されたとのこと。
シリーズの中でも名作の一つで、印象に残る台詞が多い。丹後の伊根や、鎌倉・江ノ島の風景も美しい。
アップリンク京都、110分。
脚本:山田洋次、朝間義隆
出演:渥美清、いしだあゆみ、柄本明、片岡仁左衛門、倍賞千恵子、吉岡秀隆ほか
1982年公開のシリーズ第29作。
陶芸家を演じる片岡仁左衛門と、女中役のいしだあゆみがいい。陶芸家の自宅シーンは、京都の河井寛次郎記念館で撮影されたとのこと。
シリーズの中でも名作の一つで、印象に残る台詞が多い。丹後の伊根や、鎌倉・江ノ島の風景も美しい。
アップリンク京都、110分。
2022年11月10日
映画「2046」
監督・脚本:ウォン・カーウァイ
出演:トニー・レオン、チャン・ツィイー、フェイ・ウォン、コン・リー、木村拓哉ほか
2004年公開の作品。4Kレストア版による再上映。
「欲望の翼」「花様年華」に続く1960年代シリーズ第3作。
香港のホテルの「2046」号室を舞台に、求め続けても得ることのできない永遠の愛を描いた物語。現在と過去、現実と小説が入り混じり、ぐるぐる回り続けるような感覚になる。
前作「花様年華」とのつながりは、かなり濃い。また、トニー・レオンとフェイ・ウォンのやり取りは「恋する惑星」を思い出させる。
京都シネマ、129分。
出演:トニー・レオン、チャン・ツィイー、フェイ・ウォン、コン・リー、木村拓哉ほか
2004年公開の作品。4Kレストア版による再上映。
「欲望の翼」「花様年華」に続く1960年代シリーズ第3作。
香港のホテルの「2046」号室を舞台に、求め続けても得ることのできない永遠の愛を描いた物語。現在と過去、現実と小説が入り混じり、ぐるぐる回り続けるような感覚になる。
前作「花様年華」とのつながりは、かなり濃い。また、トニー・レオンとフェイ・ウォンのやり取りは「恋する惑星」を思い出させる。
京都シネマ、129分。
2022年11月07日
映画「花様年華」
監督・脚本:ウォン・カーウァイ
出演:トニー・レオン、マギー・チャン
2000年公開の作品。4Kレストア版による再上映。
1960年代の香港を舞台に、アパートの隣人になった男女の、すれ違い交差する運命を描いた物語。
主演の2人がとても魅力的。始まりのテンポの良さに比べて、終わりは何度も引き延ばされる。終わらせ方が難しかったのかもしれない。
京都シネマ、98分。
出演:トニー・レオン、マギー・チャン
2000年公開の作品。4Kレストア版による再上映。
1960年代の香港を舞台に、アパートの隣人になった男女の、すれ違い交差する運命を描いた物語。
主演の2人がとても魅力的。始まりのテンポの良さに比べて、終わりは何度も引き延ばされる。終わらせ方が難しかったのかもしれない。
チャイナドレス息のむまでにうつくしき香港映画「花様年華(かやうねんか)」に/小池光『サーベルと燕』
京都シネマ、98分。
2022年11月01日
映画「続・男はつらいよ」
1969年公開のシリーズ第2作。
「男はつらいよ ビームス篇 寅年」開催記念の特別上映。やはり映画館で見られるのは嬉しい。
冒頭に寅さんの見た夢のシーンが出てくる。これは第1作にはなく、この作品が始まりのようだ。
嵐山、清水寺、毘沙門町、三条大橋など、京都が舞台として出てくるので、今回上映作品に選ばれたのだろう。
恩師役の東野英治郎の存在感が光る。
アップリンク京都、93分。
「男はつらいよ ビームス篇 寅年」開催記念の特別上映。やはり映画館で見られるのは嬉しい。
冒頭に寅さんの見た夢のシーンが出てくる。これは第1作にはなく、この作品が始まりのようだ。
嵐山、清水寺、毘沙門町、三条大橋など、京都が舞台として出てくるので、今回上映作品に選ばれたのだろう。
恩師役の東野英治郎の存在感が光る。
アップリンク京都、93分。
2022年10月26日
映画「男はつらいよ」
1969年公開のシリーズ第1作。
5、6回は見たことがあるのだけれど、ビームスのコラボ商品発売と連動して劇場で上映されるというので、また観に行った。
https://kyoto.uplink.co.jp/movie/2022/9953
とにかくエネルギッシュで楽しい作品。
寅さんが柴又に帰ってくる→騒動を巻き起こす→また家を飛び出す→旅先で女性と出会う→再び柴又に帰ってくる→旅先からの葉書、という「寅さん」シリーズの基本的な流れはこの第1作で作られている。
今回初めて気づいたのだが、ヒロインの冬子が短歌を口ずさむ場面がある。
これは、啄木の〈晴れし空仰げばいつも/口笛を吹きたくなりて/吹きてあそびき〉をアレンジしたものだろう。
それにしても、出てくる人たちがみんな若い。50年という歳月をしみじみと感じる。
そう言えば、さくらと博の結婚披露宴の舞台となった料亭「川甚」も、昨年閉店したとのニュースが流れたっけ。
アップリンク京都、91分。
5、6回は見たことがあるのだけれど、ビームスのコラボ商品発売と連動して劇場で上映されるというので、また観に行った。
https://kyoto.uplink.co.jp/movie/2022/9953
とにかくエネルギッシュで楽しい作品。
寅さんが柴又に帰ってくる→騒動を巻き起こす→また家を飛び出す→旅先で女性と出会う→再び柴又に帰ってくる→旅先からの葉書、という「寅さん」シリーズの基本的な流れはこの第1作で作られている。
今回初めて気づいたのだが、ヒロインの冬子が短歌を口ずさむ場面がある。
口笛は幼き頃の我が友よ吹きたくなれば吹きて遊びき
これは、啄木の〈晴れし空仰げばいつも/口笛を吹きたくなりて/吹きてあそびき〉をアレンジしたものだろう。
それにしても、出てくる人たちがみんな若い。50年という歳月をしみじみと感じる。
そう言えば、さくらと博の結婚披露宴の舞台となった料亭「川甚」も、昨年閉店したとのニュースが流れたっけ。
アップリンク京都、91分。
2022年10月12日
映画「8 1/2」
監督:フェデリコ・フェリーニ
出演:マルチェロ・マストロヤンニ、アヌーク・エーメ、サンドラ・ミーロほか
1963年の作品。「午前十時の映画祭」にて。
タイトルは「はっかにぶんのいち」。
今となっては古風な言い方なので、受付で告げる時にちょっと緊張してしまった。帯分数を「か」と読んでいたのは、いつ頃までのことなんだろう。
京都シネマ、138分。
出演:マルチェロ・マストロヤンニ、アヌーク・エーメ、サンドラ・ミーロほか
1963年の作品。「午前十時の映画祭」にて。
タイトルは「はっかにぶんのいち」。
今となっては古風な言い方なので、受付で告げる時にちょっと緊張してしまった。帯分数を「か」と読んでいたのは、いつ頃までのことなんだろう。
京都シネマ、138分。
2022年10月01日
映画「沈黙のパレード」
監督:西谷弘
原作:東野圭吾
出演:福山雅治、柴咲コウ、北村一輝
人気の「ガリレオ」シリーズの劇場版第3作。
主演の3人、みんな好き。
オープニングがとても鮮やかだった。
T・ジョイ京都、130分。
原作:東野圭吾
出演:福山雅治、柴咲コウ、北村一輝
人気の「ガリレオ」シリーズの劇場版第3作。
主演の3人、みんな好き。
オープニングがとても鮮やかだった。
T・ジョイ京都、130分。
2022年09月27日
映画「アルピニスト」
1992年生まれのクライマー、マーク=アンドレ・ルクレールに2年間にわたって密着取材したドキュメンタリー。
数々の断崖絶壁を命綱なしのフリーソロで登攀する姿をカメラは追う。何百メートルもの高さの壁を両手両足だけで登る姿は、見ているだけで思わず足がすくむ。
でも、彼は常に淡々と、慌てることなく、岩の壁も氷の壁も雪の壁も熟練した技術で登り切る。
インタビューに「登山をすると人生がシンプルになる」と答えていたのが印象的だった。恋人や母親の語る話もいい。
出町座、93分。
数々の断崖絶壁を命綱なしのフリーソロで登攀する姿をカメラは追う。何百メートルもの高さの壁を両手両足だけで登る姿は、見ているだけで思わず足がすくむ。
でも、彼は常に淡々と、慌てることなく、岩の壁も氷の壁も雪の壁も熟練した技術で登り切る。
インタビューに「登山をすると人生がシンプルになる」と答えていたのが印象的だった。恋人や母親の語る話もいい。
出町座、93分。
2022年09月14日
映画「長崎の郵便配達」
監督・撮影:川瀬美香
出演:イザベル・タウンゼンド、谷口稜曄、ピーター・タウンゼンド
長崎で被爆した少年を描いたノンフィクション『ナガサキの郵便配達』(1984年)の著者ピーター・タウンゼンド。その娘であるイザベル・タウンゼンドが、2018年夏に長崎を訪れ、父の本や取材テープを元に父の足跡をたどるドキュメンタリー。
https://www.amazon.co.jp/Postman-Nagasaki-Peter-Townsend/dp/0140081364
『ナガサキの郵便配達』に登場するのは、16歳で被爆して全身大火傷を負い、後に核兵器廃絶の運動を続けた谷口稜曄(すみてる)。彼とピーター・タウンゼンドの間に結ばれた友情や平和にかける思いが、イザベルの訪問によって明らかになっていく。
インタビューに答えるイザベルの英語が聞き取りやすいと感じたのだが、フランス生まれでフランスに暮らす人であった。イザベルの旅に夫と2人の娘が同行しているのが印象的だ。
『ナガサキの郵便配達』(The Postman of Nagasaki)と映画「長崎の郵便配達」(The Postman from Nagasaki)は同じ題のようで、実は「of」と「from」の違いがある。そこに、故人の遺志を受け継ぎ伝えていく決意をしたイザベルの思いが表されている。
京都みなみ会館、97分。
出演:イザベル・タウンゼンド、谷口稜曄、ピーター・タウンゼンド
長崎で被爆した少年を描いたノンフィクション『ナガサキの郵便配達』(1984年)の著者ピーター・タウンゼンド。その娘であるイザベル・タウンゼンドが、2018年夏に長崎を訪れ、父の本や取材テープを元に父の足跡をたどるドキュメンタリー。
https://www.amazon.co.jp/Postman-Nagasaki-Peter-Townsend/dp/0140081364
『ナガサキの郵便配達』に登場するのは、16歳で被爆して全身大火傷を負い、後に核兵器廃絶の運動を続けた谷口稜曄(すみてる)。彼とピーター・タウンゼンドの間に結ばれた友情や平和にかける思いが、イザベルの訪問によって明らかになっていく。
インタビューに答えるイザベルの英語が聞き取りやすいと感じたのだが、フランス生まれでフランスに暮らす人であった。イザベルの旅に夫と2人の娘が同行しているのが印象的だ。
『ナガサキの郵便配達』(The Postman of Nagasaki)と映画「長崎の郵便配達」(The Postman from Nagasaki)は同じ題のようで、実は「of」と「from」の違いがある。そこに、故人の遺志を受け継ぎ伝えていく決意をしたイザベルの思いが表されている。
京都みなみ会館、97分。
2022年09月09日
映画「霧幻鉄道」
監督・撮影:安孫子亘
出演:星賢孝、大竹惠子、塩田恵介、大越智貴ほか
福島県の会津若松駅と新潟県魚沼市の小出駅を結ぶJR只見線。全36駅、全長135.2キロに及ぶローカル線である。
2011年7月に起きた集中豪雨のため一部不通の状態が続く只見線の復旧までの道のりと、只見線を走る列車と奥会津の風景を年間300日も撮影する郷土写真家、星賢孝を描いたドキュメンタリー。
只見線の沿線風景の美しさと、地元の方々の鉄道復旧にかける思い、そして何よりも星賢孝の行動力と人柄の魅力に溢れた作品となっている。
只見線は今年10月から、実に11年ぶりに全線開通する予定。これはぜひ乗りに行かなくては!
星賢孝氏撮影の写真のポストカード。
アップリンク京都、80分。
2022年09月03日
映画「時代革命」
監督:キウィ・チョウ
2019年に香港で起きた民主化を求めるデモを描いたドキュメンタリー。
最大で200万人に達したと言われるデモの様子や、香港立法会の占拠、警官との激しい衝突、香港中文大学や香港理工大学での籠城戦などが、180日間に及ぶ生々しい映像と参加者へのインタビューによって描かれている。
民主化や自由を求める強い情熱と高揚感を感じる内容であった。一方で、その後の香港国家安全維持法の制定や言論弾圧の強化といった現状を見ると、このデモの歴史的な評価が定まるのはまだ当分先のことになるのだろうと思う。
京都シネマ、158分。
2019年に香港で起きた民主化を求めるデモを描いたドキュメンタリー。
最大で200万人に達したと言われるデモの様子や、香港立法会の占拠、警官との激しい衝突、香港中文大学や香港理工大学での籠城戦などが、180日間に及ぶ生々しい映像と参加者へのインタビューによって描かれている。
民主化や自由を求める強い情熱と高揚感を感じる内容であった。一方で、その後の香港国家安全維持法の制定や言論弾圧の強化といった現状を見ると、このデモの歴史的な評価が定まるのはまだ当分先のことになるのだろうと思う。
京都シネマ、158分。
2022年08月30日
映画「天使の涙」
原題:堕落天使
監督・脚本:ウォン・カーウァイ
撮影:クリストファー・ドイル
出演:レオン・ライ、ミシェール・リー、金城武、チャーリー・ヤン、カレン・モクほか
1995年公開の香港映画。
香港の街を舞台に繰り広げられる5名の男女の群像劇。
肉屋に置かれた豚の背中に乗ってマッサージする場面とか、「毎日雨が降ってくれればいいのにな」とか、何度見ても印象に残る。
見終ってから気がついたのだけど、言葉によるコミュニケーションが実はほとんどない。すれ違ったり、寄り添ったり、察したりしながら、話が進んでいく。
京都シネマ、99分。
監督・脚本:ウォン・カーウァイ
撮影:クリストファー・ドイル
出演:レオン・ライ、ミシェール・リー、金城武、チャーリー・ヤン、カレン・モクほか
1995年公開の香港映画。
香港の街を舞台に繰り広げられる5名の男女の群像劇。
肉屋に置かれた豚の背中に乗ってマッサージする場面とか、「毎日雨が降ってくれればいいのにな」とか、何度見ても印象に残る。
見終ってから気がついたのだけど、言葉によるコミュニケーションが実はほとんどない。すれ違ったり、寄り添ったり、察したりしながら、話が進んでいく。
京都シネマ、99分。
2022年08月25日
映画「恋する惑星」
原題:重慶森林
監督・脚本:ウォン・カーウァイ
撮影:クリストファー・ドイル、アンドリュー・ラウ
出演:トニー・レオン、フェイ・ウォン、ブリジット・リン、金城武ほか
1994年公開の香港映画。
香港の街を舞台に繰り広げられる2組の男女のラブストーリー。
まだ20歳代だった頃、函館のシネマアイリスで「天使の涙」とともに見て、強烈な印象を受けた。その感動は今回も変わらず、あらためて名作だと思った。主題歌「夢中人」が頭のなかに流れ続ける。
現在、ウォン・カーウァイの5作品が4Kレストア版で公開中。
https://unpfilm.com/wkw4k/
昔見た映画を見ると、映画の記憶だけでなくその時の自分自身のことが鮮やかに思い出される。
京都シネマ、102分。
監督・脚本:ウォン・カーウァイ
撮影:クリストファー・ドイル、アンドリュー・ラウ
出演:トニー・レオン、フェイ・ウォン、ブリジット・リン、金城武ほか
1994年公開の香港映画。
香港の街を舞台に繰り広げられる2組の男女のラブストーリー。
まだ20歳代だった頃、函館のシネマアイリスで「天使の涙」とともに見て、強烈な印象を受けた。その感動は今回も変わらず、あらためて名作だと思った。主題歌「夢中人」が頭のなかに流れ続ける。
現在、ウォン・カーウァイの5作品が4Kレストア版で公開中。
https://unpfilm.com/wkw4k/
昔見た映画を見ると、映画の記憶だけでなくその時の自分自身のことが鮮やかに思い出される。
京都シネマ、102分。
2022年08月06日
映画「サッド・ヴァケイション」
監督・脚本・原作:青山真治
出演:浅野忠信、石田えり、宮崎あおい、オダギリジョーほか
2007年公開の作品。今年3月に亡くなった青山監督の追悼上映。
『Helpless』『EUREKA』に続く〈北九州サーガ〉の第3作。三部作がつながっていると知らず前2作を観ずに観てしまったのだが、大きな問題はなかった。
登場人物のキャラクターが濃い。普段の会話のような喋り方と北九州弁とで聞き取れない台詞もあるのだけど、それも特に気にならない。
ずっしりとした味わいの残る作品であった。
136分、出町座。
出演:浅野忠信、石田えり、宮崎あおい、オダギリジョーほか
2007年公開の作品。今年3月に亡くなった青山監督の追悼上映。
『Helpless』『EUREKA』に続く〈北九州サーガ〉の第3作。三部作がつながっていると知らず前2作を観ずに観てしまったのだが、大きな問題はなかった。
登場人物のキャラクターが濃い。普段の会話のような喋り方と北九州弁とで聞き取れない台詞もあるのだけど、それも特に気にならない。
ずっしりとした味わいの残る作品であった。
136分、出町座。
2022年07月28日
映画「パリ13区」
監督:ジャック・オーディアール
出演:ルーシー・チャン、マキタ・サンバ、ノエミ・メルラン、ジェニー・ベスほか
パリに住む30歳前後の男女4人の群像劇。
恋愛や性愛を描きつつ、性的虐待や人種と移民の問題などが背景に見えてくるところが良かった。
パリの行政区は1〜20区まであって、ネットで調べたところ13区と言うとチャイナタウンのイメージが強いらしい。なるほど。
京都みなみ会館、105分。
出演:ルーシー・チャン、マキタ・サンバ、ノエミ・メルラン、ジェニー・ベスほか
パリに住む30歳前後の男女4人の群像劇。
恋愛や性愛を描きつつ、性的虐待や人種と移民の問題などが背景に見えてくるところが良かった。
パリの行政区は1〜20区まであって、ネットで調べたところ13区と言うとチャイナタウンのイメージが強いらしい。なるほど。
京都みなみ会館、105分。
2022年07月26日
映画「トップガン マーヴェリック」
監督:ジョセフ・コジンスキー
出演:トム・クルーズ、マイルズ・テラー、ジェニファー・コネリー、ジョン・ハム、グレン・パウエル、ルイス・プルマン、エド・ハリス、ヴァル・キルマーほか
1986年公開の「トップガン」の続篇。
主演のトム・クルーズは1962年生まれなので今年で60歳。「ミッション・インポッシブル」シリーズで今も活躍しているのは知っていたけれど、実に若々しい。
感想はいろいろあるが、随所に「スター・ウォーズ」を感じた。「考えるな、行動しろ」は「考えるな、感じろ」みたいだし、敵の基地を破壊するミッションはデス・スター破壊の場面にそっくり。
それにしても、36年ぶりの続篇って考えることがすごいな。
MOVIX京都、131分。
出演:トム・クルーズ、マイルズ・テラー、ジェニファー・コネリー、ジョン・ハム、グレン・パウエル、ルイス・プルマン、エド・ハリス、ヴァル・キルマーほか
1986年公開の「トップガン」の続篇。
主演のトム・クルーズは1962年生まれなので今年で60歳。「ミッション・インポッシブル」シリーズで今も活躍しているのは知っていたけれど、実に若々しい。
感想はいろいろあるが、随所に「スター・ウォーズ」を感じた。「考えるな、行動しろ」は「考えるな、感じろ」みたいだし、敵の基地を破壊するミッションはデス・スター破壊の場面にそっくり。
それにしても、36年ぶりの続篇って考えることがすごいな。
MOVIX京都、131分。
2022年07月15日
映画「チロンヌㇷ゚カムイ イオマンテ」
監督:北村皆雄
語り:豊川容子
監修・カムイノミ対語訳:中川裕
1986年に北海道の美幌峠で行われた「キタキツネの霊送り」の記録映像を元に編集した作品。司祭の日川善次郎エカシ(長老)が唱える祈りの言葉には、日本語訳が付けられている。
儀式の内容は、本で読んだことのある熊のイオマンテとほぼ同じだ。
前夜にアペフチカムイ(火の神)に祈りが捧げられ、歌や踊りが披露される。当日は、祭壇にイナウ(木幣)やシト(団子)、トノト(酒)が供えられ、檻から出されたキタキツネをもてなし花矢を射て遊ばせる。そして、最後に二本の丸太で首を挟んで絶命させるのだ。その後、キタキツネを解体して頭骨を飾る。
印象的だったのは、祭に参加した人々の現在の姿を取材しているところ。35年経って亡くなった人も多く、あたりの風景もずいぶんと変った。小学生だったエカシの二人の孫は、今は東京と札幌に暮らしているそうだ。
京都シネマ、105分。
語り:豊川容子
監修・カムイノミ対語訳:中川裕
1986年に北海道の美幌峠で行われた「キタキツネの霊送り」の記録映像を元に編集した作品。司祭の日川善次郎エカシ(長老)が唱える祈りの言葉には、日本語訳が付けられている。
儀式の内容は、本で読んだことのある熊のイオマンテとほぼ同じだ。
前夜にアペフチカムイ(火の神)に祈りが捧げられ、歌や踊りが披露される。当日は、祭壇にイナウ(木幣)やシト(団子)、トノト(酒)が供えられ、檻から出されたキタキツネをもてなし花矢を射て遊ばせる。そして、最後に二本の丸太で首を挟んで絶命させるのだ。その後、キタキツネを解体して頭骨を飾る。
印象的だったのは、祭に参加した人々の現在の姿を取材しているところ。35年経って亡くなった人も多く、あたりの風景もずいぶんと変った。小学生だったエカシの二人の孫は、今は東京と札幌に暮らしているそうだ。
京都シネマ、105分。
2022年07月09日
映画「ヘィ!ティーチャーズ!」
監督:ユリア・ヴィシュネヴェッツ
出演:エカテリーナ・マモントワ、ワシリイ・ハリトノフほか
配給:豊岡劇場
モスクワの大学を出た2人の新人教師が、地方都市の学校に赴任して過ごす一年間のドキュメンタリー。理想と現実の差に悩みながら、生徒と過ごす日々が描かれる。
ドラマだと思って見たのだが、パンフレットを読むとドキュメンタリーであった。生徒たちが時おりカメラに向かって喋ったりしていたのは、そのためだったのか。
ロシアの教育現場の抱える様々な問題が見えてくる作品だ。

豊岡劇場は1927年に芝居小屋として開業した古い歴史を持つ。残念ながら8月末での休館が決まっているので、その前にぜひ訪れたいと思ってやって来た。
今後も応援していきたい。
豊岡劇場、90分。
出演:エカテリーナ・マモントワ、ワシリイ・ハリトノフほか
配給:豊岡劇場
モスクワの大学を出た2人の新人教師が、地方都市の学校に赴任して過ごす一年間のドキュメンタリー。理想と現実の差に悩みながら、生徒と過ごす日々が描かれる。
ドラマだと思って見たのだが、パンフレットを読むとドキュメンタリーであった。生徒たちが時おりカメラに向かって喋ったりしていたのは、そのためだったのか。
ロシアの教育現場の抱える様々な問題が見えてくる作品だ。
豊岡劇場は1927年に芝居小屋として開業した古い歴史を持つ。残念ながら8月末での休館が決まっているので、その前にぜひ訪れたいと思ってやって来た。
今後も応援していきたい。
豊岡劇場、90分。
2022年07月05日
映画「私のはなし 部落のはなし」
監督:満若勇咲
プロデューサー:大島新
部落差別の起源や歴史、現在の状況などを描いたドキュメンタリー。長い時間をかけ、多くの関係者に取材やインタビューをして、差別が生み出される構造や根深さを浮かび上がらせている。
休憩を挟んで3時間25分もある作品だが、編集が行き届いていて長いとは感じない。元になった映像はこの何百倍もあるのだろう。
このドキュメンタリーの優れている点は、対立する人々や立場の異なる人々のそれぞれの意見をきちんと聞いていることだろう。例えば「鳥取ループ裁判」に関しても、原告の部落解放同盟の人々だけでなく、被告となった示現舎の宮部龍彦にも密着取材をしている。
また、結婚差別の問題にしても、差別を受けた側だけでなく、「結婚相手の身元調査をする。自分の子は部落の人とは結婚させない」と語る人からも話を聞いている。
何が正しくて何が間違っているかを性急に問うのではなく、監督自身も含め私たち一人一人がこの問題について深く知り、より良く考えるための手掛かりをたくさん示してくれる作品であった。
京都みなみ会館、205分。
プロデューサー:大島新
部落差別の起源や歴史、現在の状況などを描いたドキュメンタリー。長い時間をかけ、多くの関係者に取材やインタビューをして、差別が生み出される構造や根深さを浮かび上がらせている。
休憩を挟んで3時間25分もある作品だが、編集が行き届いていて長いとは感じない。元になった映像はこの何百倍もあるのだろう。
このドキュメンタリーの優れている点は、対立する人々や立場の異なる人々のそれぞれの意見をきちんと聞いていることだろう。例えば「鳥取ループ裁判」に関しても、原告の部落解放同盟の人々だけでなく、被告となった示現舎の宮部龍彦にも密着取材をしている。
また、結婚差別の問題にしても、差別を受けた側だけでなく、「結婚相手の身元調査をする。自分の子は部落の人とは結婚させない」と語る人からも話を聞いている。
何が正しくて何が間違っているかを性急に問うのではなく、監督自身も含め私たち一人一人がこの問題について深く知り、より良く考えるための手掛かりをたくさん示してくれる作品であった。
京都みなみ会館、205分。
2022年06月21日
映画「東京2020オリンピック SIDE:A」
総監督:河瀬直美
東京オリンピックの公式映画として製作されたドキュメンタリー2部作の第1作。平日の 9:10 の回ということもあってか、観客は私一人であった。
毀誉褒貶の激しい作品だが、過不足なくまとまっているという印象を受けた。オリンピック開催に反対する人々や新型コロナの医療現場などにも目配りしている。
幼児を連れて参加したカナダの女子バスケ選手、大会の1年延期によって引退した日本の女子バスケ選手、内戦の続くシリアを脱出してドイツで練習する男子水泳選手、黒人差別に声を上げるアメリカの女子ハンマー投げの選手、イランから亡命してモンゴル代表になった男子柔道選手、旧ソ連・ドイツの代表を経て8度目のオリンピック出場となるウズベキスタンの女子体操の選手など。
様々な社会問題と絡めつつ、一人一人の選手のエピソードをまとめている。そのあたりの手際の良さが、逆にもの足りなさを感じさせるのだけれども。
Tジョイ京都、120分。
東京オリンピックの公式映画として製作されたドキュメンタリー2部作の第1作。平日の 9:10 の回ということもあってか、観客は私一人であった。
毀誉褒貶の激しい作品だが、過不足なくまとまっているという印象を受けた。オリンピック開催に反対する人々や新型コロナの医療現場などにも目配りしている。
幼児を連れて参加したカナダの女子バスケ選手、大会の1年延期によって引退した日本の女子バスケ選手、内戦の続くシリアを脱出してドイツで練習する男子水泳選手、黒人差別に声を上げるアメリカの女子ハンマー投げの選手、イランから亡命してモンゴル代表になった男子柔道選手、旧ソ連・ドイツの代表を経て8度目のオリンピック出場となるウズベキスタンの女子体操の選手など。
様々な社会問題と絡めつつ、一人一人の選手のエピソードをまとめている。そのあたりの手際の良さが、逆にもの足りなさを感じさせるのだけれども。
Tジョイ京都、120分。
2022年06月07日
映画「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」
監督:安彦良和
原作:矢立肇、富野由悠季
声優:古谷徹、成田剣、新井里美、潘めぐみ、古川登志夫、武内駿輔ほか
1979年放映のテレビアニメ「機動戦士ガンダム」の15話を基にした劇場版アニメ。特にガンダムファンではないのだけれど、やはりファーストガンダムにはそれなりの思い入れがある。
40年以上経って見る懐かしさもあるし、モビルスーツの格闘戦のかっこ良さもある。そして、戦争をめぐる問い掛けは時代を超えて変わらないことも感じた。
冒頭の10分間を公式サイトで観ることができます。
https://g-doan.net/
Tジョイ京都、109分。
原作:矢立肇、富野由悠季
声優:古谷徹、成田剣、新井里美、潘めぐみ、古川登志夫、武内駿輔ほか
1979年放映のテレビアニメ「機動戦士ガンダム」の15話を基にした劇場版アニメ。特にガンダムファンではないのだけれど、やはりファーストガンダムにはそれなりの思い入れがある。
40年以上経って見る懐かしさもあるし、モビルスーツの格闘戦のかっこ良さもある。そして、戦争をめぐる問い掛けは時代を超えて変わらないことも感じた。
冒頭の10分間を公式サイトで観ることができます。
https://g-doan.net/
Tジョイ京都、109分。
2022年05月05日
映画「コーダ あいのうた」
監督・脚本:シアン・ヘダー
出演:エミリア・ジョーンズ、トロイ・コッツァー、ダニエル・デュラント、マーリー・マトリン、エウヘニオ・デルベスほか
第94回アカデミー賞の作品賞、脚色賞、助演男優賞を受賞。
タイトルの「コーダ」(CODA)はChildren of Deaf Adult/sのことで、聴覚障害者の親を持つ子を指す。
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20151008-OYTEW52654/
このところ映画を観て泣くことが多くなった。齢を取ったということだろうな。実生活ではほとんど泣かないのだけれど。
出町座、111分。
出演:エミリア・ジョーンズ、トロイ・コッツァー、ダニエル・デュラント、マーリー・マトリン、エウヘニオ・デルベスほか
第94回アカデミー賞の作品賞、脚色賞、助演男優賞を受賞。
タイトルの「コーダ」(CODA)はChildren of Deaf Adult/sのことで、聴覚障害者の親を持つ子を指す。
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20151008-OYTEW52654/
このところ映画を観て泣くことが多くなった。齢を取ったということだろうな。実生活ではほとんど泣かないのだけれど。
出町座、111分。
2022年04月21日
映画「アネット」
監督:レオス・カラックス
出演:アダム・ドライバー、マリオン・コティヤール、サイモン・ヘルバークほか
大学時代に「ポンヌフの恋人」を見て以来、レオス・カラックスはちょっと特別な存在の監督。
何とも不思議な作品で、映画館を出て京都駅までぼんやりと歩いた。
2020年、フランス・ドイツ・ベルギー・日本・メキシコ合作
京都シネマ、140分。
出演:アダム・ドライバー、マリオン・コティヤール、サイモン・ヘルバークほか
大学時代に「ポンヌフの恋人」を見て以来、レオス・カラックスはちょっと特別な存在の監督。
何とも不思議な作品で、映画館を出て京都駅までぼんやりと歩いた。
2020年、フランス・ドイツ・ベルギー・日本・メキシコ合作
京都シネマ、140分。
2022年04月16日
映画「親愛なる同志たちへ」
監督・脚本:アンドレイ・コンチャロフスキー
出演:ユリア・ビスツカヤ、ウラジスラフ・コマロフ、アンドレイ・グセフほか
1962年にソ連で起きた労働者蜂起の弾圧「ノヴォチェルカッスク事件」を舞台に、国に仕える共産党員であり、ひとり娘の母である主人公が、二つの立場に引き裂かれていく姿を描き出している。
フルシチョフによるスターリン批判や軍とKGBの対立、ドン・コサック軍の一員であった父のことなど、歴史的な背景について詳しい人ならさらに深く味わえる作品だろう。
121分、アップリンク京都。
出演:ユリア・ビスツカヤ、ウラジスラフ・コマロフ、アンドレイ・グセフほか
1962年にソ連で起きた労働者蜂起の弾圧「ノヴォチェルカッスク事件」を舞台に、国に仕える共産党員であり、ひとり娘の母である主人公が、二つの立場に引き裂かれていく姿を描き出している。
フルシチョフによるスターリン批判や軍とKGBの対立、ドン・コサック軍の一員であった父のことなど、歴史的な背景について詳しい人ならさらに深く味わえる作品だろう。
121分、アップリンク京都。
2022年04月10日
映画「ちょっと思い出しただけ」
監督・脚本:松居大悟
出演:池松壮亮、伊藤沙莉、河合優実、國村隼、永瀬正敏ほか
ジム・ジャームッシュ監督へのオマージュが随所に感じられる作品。「ナイト・オン・ザ・プラネット」を見ているシーンやベンチに座る永瀬正敏が出てくるだけでなく、作品のコンセプトそのものに共通点がある。
主演の2人の声がいい。池松の優しく語り掛けるような口調も魅力的だし、伊藤のハスキーな声も心地よい。声って大切だな。
アップリンク京都、115分。
出演:池松壮亮、伊藤沙莉、河合優実、國村隼、永瀬正敏ほか
ジム・ジャームッシュ監督へのオマージュが随所に感じられる作品。「ナイト・オン・ザ・プラネット」を見ているシーンやベンチに座る永瀬正敏が出てくるだけでなく、作品のコンセプトそのものに共通点がある。
主演の2人の声がいい。池松の優しく語り掛けるような口調も魅力的だし、伊藤のハスキーな声も心地よい。声って大切だな。
アップリンク京都、115分。
2022年03月22日
映画「ホテルアイリス」
監督・脚本:奥原浩志
原作:小川洋子
出演:永瀬正敏、陸夏(ルシア)、リー・カンション、菜葉菜、寛一郎ほか
日本と台湾の合作映画。
撮影は台湾の離島である金門島で行われたとのこと。地図を見ると中国本土のアモイのすぐ近く、かつて中国と台湾の間で砲撃戦が行われた舞台でもある。
永瀬正敏は好きな俳優で、出演する作品はよく見に行っている。台湾の新人女優の陸夏も存在感を放っていた。
京都シネマ、100分。
原作:小川洋子
出演:永瀬正敏、陸夏(ルシア)、リー・カンション、菜葉菜、寛一郎ほか
日本と台湾の合作映画。
撮影は台湾の離島である金門島で行われたとのこと。地図を見ると中国本土のアモイのすぐ近く、かつて中国と台湾の間で砲撃戦が行われた舞台でもある。
永瀬正敏は好きな俳優で、出演する作品はよく見に行っている。台湾の新人女優の陸夏も存在感を放っていた。
京都シネマ、100分。
2022年02月22日
映画「テレビで会えない芸人」
監督:四元良隆、牧祐樹
出演:松元ヒロ
社会風刺・政治風刺の笑いを持ち味とする芸人松元ヒロのドキュメンタリー。2019年に出身地の鹿児島テレビで製作されたローカル番組をもとに、追加取材の上で映画化された作品である。
コミックバンド「笑パーティー」やコントグループ「ザ・ニュースペーパー」を経て1998年に独立した松元は、現在はテレビでなく舞台を活躍の場としている。その姿をテレビ局が追ったというのが、まず面白い。
稽古風景、食事風景、家での姿、舞台での姿、妻や息子とのやり取り、かつての仲間との再会、恩師との再会。どんな場面においても、松元の芯の通った姿勢と柔らかな笑顔は変わらない。
良質なドキュメンタリーであるのは間違いないのだが、一方で「芸人松元ヒロ」ではない表情や素顔にもっと迫って欲しかったとも思う。そこがテレビ局のディレクターである監督の限界を示しているようにも感じた。
京都シネマ、81分。
出演:松元ヒロ
社会風刺・政治風刺の笑いを持ち味とする芸人松元ヒロのドキュメンタリー。2019年に出身地の鹿児島テレビで製作されたローカル番組をもとに、追加取材の上で映画化された作品である。
コミックバンド「笑パーティー」やコントグループ「ザ・ニュースペーパー」を経て1998年に独立した松元は、現在はテレビでなく舞台を活躍の場としている。その姿をテレビ局が追ったというのが、まず面白い。
稽古風景、食事風景、家での姿、舞台での姿、妻や息子とのやり取り、かつての仲間との再会、恩師との再会。どんな場面においても、松元の芯の通った姿勢と柔らかな笑顔は変わらない。
良質なドキュメンタリーであるのは間違いないのだが、一方で「芸人松元ヒロ」ではない表情や素顔にもっと迫って欲しかったとも思う。そこがテレビ局のディレクターである監督の限界を示しているようにも感じた。
京都シネマ、81分。
2022年02月08日
映画「日高線と生きる」
監督:稲塚秀孝
2020年に路線の約8割が廃止となったJR北海道の日高線を描いたドキュメンタリー。
2015年の高潮被害で不通となってから廃止に至るまでの経緯や、沿線住民による廃線跡ウォークの試み、さらには競走馬の育成や昆布漁、美しい自然の風景などが映し出される。
苫小牧〜様似の146.5キロを結んでいた日高線は、鵡川〜様似の116キロが廃止され、わずか30.5キロの路線となってしまった。静内駅も浦河駅ももう列車が走ることはない。
過疎化や高齢化、自動車の普及といった背景は、全国各地に共通するものだ。廃線跡が草に覆われた姿は何とも悲しい。今は自動車全盛の時代だが、いずれ各地の高速道路も同じように草に覆われていくことだろう。
京都シネマ、81分。
2020年に路線の約8割が廃止となったJR北海道の日高線を描いたドキュメンタリー。
2015年の高潮被害で不通となってから廃止に至るまでの経緯や、沿線住民による廃線跡ウォークの試み、さらには競走馬の育成や昆布漁、美しい自然の風景などが映し出される。
苫小牧〜様似の146.5キロを結んでいた日高線は、鵡川〜様似の116キロが廃止され、わずか30.5キロの路線となってしまった。静内駅も浦河駅ももう列車が走ることはない。
過疎化や高齢化、自動車の普及といった背景は、全国各地に共通するものだ。廃線跡が草に覆われた姿は何とも悲しい。今は自動車全盛の時代だが、いずれ各地の高速道路も同じように草に覆われていくことだろう。
京都シネマ、81分。
2022年01月26日
映画「台風クラブ」
監督:相米慎二
脚本:加藤祐司
出演:三上祐一、工藤夕貴、大西結花、尾美としのり、三浦友和ほか
「没後20年 作家主義 相米慎二」特集で上映中の1985年公開作品。
地方都市の中学校を舞台に、台風が近づいて通り過ぎる木曜日から月曜日までの5日間を描いている。雨や風の描き方がいい。
主演の三上祐一(早くに芸能界を引退)の兄役を鶴見辰吾が演じているのだが、二人は実の兄弟なのだそうだ。初めて知った。
京都みなみ会館、115分。
脚本:加藤祐司
出演:三上祐一、工藤夕貴、大西結花、尾美としのり、三浦友和ほか
「没後20年 作家主義 相米慎二」特集で上映中の1985年公開作品。
地方都市の中学校を舞台に、台風が近づいて通り過ぎる木曜日から月曜日までの5日間を描いている。雨や風の描き方がいい。
主演の三上祐一(早くに芸能界を引退)の兄役を鶴見辰吾が演じているのだが、二人は実の兄弟なのだそうだ。初めて知った。
京都みなみ会館、115分。
2022年01月06日
映画「クナシリ」
監督・脚本:ウラジミール・コズロフ
撮影:グレブ・テレショフ
旧ソ連(ベラルーシ)出身で現在はフランスに住む監督が、国後島を描いたドキュメンタリー。
島に住む人々や軍人、企業経営者など多くの人々の語りを通じて、国後島の現在が浮き彫りになる。戦後76年が過ぎた今も日本とロシアの間で平和条約は締結されず、日本との行き来は途絶えたままだ。
領土問題に関する立場は人によってさまざまであったが、「日本人はここに移り住むつもりはない。漁業をする海域が欲しいだけだ」という意見は鋭いところを突いている。また、「かつてはアイヌの人々が自然とともに暮らしていた」という話も印象に残った。まさに、その通り。
ロシアにとっても辺境、日本にとっても辺境の島。そもそも「辺境」という概念が生まれるのも国や国境線があるからであって、島自体には何の落ち度もないのだけれど。
京都シネマ、74分。
撮影:グレブ・テレショフ
旧ソ連(ベラルーシ)出身で現在はフランスに住む監督が、国後島を描いたドキュメンタリー。
島に住む人々や軍人、企業経営者など多くの人々の語りを通じて、国後島の現在が浮き彫りになる。戦後76年が過ぎた今も日本とロシアの間で平和条約は締結されず、日本との行き来は途絶えたままだ。
領土問題に関する立場は人によってさまざまであったが、「日本人はここに移り住むつもりはない。漁業をする海域が欲しいだけだ」という意見は鋭いところを突いている。また、「かつてはアイヌの人々が自然とともに暮らしていた」という話も印象に残った。まさに、その通り。
ロシアにとっても辺境、日本にとっても辺境の島。そもそも「辺境」という概念が生まれるのも国や国境線があるからであって、島自体には何の落ち度もないのだけれど。
京都シネマ、74分。
2021年12月28日
映画「偶然と想像」
監督・脚本:濱口竜介
出演:古川琴音、中島歩、玄理、渋川清彦、森郁月、甲斐翔真、占部房子、河井青葉ほか
3話構成のオムニバス。
脚本のよく練られた会話劇のような味わい。会話のやり取りが、現実そのままをコピーして再現するリアルではなく、現実と異なりつつも認識を更新するようなリアルを感じさせる。
どの話も最後が少し余分なように思ったが、それは私が短歌脳になっているからかもしれない。
京都みなみ会館、121分。
出演:古川琴音、中島歩、玄理、渋川清彦、森郁月、甲斐翔真、占部房子、河井青葉ほか
3話構成のオムニバス。
脚本のよく練られた会話劇のような味わい。会話のやり取りが、現実そのままをコピーして再現するリアルではなく、現実と異なりつつも認識を更新するようなリアルを感じさせる。
どの話も最後が少し余分なように思ったが、それは私が短歌脳になっているからかもしれない。
京都みなみ会館、121分。
2021年12月19日
映画「愛のまなざしを」
監督:万田邦敏
脚本:万田珠実、万田邦敏
出演:仲村トオル、杉野希妃、斎藤工、中村ゆり、藤原大祐、片桐はいり、ベンガル他
愛、救い、嫉妬、依存、狂気、嘘、悔恨、赦し、過去、生、死。
といったことを、つらつら考える。
出町座、102分。
脚本:万田珠実、万田邦敏
出演:仲村トオル、杉野希妃、斎藤工、中村ゆり、藤原大祐、片桐はいり、ベンガル他
愛、救い、嫉妬、依存、狂気、嘘、悔恨、赦し、過去、生、死。
といったことを、つらつら考える。
出町座、102分。
2021年12月02日
映画「ダウン・バイ・ロー」
監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
出演:トム・ウェイツ、ジョン・ルーリー、ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ
1986年公開作品。
映画館で見るのは今回が初めて。
3人の男がニューオリンズの刑務所に入れられ、やがてそこから出て行く。片言の英語しか話せないイタリア人のロベルトが、他の2人の仲を取り持っているのが面白い。ロベルトとニコレッタが躍る場面や、美しいラストシーンも忘れがたいな。
京都みなみ会館、107分。
出演:トム・ウェイツ、ジョン・ルーリー、ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ
1986年公開作品。
映画館で見るのは今回が初めて。
3人の男がニューオリンズの刑務所に入れられ、やがてそこから出て行く。片言の英語しか話せないイタリア人のロベルトが、他の2人の仲を取り持っているのが面白い。ロベルトとニコレッタが躍る場面や、美しいラストシーンも忘れがたいな。
京都みなみ会館、107分。
2021年11月25日
映画「ゴースト・ドッグ」
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:フォレスト・ウィテカー、ジョン・トーメイ、クリフ・ゴーマン、ヘンリー・シルヴァ、イザーク・ド・バンコレほか
1999年公開作品。
副題に「The Way of the Samurai」とあるように、武士道を信奉する殺し屋が主人公。依頼人との通信手段は、なんと伝書鳩だ。
アクションあり、ユーモアありの展開で、珍しくドラマの筋がはっきりしている。もちろんそれだけではなく、個人と組織、時代の変化、人種的な多様性、コミュニケーションのズレといった問題について考えてみても良いのかもしれない。
京都みなみ会館、116分。
出演:フォレスト・ウィテカー、ジョン・トーメイ、クリフ・ゴーマン、ヘンリー・シルヴァ、イザーク・ド・バンコレほか
1999年公開作品。
副題に「The Way of the Samurai」とあるように、武士道を信奉する殺し屋が主人公。依頼人との通信手段は、なんと伝書鳩だ。
アクションあり、ユーモアありの展開で、珍しくドラマの筋がはっきりしている。もちろんそれだけではなく、個人と組織、時代の変化、人種的な多様性、コミュニケーションのズレといった問題について考えてみても良いのかもしれない。
京都みなみ会館、116分。
2021年11月22日
映画「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:ティルダ・スウィントン、トム・ヒドルストン、ミア・ワシコウスカ、ジョン・ハート、アントン・イェルチンほか
2013年公開作品。
アップリンク京都に続いて、今度は京都みなみ会館でジム・ジャームッシュの回顧特集が始まった。見逃した作品を見られるのは嬉しい。
現代に生きる二人のヴァンパイアの物語。ヴァンパイアと言っても、人間を襲ったりせずに静かに暮らしている。
舞台は路地の美しいモロッコの港町タンジールと劇場の廃墟などが立つアメリカのデトロイト。対照的な町の風景も、この作品の見どころと言っていいだろう。
京都みなみ会館、123分。
出演:ティルダ・スウィントン、トム・ヒドルストン、ミア・ワシコウスカ、ジョン・ハート、アントン・イェルチンほか
2013年公開作品。
アップリンク京都に続いて、今度は京都みなみ会館でジム・ジャームッシュの回顧特集が始まった。見逃した作品を見られるのは嬉しい。
現代に生きる二人のヴァンパイアの物語。ヴァンパイアと言っても、人間を襲ったりせずに静かに暮らしている。
舞台は路地の美しいモロッコの港町タンジールと劇場の廃墟などが立つアメリカのデトロイト。対照的な町の風景も、この作品の見どころと言っていいだろう。
京都みなみ会館、123分。