2021年06月09日

命名について

1908(明治41)年に青函航路が開設された際、就航したのは「比羅夫丸」と「田村丸」という2隻の船であった。比羅夫丸は7世紀に蝦夷を征討した阿倍比羅夫、田村丸は平安時代に征夷大将軍になった坂上田村麻呂に因んで名付けられている。

こうした命名の方法に、最近関心がある。

例えば、沖縄にある米軍基地のキャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブ、キャンプ・コートニーなども、すべて沖縄戦で戦死したアメリカ兵の名前が付いている。

その意識のあり方に興味を覚えるのだ。

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2021年06月07日

人間の展示

19世紀から20世紀にかけて欧米や日本の博覧会において、しばしば植民地の人々や少数民族の村の展示が行われた。1903(明治36)年に起きた人類館事件などがよく知られている。
https://matsutanka.seesaa.net/article/480261048.html

1912(大正元)年に上野公園で開催された「拓殖博覧会」でも、「台湾生蕃」「北海道アイヌ」「樺太オロツコ」「満州土人」などの展示が行われた。(『拓殖博覧会記念写真帖』より)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/904743

この博覧会を詠んだ歌がある。
窪田空穂『濁れる川』(大正4年)に収められている歌だ。

うち群れて人が遊べるそのなかに交りてあれば楽しきものを
       (四首、拓殖博覧会を観に行きて)
人食らふこの生蕃も妹と背と相住みてその子あやしをるかも
人食らふ生蕃の子のかなしくもさかしき眼してもの眺めをり
大君はかしこしこれのアイヌをも生蕃人もみ民としたまふ

「生蕃」(原住民)の家族や子どもの様子を見て、最後は天皇の徳を讃える内容となっている。「人食らふ」という偏見をはじめ非常に差別的な内容であるが、これが当時の平均的な感覚であった。

歌集には亡くなった「少年職工」を悼む連作や旅先で目にした「製糸女工」を詠んだ歌などもあり、空穂が人並み以上に弱者への思いやりに深い人物であったことがよくわかる。だからこそ、こうした差別の問題はいっそう根深いと言えるのだと思う。

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2021年06月04日

BOOTHの無料ダウンロード

BOOTHに新たに無料ダウンロードの文章を3点追加しました。
興味のある方は、どうぞお読みください。

「三分でわかる短歌史」
https://masanao-m.booth.pm/items/3015943

「十首でわかる短歌史」
https://masanao-m.booth.pm/items/3015959

「近代秀歌七十首」
https://masanao-m.booth.pm/items/3015967

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2021年05月29日

「はじめての短歌」申込受付中

NHK学園でZoomを使ったオンライン講座「はじめての短歌」を行います。毎週木曜日(全4回)19:30〜20:45です

・1回目 6月 3日「短歌の基本」
   歴史、定型、韻律、題材、文語・口語、かな遣い
・2回目 6月10日「作者と読者」
   詠みと読み、省略と想像力、短歌はマッチ棒
・3回目 6月17日「表現のコツ」
   語順、「てにをは」、打消、比喩、固有名詞など
・4回目 6月24日「生活と人生」
   日常の豊かさ、家の中のもの、身近な風景

https://www.n-gaku.jp/life/topics/6000
https://coubic.com/ngaku-online/676751

初心者の方も長年短歌をやっている方も大歓迎です。
興味のある方はぜひご参加ください。

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2021年05月20日

たいたい歌

このところ、「〜したい」という言い方が短歌に増えてきているように思う。1首に1回だけでなく2回出てくることもある。

今すぐに帰って猫をさわりたい今を今すぐ反芻したい
             山川藍『いらっしゃい』
死ぬまでが暇だな 歌をうたひたい花の名前をもつと知りたい
             逢坂みずき『虹を見つける達人』
いちめんのたんぽぽ畑に呆けていたい結婚を一人でしたい
             北山あさひ『崖にて』
将来は強い恐竜になりたいそしてかわいい化石になりたい
             工藤玲音『水中で口笛』
友だちに会いたい 会って野ざらしの畳の上で花見がしたい
             谷川由里子『サワーマッシュ』

願望の畳み掛けに迫力があるのだけど、願いの強さを表しているというよりも、少し投げやりな気分を表している感じがする。

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2021年05月16日

オンライン講座「はじめての短歌」

6月にNHK学園でZoomを使った短歌初心者向けのオンライン講座「はじめての短歌」を行います。

https://coubic.com/ngaku-online/676751
https://www.n-gaku.jp/life/topics/6000

ご興味のある方は、ぜひご参加ください。
毎週木曜日の夜、全4回の講座です。

■日程・時間(全4回)
@ 6月 3日(木)19:30〜20:45
A 6月10日(木)19:30〜20:45
B 6月17日(木)19:30〜20:45
C 6月24日(木)19:30〜20:45

1回ごとの申込みも受付けております。
(今のところ1回目2回目の分が掲載されています。3回目4回目の分も、後日追加されます)

6月3日
https://coubic.com/ngaku-online/642010
6月10日
https://coubic.com/ngaku-online/723137

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2021年05月10日

文学フリマ東京

5月16日(日)に開催される第32回文学フリマ東京に出店します。
https://bunfree.net/event/tokyo32/

緊急事態宣言下ということで参加するか迷ったのですが、
さまざまな状況を考慮して決断しました。

ソ‐09「やさしい鮫」で、私の歌集・歌書および同人誌「パンの耳」1〜4号を販売します。どうぞお立ち寄りください。
https://c.bunfree.net/c/tokyo32/!/%E3%82%BD/9

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2021年05月04日

NHK学園のオンライン講座

来月、Zoomを使った短歌初心者向けのオンライン講座を行います。
毎週木曜日の夜、全4回の講座です。

■日程・時間(全4回)
@ 6月 3日(木)19:30〜20:45
A 6月10日(木)19:30〜20:45
B 6月17日(木)19:30〜20:45
C 6月24日(木)19:30〜20:45

5月7日より受付が始まりますので、ご興味のある方はぜひお申込みください。

https://coubic.com/ngaku-online/676751
https://www.n-gaku.jp/life/topics/6000

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2021年05月01日

5月

今日から5月。

緊急事態宣言が出ていることもあって、ゴールデンウィークも特に予定がない。家で本を読んだり、原稿を書いたり、調べものしたり、校正したり、掃除したり、昼寝したり。

コーヒー→紅茶→番茶→コーヒー→紅茶・・・と、一日中なにか飲みながら作業している。座っている時間が長いので、腰痛に気をつけないといけないな。

posted by 松村正直 at 23:35| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月28日

第32回文学フリマ東京

5月16日(日)に行われる第32回文学フリマ東京に出店します。
https://bunfree.net/event/tokyo32/

ブースは「ソ‐09」の「やさしい鮫」です。
https://c.bunfree.net/c/tokyo32/!/%E3%82%BD/9

現在出されている緊急事態宣言が延長になった場合は開催中止になるとのことですが、とりあえずお知らせしておきます。

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2021年04月26日

BOOTH の商品

BOOTHで下記の本の販売(割引価格)とフリーペーパーの配布をしています。
https://masanao-m.booth.pm/

・第2歌集『やさしい鮫』 1500円
・第4歌集『風のおとうと』 2000円
・第5歌集『紫のひと』 2000円
・評論集『短歌は記憶する』 1500円
・評論集『樺太を訪れた歌人たち』 2000円
・評伝『高安国世の手紙』 2000円
・アンソロジー『戦争の歌』 1200円
・同人誌「パンの耳」第1号〜第4号 各300円

・同人誌「パンの耳」第4号のチラシ 無料
・「五反田」7首 無料
・エッセイ「岡山時代のこと」 無料

第1歌集『駅へ』(新装版)は野兎舎の STORES で販売中です。
https://yatosha.stores.jp/items/600d346831862555b743dcdb

よろしくお願いします。

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2021年04月17日

渡辺直己の歌

渡辺直己の臨場感あふれる戦争詠の中に、伝聞や映画をもとに詠まれた歌も含まれていることはよく知られている。

戦は竟に不可避と知りつつも夜襲に向ふ我が道くらし
               『渡辺直己歌集』

例えば、この歌もそうだ。初出は「アララギ」昭和12年11月号。

渡辺が中国へ向けて広島の宇品港を出港したのは11月23日のことなので、これはまだ出征前の歌ということになる。結句には斎藤茂吉の歌の影響が濃い。

ひた走るわが道暗ししんしんと怺(こら)へかねたるわが道くらし
ほのぼのとおのれ光りてながれたる蛍(ほたる)を殺すわが道くらし
                斎藤茂吉『赤光』

けれども、『渡辺直己歌集』(昭和15年)においては、この歌は出征後の歌として配列されている。「人々の恵みを享けて出でて行く我をぞ思ふ宇品埠頭に」などを含む「征途につく」8首の後に、「戦線に向ふ」という小題で載っているからだ。

『渡辺直己歌集』は渡辺の没後に編まれたものなので、その配列は編集者の手によるものである。編輯後記には

故人の戦歴を審にすることの出来ない吾々は、是等作品の排列に関しては相当に苦心を要したのであるが

と書かれている。「宇品埠頭」の歌は生前未発表で、昭和12年頃と推定される「手帖」から引かれたものだ。出征前に戦闘の歌はあってはおかしいという判断のもと、歌集ではこういう配列になっているのだろう。

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2021年04月13日

野兎舎のYouTube

3月27日に開催した『駅へ』復刊記念のトークイベントの録画が、版元の野兎舎のYouTubeチャンネルで公開されています。約1時間の内容です。
https://www.youtube.com/watch?v=E8QcAIAp6bU

また、昨年8月12日に行った「アンソロジー『戦争の歌』を読む」の録画も同じく公開されています。こちらは約2時間となっています。
https://www.youtube.com/watch?v=jN3CYty61oc

どうぞご覧ください。

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2021年04月12日

初びわ!


P1080944.JPG


今年初めての枇杷!
大きくて惚れ惚れしてしまう。

4月にびわを食べるのは人生で初めてかもしれない。
これはハウスもの。

ハウス栽培は、2月〜5月中旬、露地栽培は5月中旬から6月上旬が出荷時期です。

と説明に書いてある。
露地ものの時期は一か月もないんだな。
毎年短いとは思っていたけれど。

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2021年04月08日

さらに軍用鳩の話

大正14年刊行の『陸軍歩兵学校案内』(国会図書館デジタルコレクション所蔵)にも、軍用鳩の話が3ページにわたって載っている。

第一次世界大戦(とは言わず「欧州戦」と書いている)において軍用鳩が用いられた話から始まって、次のような説明が続く。

鳩通信は電信電話の如く、敵火の為に破壊せられたり、敵に窃(ぬす)み取られる事が少なく、毒瓦斯に対しても強く、砲煙弾雨の中を勇敢に飛翔して、他の通信機関の使用されない場合に使用して、通信の目的を達成する事が出来るから、重宝なのであります。
当校に飼育して居ります鳩は、一分間に千米位の速度で、八十里以内の通信に堪へますが、夜間は二十五里以内、往復通信で十五里以内に使用する事が出来ます。
国内伝書鳩の総数は僅かに五万羽に満たぬ有様で、これを欧米列国の数百万乃至一千万羽なるに比較して遥かに遜色あるのは、誠に遺憾千万であります。

「五万羽」でも十分多いように思うのだが、欧米では「数百万」〜「一千万羽」も存在していたと知って驚いた。伝書鳩、すごいな。

移動鳩車通信では、新たな位置に到着して後一日で(鳩を飛翔さして地形鳩車の位置等を覚へさす)一里位の範囲の通信が出来、後時日を経るに従つて、十五里以内の通信を行ふ事が出来ますが、一般に雨雪天の時は通信距離が減少致します。

なるほど、「鳩車」というのは単に鳩を運搬するためのものではないのか。基地の鳩舎で行うのが言わば「固定電話」であるのに対して、鳩車は戦場で「携帯電話」的な役割を果たすものだったわけだ。

posted by 松村正直 at 09:03| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月06日

軍用鳩の歌

軍人歌人として知られる菊池剣の歌集『道芝』(昭和3年)に、軍用鳩の歌がたくさん載っていた。菊池は一時期、軍隊で伝書鳩の研究や鳩通信班の任務に就いていたらしい。

大正9年に行われた陸軍大演習に参加した時の歌「鳩車長となりて」という一連5首を見てみよう。

  福岡、大分両県に於て挙行せられし陸軍大演習に
  北軍鳩車長として参加す
  放鳩演習
昼すぎてしきりに睡(ねむ)き眼の前の地(つち)に影おとし鳩かへり来ぬ
いちはやくわが手のうちの餌を覓(と)めて舞ひ下る鳩はいつもこの鳩
  鳩車往来
ことごとく稲は刈られて鳩車みちけさは田の面(も)を斜によぎる
暁(あけ)の田にこる靄ふかみ遠つ嶺ろ低きはかくれ高きはうかぶ
  立石南軍鳩車見学
山峡(やまかひ)は日あたる遅しこのあさけ鳩舎(とや)ぬちの鳩みなふくれ居り

南北両軍に分かれての大規模な演習で、皇太子(後の昭和天皇)の観兵式も行われた。「鳩車」は鳩を運搬するための箱型の荷車のようなもののこと。

この演習については『大正九年度 皇太子殿下行啓陸軍特別大演習記念写真帳』(国会図書館デジタルコレクション所蔵)に、詳しい写真や説明がある。


photo001.png


おお、「軍用鳩」の写真も載っているではないですか!

北軍所属の軍用鳩班は八屋、南軍所属の同班は立石町を各根拠地として何れも演習の推移に伴ひ種々の方面に活躍 相当の効績を収めた 写真(右)は班員に懐かしむ可愛らしき鳩の群 (下)は将に使命を帯びて鳩舎より放たれたる鳩群

う〜ん、ますます興味深くなってきた。

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2021年04月02日

野兎舎のYouTube

3月27日に開催した『駅へ』復刊記念のトークイベントの録画が、野兎舎のYouTubeチャンネルで公開されています。当日参加できなかった方もどうぞご覧ください。約1時間の内容です。
https://www.youtube.com/watch?v=E8QcAIAp6bU

また、昨年8月12日に行った「アンソロジー『戦争の歌』を読む」の録画も、同じく公開されています。こちらは約2時間となっています。
https://www.youtube.com/watch?v=jN3CYty61oc

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2021年03月28日

『駅へ』の構成

私の第1歌集『駅へ』のあとがきには「配列は、一部の連作を除いてほぼ制作年代順にしてあります」と書いてある。

ところが、今回トークイベントのために再読していて気が付いたのだが、実は制作年代順でない部分がけっこうある。第2歌集以降と比べると、もっとも制作年代順ではない歌集かもしれない。

T
「フリーター的」 1999年角川短歌賞次席
「函館 一九九六」
「アルバイト募集」 1999年12月号「塔」作品特集
U
「グランメール春日201号」 2002年2月号「塔」風炎集
「福島 一九九七」
「天神橋」
「兎雲」
「石塀」
「あなたがいた夏」
「砂浜」
「未婚の父」
「湖」
「木登り」
「梅酒」
V
「ウォーター感覚」 2000年歌壇賞候補作
「大分 一九九九」
「ストロー」
「秋晴れ」
「睫毛」
「鳥居を渡る」
「墓石」
「結婚式」 2000年6月号「塔」作品特集
「靴箱」 2000年角川短歌賞候補作

歌集には1996年から2000年までの作品が収められているのだが、このように1999年・2000年に詠んだ連作を要所要所に配置した構成となっている。

それらは新人賞への応募作など、もともと連作として詠んだものばかり。それ以外の新聞・雑誌への一首単位の投稿歌や「塔」の月例作品が制作年代順にならんでいるわけだ。

全体として、函館・福島・大分と転々としてきたことや、フリーターの一人暮らしから結婚へという流れがストーリー仕立てで(わかりやすく)提示されている。その点が良くも悪くもこの歌集の大きな特徴になっているのだろう。

(『駅へ』新装版は野兎舎のSTORESにて販売中です。)
https://yatosha.stores.jp/items/600d346831862555b743dcdb


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2021年03月27日

伝書鳩の歌

伝書鳩の群の風音(かざおと)はおもおもし再び吾の上を
すぎたる       岡部文夫『寒雉集』
新聞社に〈伝書鳩部〉のありしころ年初の空を飛びし鳩たち
        高野公彦(「朝日新聞」2019年1月1日)

俄然、伝書鳩に興味が湧いてきた。

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2021年03月21日

『駅へ』復刊記念のトークイベント


 P1080554.JPG


3月27日(土)20:00〜21:00、第1歌集『駅へ』復刊記念のオンラインのトークイベントを行います。『駅へ』について、短歌について、あれこれ喋ります。無料ですので、お時間のある方はどうぞお申込みください。

https://ekie.peatix.com

また、イベント開催にあわせて、『駅へ』その他に関する質問・感想等も募集しています。何でもお気軽にお寄せください。

https://forms.gle/5ULTBHH7dduTvhCU9

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2021年03月13日

松村正直『駅へ』復刊記念onlineトークイベント

3月27日(土)20:00〜、Zoomを使って『駅へ』復刊記念のトークイベント(無料)を開催します。

https://ekie.peatix.com/

皆さんからの質問などをもとに、『駅へ』について、短歌について、あれこれ喋ります。初めての方も、お久しぶりの方も、どうぞお気軽にお申し込みください。

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2021年03月08日

大森千里歌集『光るグリッド』を読む会

昨日は「塔」岡山歌会&『光るグリッド』を読む会へ。
参加者26名。12:00〜17:00、岡山県立図書館にて。

もう「塔」の会員ではないのだけれど、『光るグリッド』の解説を書いている関係で参加させていただく。

私にもこんなパワーが欲しいのよ 乾燥わかめ三倍となる
ゆっくりと箱の中にも秋が来てそそそそ素麺並んでねむる
わたしにもやさしい背中があったよね ランプのような猫の背をみる
             大森千里『光るグリッド』

コロナの影響で歌集の批評会も20名を超える集まりも久しぶり。たっぷりと歌の世界に浸った。

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2021年03月02日

松村正直の歌集・歌書

20年ぶりに復刊した第1歌集『駅へ』(新装版)が、版元の野兎社のオンラインストアで販売中です。
https://yatosha.stores.jp/items/600d346831862555b743dcdb

それ以外の歌集・歌書についても、BOOTHで割引価格にて販売しております。
https://masanao-m.booth.pm

どうぞご利用ください。

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2021年02月20日

鶴亀算

鹿児島県伊佐市が2014年度から続けていた「市内にある県立大口高から難関大学に合格した生徒に最高100万円の奨励金を支給している制度」を終了するというニュースが流れている。

旧帝大などは100万円、他の国公立大(短大を除く)などは30万円を支給する。昨年度までに計56人が受け、総額は計1750万円になっていた。(読売新聞オンライン)

30万×56人=1680万
(1750万−1680万)/(100万−30万)=1人

・・・鶴亀算、なつかしいな。

旧帝大の合格者は7年間で1人ということか。狭き門なり。

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2021年02月17日

最後の収録

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今日は「NHK短歌」の最後の収録だった。

昨年3月から始まった収録は、コロナ禍のために1回は中止、1回はリモート収録になったものの、何とか1年間体調を崩さずに乗り切ることができた。テレビは何度出ても慣れないけれど、多くのゲストの方ともお会いできて楽しい時間だった。

視聴者の皆さん、スタッフの皆さん、出演者の皆さん、ありがとうございました。

posted by 松村正直 at 23:36| Comment(2) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月07日

『駅へ』新装版刊行!


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長らく品切となっていた私の第1歌集『駅へ』(2001年)が、このたび野兎舎から新装版となって刊行されました。20年ぶりの復刊となります。

フリーターですと答えてしばらくの間相手の反応を見る
抜かれても雲は車を追いかけない雲には雲のやり方がある
悪くない 置き忘れたらそれきりのビニール傘とぼくの関係
それ以上言わない人とそれ以上聞かない僕に静かに雪は
あなたとは遠くの場所を指す言葉ゆうぐれ赤い鳥居を渡る

現在、野兎舎のオンラインストアで販売中です。ぜひ、この機会にお買い求めください。
https://yatosha.stores.jp/items/600d346831862555b743dcdb

また、手持ちの在庫もありますので、メール等でご注文いただくこともできます。よろしくお願いします。

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2021年02月04日

BOOTHでの販売

BOOTH.png


BOOTHで歌集・歌書・同人誌の販売を始めました。
割引価格のものもありますので、ご覧ください。

https://masanao-m.booth.pm/

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2021年02月02日

節分

・カルチャーセンターのあるショッピングモールへ行ったら、シャッターが下りて1月に閉店した店が4軒もあった。飲食店だけでなく様々な店が深刻な状態になっている。

・山科川の水面にオレンジの色が見える。何だろうとよく見ると朱色と黒と白の錦鯉であった。あまり水量の多くない川に立派な体格の錦鯉が一匹。どこからやって来たのか。

・節分ということで夕食には恵方巻と鰯を食べ、豆も食べた。今年の恵方は南南東とのこと。食後にウォーキングに出たら風が強くて寒い。でも、明日からはもう春だ。

posted by 松村正直 at 23:45| Comment(2) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月29日

『駅へ』新装版について

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1月発売予定だった『駅へ』新装版ですが、準備が遅れていて、
2月10日頃の発売になる見込みです。
すみませんが、もうしばらくお待ちください。

一般の書店での取り扱いはなく、STORESでの販売と手持ち分の
通販になります。

posted by 松村正直 at 20:59| Comment(2) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月23日

木乃伊の輸入

昨日、ヨーロッパでミイラが医薬品として流通していたという話を書いた。今日、ネットの記事に「木乃伊」(ミイラ)が江戸時代の日本に薬として輸入されていた話が載っている。

https://news.yahoo.co.jp/articles

ミイラ、すごいな。
遠くエジプトから、めぐりめぐって日本まで来ていたのか!

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2021年01月21日

房総半島

そう言えば、房総半島には一度も行ったことがない。
千葉市より南には足を踏み入れたことがないと思う。

このところ、読書や調べものをしていて房総半島に関する記述に出会うことが続いている。偶然にしては重なり過ぎていて、運命に近いものを感じる。コロナが落ち着いたら、ぜひ一度訪れてみたい。

posted by 松村正直 at 19:42| Comment(6) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月13日

ご報告

 既に「塔」1月号で発表になっております通り、2020年末をもって塔短歌会を退会いたしました。1997年12月に入会して以来、23年間お世話になり、感謝の気持ちでいっぱいです。まだまだ結社で果たすべき役割があるにもかかわらず、今回はわがままを聞き入れていただきました。

 もともと河野裕子さんに誘われて入った「塔」でしたので、2010年に河野さんが亡くなって以降、漠然といつかは退会することを考えておりました。ただ、編集長の任期中に辞めるわけにもいかず、また「塔」に対する愛着も止みがたく、一年また一年と先延ばしを続けてまいりました。

 昨年で私も50歳となり、人生の残り時間について考えることが多くなりました。これからの歌人として身の振り方を熟慮した末、思い切って退会の決断をした次第です。今後は「塔」を離れてフリーの立場で、今まで以上に真剣に、精力的に短歌に取り組んでいきたいと思います。

 「塔」の皆様には、これまで大変お世話になりました。お一人お一人に直接お会いしてお礼を申し上げたいところですが、そうもいきません。心苦しい限りですが、ご理解いただけましたら幸いです。塔短歌会のさらなる発展と皆様のご健詠を祈っております。

 またいつか、どこかでお会いしましょう!

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2021年01月05日

初夢

A「『樺太を訪れた歌人たち』って、実は全5部作らしいよ」
B「えっ?本当に?」
A「うん。『台湾を〜』『朝鮮を〜』『満洲を〜』『南洋群島/千島を〜』と続くんだとか」
B「壮大な計画だな!」
A「その前に死んじゃうと思うけど」

posted by 松村正直 at 19:39| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月01日

謹賀新年

新年あけましておめでとうございます。

2021年の目標は

・「啄木ごっこ」をひたすら書く。
・3月で朝日新聞の短歌時評が終わるので、これまで書いてきた
 時評関係の文章を何らかの形でまとめる。
・「パンの耳」第4号を出す。
・母の家にひと月に一度は行く。
・父にも会う。
・作品や評論を発表する場を設ける。

といったところでしょうか。
今年もよろしくお願いします。

posted by 松村正直 at 08:05| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月31日

2020年の活動記録

作品
 ・「ふたご」8首(「歌壇」1月号)
 ・「アップルパイ」3首(「うた新聞」2月号)
 ・「心臓」7首(「短歌研究」5月号)
 ・「うれしいこぶた」15首(「パンの耳」第3号)

連載
 ・啄木ごっこ(第15回)日露戦争とナショナリズム
                   (「角川短歌」1月号)
 ・啄木ごっこ(第16回)二回目の上京と詩集『あこがれ』
                   (「角川短歌」2月号)
 ・啄木ごっこ(第17回)『あこがれ』の評価、評判
                   (「角川短歌」3月号)
 ・啄木ごっこ(第18回)一禎罷免のこと
                   (「角川短歌」4月号)
 ・啄木ごっこ(第19回)節子と「啄木新婚の家」
                   (「角川短歌」5月号)
 ・啄木ごっこ(第20回)中津川のほとりで
                   (「角川短歌」6月号)
 ・啄木ごっこ(第21回)「小天地」の発行
                   (「角川短歌」7月号)
 ・啄木ごっこ(第22回)徴兵検査  (「角川短歌」8月号)
 ・啄木ごっこ(第23回)渋民村への帰郷
                   (「角川短歌」9月号)
 ・啄木ごっこ(第24回)もう一人の啄木―『田舎教師』の林清三
                   (「角川短歌」10月号)
 ・啄木ごっこ(第25回)初めての小説(「角川短歌」11月号)
 ・啄木ごっこ(第26回)若きお父さん(「角川短歌」12月号)

 ・干支のうた「嫌われ者で人気者」(「NHK短歌」4月号)
 ・干支のうた「無口な働き者」(「NHK短歌」5月号)
 ・干支のうた「異国に棲む猛獣」(「NHK短歌」6月号)
 ・干支のうた「見つめる眼と長い耳」(「NHK短歌」7月号)
 ・干支のうた「想像が生んだ霊獣」(「NHK短歌」8月号)
 ・干支のうた「不気味なまでの長さ」(「NHK短歌」9月号)
 ・干支のうた「運ぶ、曳く、働く、乗る」
                 (「NHK短歌」10月号)
 ・干支のうた「眠れぬ夜の十億頭」(「NHK短歌」11月号)
 ・干支のうた「人間の姿を映す鏡」(「NHK短歌」12月号)

評論
 ・民衆から無名者へ、近藤芳美三十首(「歌壇」12月号)

時評
 ・日韓関係を考える(「朝日新聞」2月16日朝刊)
 ・資料を残す大切さ(「朝日新聞」3月22日朝刊)
 ・手探りの世界で(「朝日新聞」4月19日朝刊)
 ・性別や年齢ではなく(「朝日新聞」5月24日朝刊)
 ・未来を先取りする(「朝日新聞」6月21日朝刊)
 ・コロナ禍と言葉(「朝日新聞」7月19日朝刊)
 ・甦る戦争の姿(「朝日新聞」8月23日朝刊)
 ・二つの最先端(「朝日新聞」9月20日朝刊)
 ・東京よりも地元で(「朝日新聞」10月18日朝刊)
 ・初期の歌、後期の歌(「朝日新聞」11月22日朝刊)
 ・違和感を手掛かりに(「朝日新聞」12月20日朝刊)

書評
 ・飯沼鮎子歌集『土のいろ草のいろ』評
                 (「現代短歌新聞」4月号)
 ・三田村正彦歌集『京都紀行』評(「現代短歌新聞」9月号)
 ・山中律雄著『川島喜代詩の添削』評
                (「現代短歌新聞」12月号)

その他
 ・2020年度選者紹介(「NHK短歌」4月号)
 ・「鼠・子」入選歌、入選への道(「NHK短歌」6月号)
 ・「牛・丑」入選歌、入選への道(「NHK短歌」7月号)
 ・「虎・寅」入選歌、入選への道(「NHK短歌」8月号)
 ・「兎・卯」入選歌、入選への道(「NHK短歌」9月号)
 ・「龍・辰」入選歌、入選への道(「NHK短歌」10月号)
 ・「蛇・巳」入選歌、入選への道(「NHK短歌」11月号)
 ・「馬・午」入選歌、入選への道(「NHK短歌」12月号)
 ・私の稀覯本 石本美佐保著『メモワール・近くて遠い八〇年』
                   (「短歌往来」8月号)
 ・指針となった一言「とにかく十年」(「歌壇」8月号)
 ・河野裕子『家』評 空の巣症候群(「角川短歌」8月号)
 ・晶子の歌(「与謝野晶子の世界」第20号)
 ・現代歌人27人が選ぶ土屋文明短歌
               (「若き日の土屋文明」図録)
 ・三月の歌(「六花」vol.5)
 ・作品点描4(「角川短歌年鑑」令和3年版)
 ・河野裕子セレクション「猫」(第9回河野裕子短歌賞)

出演
 ・NHK短歌 題「鼠・子」(Eテレ、4月5日放送)
 ・NHK短歌 題「牛・丑」「虎・寅」(Eテレ、6月7日放送)
 ・NHK短歌 題「兎・卯」(Eテレ、7月5日放送)
 ・NHK短歌 題「龍・辰」(Eテレ、8月2日放送)
 ・NHK短歌 題「蛇・巳」(Eテレ、9月6日放送)
 ・NHK短歌 題「馬・午」(Eテレ、10月4日放送)
 ・NHK短歌 題「羊・未」(Eテレ、11月1日放送)
 ・NHK短歌 題「猿・申」(Eテレ、12月6日放送)

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2020年12月19日

『駅へ』新装版

 『駅へ』チラシ.png


私の第1歌集『駅へ』(2001年、ながらみ書房)は長らく品切となっておりましたが、来年1月に野兎社より新装版が刊行されることになりました。20年ぶりということになります。

現在、新装版の「あとがき」を書いているところ。
刊行までもうしばらくお待ちください。

posted by 松村正直 at 23:48| Comment(2) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月18日

「松村正直ひとり文フリ」御礼

「松村正直ひとり文フリ」無事に終了しました。
ご来場くださった皆さま、ありがとうございました。


P1080483.JPG


初めての方や久しぶりの方と短歌の話ができて、楽しく充実した時間となりました。厚く御礼申し上げます。

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2020年12月16日

「塔」編集長退任

「塔」12月号の編集後記に書きました通り、今年いっぱいで編集長を退任することになりました。16年間にわたって会員の皆さんにはたいへんお世話になりました。ありがとうございます。

編集長就任の発表があった松島の全国大会の話が、「塔」2005年11月号に載っています。

宴もたけなわ新編集長の松村正直さんから挨拶と謝意が述べられた。現在三十四才であるが三十代は「塔」に全てを捧げるとの決意や、会員も増え勢いのある塔の誌面や企画を更に充実させていくので、塔誌はすみずみまで読んでほしいと熱く語られた。

何とも懐かしいですね。30代を「塔」に捧げると言っていたのが、いつの間にか40代を過ぎ、気が付けばもう50歳です。これを良い区切りとして、若い世代にバトンタッチしたいと思います。

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2020年12月15日

12月17日【松村正直ひとり文フリ】

私の歌集・歌書を割引価格にて販売するほか、資料の展示や配布などを行います。お時間のある方は、ぜひご来場ください。
短歌について何か聞いてみたい、話がしたいという方も大歓迎です。

日時:12月17日(木)10:30〜20:30
場所:SAKURA SPACE 五反田
   (五反田駅徒歩5分、東建東五反田マンション102号室)
    https://www.spacee.jp/listings/13636

●歌集・歌書の販売
(『やさしい鮫』『風のおとうと』『紫のひと』『短歌は記憶する』
 『戦争の歌』、同人誌「パンの耳」ほか)

●資料の展示
(短歌を始めた1996年前後の日記、投稿歌の掲載紙のコピーなど)

●資料の配布
(エッセイ「岡山時代のこと」、インタビュー記事など)

*歌集・歌書のお取り置きはできません。

posted by 松村正直 at 20:26| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月10日

山梨へ

今日・明日と山梨の母の家へ。
病院受診の付き添いなど。
天気は良さそうで何より。

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2020年12月08日

近藤芳美の12月8日の歌

十二月八日今宵妻に書く吾が葉書遺書めき行きて二枚にわたる
                『吾ら兵なりし日に』
一生のことはるかとなる日十二月八日の今日の上海の曇り
                『アカンサス月光』
十二月八日今日とし思う一生(ひとよ)埠頭の氷雨に戦場を
追う兵として          『樹々のしぐれ』
ガーデンブリッジと呼び馴れて過ぐる兵なりし十二月八日
戒厳の下            『祈念に』
十二月八日誰さえいわず死地に急ぐ兵としありし冬の上海
                『磔刑』
空の曇り降りみ降らずみ遠くめぐる十二月八日世に残り生く
                『希求』
五十年過ぐるとをいえ今の怖れ十二月八日生きし兵として
                『希求』
よみがえる忘れいしころの怖れとし十二月八日今日とも思え
                『岐路』

近藤は1941年12月8日を上海の陸軍病院で迎えた。

十二月八日米英両国に宣戦。病兵らは病棟ごとに集つてラヂオを聞いた。同日午後、軽症患者に一斉に緊急退院命令が出る。武器を持つて戦ひ得るものは武器を把れといふ軍医の訓示があり、わたしたちは受領した軍衣を久々に白衣に替へて、病院の門を出るため軍用トラックに乗つた。(『吾ら兵なりし日に』)

開戦の慌ただしさと緊迫感に包まれている。軽症だった近藤も軍服に着替えて上海市内に向かう。4首目の「ガーデンブリッジ」(外白渡橋)は1907年竣工の橋。開戦後すぐに上海の共同租界は日本軍が占領した。

posted by 松村正直 at 09:48| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月03日

松村正直ひとり文フリ

私の歌集・歌書を割引価格にて販売するほか、資料の展示や配布などを行います。お時間のある方は、ぜひご来場ください。
短歌について何か聞いてみたい、話がしたいという方も大歓迎です。

日時:12月17日(木)10:30〜20:30
場所:SAKURA SPACE 五反田
   (五反田駅徒歩5分、東建東五反田マンション102号室)
    https://www.spacee.jp/listings/13636

●歌集・歌書の販売
(『やさしい鮫』『風のおとうと』『紫のひと』『短歌は記憶する』
 『戦争の歌』、同人誌「パンの耳」ほか)

●資料の展示
(短歌を始めた1996年前後の日記、投稿歌の掲載紙のコピーなど)

●資料の配布
(エッセイ「岡山時代のこと」、インタビュー記事など)

*歌集・歌書のお取り置きはできません。

posted by 松村正直 at 09:43| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月30日

体調

しばらく体調を崩していたが、ほぼ回復。
今年も残り1か月か。

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2020年11月03日

近藤芳美と差別語

「現代短歌」2020年5月号の座談会「短歌と差別表現」(加藤英彦、染野太朗、松村由利子)のなかで、差別語を用いた作品が削除された例が取り上げられている。

『寺山修司青春歌集』(角川文庫、初版1972年)は2005年の改版で

作文に「父を還せ」と綴りたる鮮人の子は馬鈴薯が好き
屠夫らうたふ声の白息棒となり荒野の果てにつき刺さり見ゆ

などを削除しているらしい。
また、岸上大作『意志表示』(角川文庫、初版1972年)も1991年の改版で

北鮮へ還せと清潔なシュプレヒコールくりかえされる時も日本語
豚飼いて貧しく暮す鮮人村いちじくの葉の緑の濃さよ

といった歌が削除されているとのこと。
いずれも、「鮮人」「屠夫」「北鮮」といった言葉が差別語に該当するという判断なのだろう。

『近藤芳美集 第一巻』(岩波書店、2000年)においても、これと似たケースが見られる。一首丸ごとの削除ではないが、改変が行われているのだ。『定本近藤芳美歌集』(短歌新聞社、1978年)と比較してみよう。(Aが前者、Bが後者)

A自らはなれ土掘る朝鮮人人夫と苦力の人種意識もあはれ
B自らはなれ土掘る鮮人人夫と苦力の人種意識もあはれ
A移動刑事おそれて共に帰郷せる朝鮮人の友を思ふこの頃
B移動刑事おそれて共に帰郷せる鮮人の友を思ふこの頃
A朝鮮人に媚びて物喰ふ少女あり時報は街のいづくかに打つ
B鮮人に媚びて物喰ふ少女あり時報は街のいづくかに打つ
A北朝鮮に国興り行く選挙には吾らが残せし日本語を用ふ
B北鮮に国興り行く選挙には吾らが残せし日本語を用ふ

今日では差別語とされる「鮮人」が「朝鮮人」に、「北鮮」が「北朝鮮」に変っていることがわかる。

巻末の「書誌」を見ると、

なお、歌中・文中に今日から見て差別的な表現がある場合は、著者自らが改めた。

とある。改変は近藤自身が行ったもののようだ。その是非はともかく、こういう場合には改変箇所の一覧を載せて欲しいと思う。

posted by 松村正直 at 07:38| Comment(2) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月02日

「若き日の土屋文明」展

現在、群馬県立土屋文明記念館で「若き日の土屋文明」展が開催されています。期間は12月20日(日)まで。
http://bungaku.pref.gunma.jp/

この企画展の招待券が手元にたくさんありますので、欲しい方はご連絡ください。無料で差し上げます。何枚でも結構です。
masanao-m☆m7.dion.ne.jp (☆を@に変えて下さい)

posted by 松村正直 at 19:52| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月01日

ハロウィン

今年のハロウィンはずいぶんと静かだった。

もちろん新型コロナの影響なのだけど、実は2016年をピークにハロウィンの推定市場規模は3年連続で減少中だったらしい。
http://www.kinenbilabo.jp/?p=779

既に落ち目だったのか、ハロウィン。

posted by 松村正直 at 23:38| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月15日

手旗信号

果てしなき彼方(かなた)に向ひて手旗打つ万葉集をうち
止まぬかも           近藤芳美『早春歌』

応召して戦地に行った作者が、手旗信号の練習をしている場面。イロハニホヘトではなく万葉集の歌を一字一字、両手に持った赤旗と白旗で表していく。

先日カルチャーセンターでこの歌を取り上げたところ、お二人の生徒さんが手旗信号を知っていて、実際にやってみせてくれた。子どもの頃に習ったり、戦争ごっこの際に使ったりしていたのだそうだ。

基本的な姿勢がいくつかあって、その組み合わせでカタカナの文字の形を作っていくとのこと。手旗信号を身体で覚えている人は、この歌を読んだ時にまず身体が動くみたいだ。

posted by 松村正直 at 22:18| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月10日

近藤芳美と下部温泉

近藤芳美の第19歌集『甲斐路・百首』は、上野久雄が主宰する「みぎわ」の創刊十周年記念号のために、1992年秋と1993年春の2回にわたって山梨県内の14か所をめぐって詠まれたものである。

その中に、下部温泉を詠んだ歌が7首ある。

谷の磧の軍療養所のあとながらホテルの灯る赤松のまに
磧あり赤松高き影のあり今宵石走る水を聞く泊り

下部温泉に軍の療養所があったという話は知らなかったので調べてみたところ、下部温泉駅前にある下部ホテルのことであった。1929(昭和4)年に開業後、1939(昭和14)年に陸軍病院の療養所となり、戦後にホテルを再開したとのこと。


 P1070100.JPG

母の家の最寄り駅が下部温泉駅なので、このホテルはよく知っている。入口に高浜虚子の句碑があり、フロントに新渡戸稲造の英語の書があり、館内には石原裕次郎の写真ギャラリーがあるなど、見どころが盛りだくさん。

格安レンタカー「ニコニコレンタカー」の代理店もやっているので、最近はいつもここでレンタカーを借りて、母の家まで行っている。

posted by 松村正直 at 08:25| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月03日

近藤芳美と高安国世記念詩歌講演会

1990年から94年まで五回にわたって京都で「高安国世記念詩歌講演会」が行われた。第1回のプログラムは、近藤芳美「高安国世と現代短歌」と中西進「現代短歌と万葉集」。

この第1回の講演会の記録などは見当たらないが、永田和宏さんがかつて話の中で触れたことがある。

近藤芳美さんを第一回の高安国世記念詩歌講演会にお呼びしたんですが、その時おっしゃった言葉よく覚えています。これから君たちが高安国世を語り継いでいかないとだめなんだというふうに近藤さんおっしゃいました。
  講演「高安国世の世界」(2009年現代歌人集会秋季大会)

この時のことも、近藤芳美は歌に残している。

夏盛る街を追憶のために来つ高安国世君に知ること
蟬の声しみらに昼の街にあり高安国世生死を隔つ
生き方といえることばの直接にその日歌あり若くして遭う
「詩」は「思想」日本の戦後に相求めうたう歌ありきなべてときのま
苦しめば東京に出るを待ちて迎う炎のごとかりき吾ら分けしとき
一度の青春一度なる友情と壇にいえば和子夫人の涙拭きます
                  『風のとよみ』

戦後の一時期の近藤と高安の交流の深さが窺われる内容だ。
「塔」1990年9月号の編集後記に永田和宏は、

□七月二十九日、高安国世記念シンポジウムが無事終った。百五十名程度の参加を見込んでいたのだが、その予想を見事に突破して、参加者数は約二百五十名。(…)会場は満席で、冷房の効きもいまひとつといった熱気であった。

と書いている。講演会は予想以上の盛況だったようだ。

posted by 松村正直 at 00:29| Comment(2) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月02日

近藤芳美と「としまえん」

近藤芳美は1953(昭和28)年に練馬区向山に家を建てる。1927年に開園して今年8月に営業を終了した「としまえん」(豊島園)の近くである。

遊園をとざす夜ごとのオルゴール降り行く雨に長くきこゆる
                『冬の銀河』(1954年)

遊園地の閉園の音楽が毎日家まで聞こえてくるのだろう。

ジェットコースターつねに声湧く夜空冷え年々に来る森の路あり
観覧車森になおめぐるひかりいくつ夏ごとに来て妻と路つたう
回転木馬めぐる初むれば妻とあり木むらのひかり園閉じむとして
踊り終えし一団はフィリピンの男おみな季過ぐる遊園に人の乏しく
                『磔刑』(1988年)

遊園地の中を散策している場面である。毎年夏に訪れていたようだ。

さらに、こんな歌もある。

喇叭吹くは回転木馬の天使たち年々に来て吾が小馬車あり
回転木馬めぐる初むれば吾らあり老いの遊びを人あやしまず
回転木馬の共に幼きものの中妻とよろこびというも淡きに
                『風のとよみ』(1992年)

1990年の作品なので、当時近藤は77歳。妻と一緒にメリーゴーラウンドに乗っている。馬に跨るのではなく馬車タイプに二人で座ってるんだな。いや、これはすごい歌だ。

「としまえん」の回転木馬と言えば、「カルーセルエルドラド」。1907年にドイツで製作された世界最古級の回転木馬である。
https://trip-s.world/carousel-eldorado

これに近藤夫妻が乗っていたとは!


posted by 松村正直 at 06:20| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする