2026年01月01日

歌集・歌書一覧

*この記事は常に一番上に表示されます。
 最新の記事は3つ下をご覧ください。

私がこれまでに出した歌集・歌書は以下の11冊です。

【歌集】
・『駅へ』(2001年、ながらみ書房)
・『駅へ』新装版(2021年、野兎舎)*在庫あり
   野兎舎オンラインストア
   アマゾンKindle版
・『やさしい鮫』(2006年、ながらみ書房)
・『午前3時を過ぎて』(2014年、六花書林)
・『風のおとうと』(2017年、六花書林)
・『紫のひと』(2019年、短歌研究社)

【歌書】
・『短歌は記憶する』(2010年、六花書林)*在庫あり
・『高安国世の手紙』(2013年、六花書林)
・『樺太を訪れた歌人たち』(2016年、ながらみ書房)*在庫あり
・『戦争の歌』(2018年、笠間書院)
・『踊り場からの眺め』(2021年、六花書林)*在庫あり

「在庫あり」のものは、送料無料・振込用紙同封でお送りします。
masanao-m☆m7.dion.ne.jp(☆を@に変えて下さい)

また、ネットショップのBOOTHでも販売しております。
どうぞお気軽にご利用ください。
masanao-m.booth.pm/

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2025年01月21日

出したい本あれこれ

これから出したいと思っている本。

・第6歌集
・『啄木ごっこ』(角川短歌に連載しているもの)
・『こころ以上ことば未満』(NHK短歌に連載しているもの)
・「戦争の歌」シリーズのオンラインセミナーのまとめ
・『やさしい鮫』復刊
・『午前3時を過ぎて』復刊
・『短歌は記憶する』の続篇
・第7歌集

夢はどんどん膨らむけれど、お金がなければどうしようもない。

posted by 松村正直 at 21:47| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月16日

『駅へ』7刷!

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2021年に私の第1歌集『駅へ』の新装版が野兎舎から刊行されました。元の歌集は2001年の刊行なので、20年ぶりの復刊でした。

幸いなことに、新装版は多くの方にお読みいただくことができ、昨年11月に7刷まで版を重ねています。


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在庫はまだまだありますので、版元の野兎舎のオンラインストア、またはアマゾン(電子書籍)、あるいは私のBOOTHにてお買い求めください。よろしくお願いします。


野兎舎オンラインストア
https://yatosha.stores.jp/items/600d346831862555b743dcdb

アマゾンKindle版(電子書籍)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B098T581V3/ref

松村正直BOOTH
https://masanao-m.booth.pm/

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2025年01月15日

亡くなった人とテレビ

昨晩、たまたまテレビをつけたところ「家政夫のミタゾノ」を放送していた。そこに中山美穂が出演していた、喋ったり笑ったり怒ったりしていた。

中山美穂は昨年12月6日に亡くなったが、ドラマの収録はそれより前だったので、亡くなったばかりの人がテレビ画面の中に生きていたのである。

「あれっ? これと同じ事が前にもあったな」と思った。

調べてみると、それは3年前の2022年5月20日放送の「家政夫のミタゾノ」でのことだ。直前の5月11日に亡くなったばかりの「ダチョウ倶楽部」の上島竜兵が出ていたのである。

その時、ちょっと胸に来るものがあって「海は見えない」という連作10首を詠んだ。
https://masanao-m.booth.pm/items/3908160

あの時と同じことが同じドラマのシリーズでまた起きたのである。

posted by 松村正直 at 17:44| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月14日

朝日新聞の社説

今日の朝日新聞の社説を読んでいて気になったことがある。

「デジタル化社会を生きる」「「人間であること」という一線」という題の文章で、内容には特に異論はない。気になったのは、文中の短歌の引用に関してである。

 ジタンとかタイパと言ってせわしなく時間に追われる令和の日々かな――先月の朝日歌壇にそんな投稿があった。

という形で、朝日歌壇の入選歌が引かれている。

これは、昨年12月15日の朝日歌壇に掲載された横浜市の西前敦子さんの作品だ。でも、社説には歌だけが引かれていて作者名は載っていない。

こうした引用の仕方には強い違和感を覚える。「西前敦子」の四文字をなぜ入れなかったのだろう。有名歌人でなく投稿歌だから構わないと思ったのか。あるいは作者など誰でもいいと思っているのか。

同じ新聞に掲載された短歌なので著作権の問題はないのかもしれないが、短歌やその作者に対する敬意がまったく感じられない。他人が苦心して詠んだ作品を、ちょいっとつまみ食いしているようなものではないか。

こうした作者名抜きの引用はダメだと、一歌人としてはっきり言っておきたい。

posted by 松村正直 at 14:00| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月01日

謹賀新年

新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

今年の目標は…

・ 第6歌集を出す。
・「啄木ごっこ」の連載を完結する。
・「パンの耳」第9号、第10号を発行する。
・ 父に会いにできるだけ多く東京に行く。
・ 部屋を清潔に保ち健康に過ごす。

posted by 松村正直 at 03:10| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月29日

今日の朝日新聞から

今日の朝日新聞から印象に残った記事を二つ。

まずは、岸本尚毅の俳句時評「「写生」は言語操作」。岸本は宇井十間の評論集『俳句以後の世界』を引きながら、次のように書く。

俳句に「現前性」をもたらす「写生」という手法は、一般に考えられているような「見たまま」の描写ではなく、むしろ「言語操作」なのである。

これは短歌にもそのまま当てはまる話で、とても重要な指摘だ。

もう一つは、有田哲文記者のコラム「日曜に想う」。前田勉『江戸の読書会』を取り上げて、江戸時代の学習法である「会読」について記している。

一つの特徴が「遊び」の要素で、誰が書物を深く読めるかを競い合った。身分の上下に関係なく、実利にもつながらないからこそ、熱くなれた。
もう一つの特徴が、異なる意見に出合い、そこから学ぼうとする姿勢だ。加賀藩の藩校・明倫堂は学生にこう求めた。明白な結論に至るため、虚心に討論しよう。みだりに自分の意見を正しいとし、他人の意見を間違いとする心を持つのは見苦しい――。

これは、まさに歌会のあり方そのものだ。歌の前では誰でも平等。自由に意見を交わし合い、みんなで協力して一首の読みを深めていく。

そうした姿勢が大事なのは、短歌に限らない話なのだろう。

posted by 松村正直 at 23:44| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月28日

仕事納め

年内の原稿の締切をようやくすべてクリアした。

気が付けば今年ももう残り3日。

少し部屋を片付けることにしようか。

posted by 松村正直 at 21:07| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月26日

残り1本

年内が締切の原稿は残り1本。

あっと言う間に大晦日が近づいてきた。

他にもいろいろやりたいことがあったのだけれど、とりあえず原稿に集中。

posted by 松村正直 at 21:47| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月23日

第1回短歌研究評論賞

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現在発売中の「短歌研究」2025年1・2月号に「第1回短歌研究評論賞」の応募要項が発表されました。昨年まで42回続いた現代短歌評論賞をリニューアルした賞になります。

昨年に引き続き、この賞の選考委員を務めることになりました。意欲的な評論のご応募をお待ちしております。

応募要項は短歌研究社のホームページでも確認できます。
こちら

posted by 松村正直 at 23:21| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月20日

残り3本

今年も残すところ10日あまり。

年末モードでゆっくり過ごしたいのだが、まだ年内の原稿の締切が3本残っている。

それを書き上げるまでは年が越せない……。

posted by 松村正直 at 13:23| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月07日

日々のクオリア

今日の砂子屋書房HPの「日々のクオリア」で『駅へ』の歌を取り上げていただきました。

https://sunagoya.com/tanka/?p=34592

車窓から見える奇妙な建物をいつの日か僕は訪ねるだろう
/『駅へ』

『駅へ』巻頭の連作「フリーター的」は1999年の角川短歌賞の次席になったもの。もう25年も経ったのかと思うと感慨深いですね。

『駅へ』(新装版)は野兎舎のオンラインストアやAmazon(Kindle版)にて販売中です。

野兎舎のオンラインストア
Amazon(Kindle版)

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posted by 松村正直 at 22:24| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月27日

行ってみたいところ

死ぬまでに行ってみたいところのリスト。

根室、夕張、横手、角館、大石田、長岡、諏訪湖、横須賀、養老、伊勢神宮、高野山、新宮、城崎温泉、対馬、五島列島、佐世保、大牟田、屋久島、父島・母島

関西でもまだ行ってないところがあるな。

posted by 松村正直 at 23:22| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月25日

岩国市民短歌大会

昨日、第51回岩国市民短歌大会が開催された。


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会場の岩国市民文化会館。


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10:00から始まって、午前は私の講演「短歌と省略」。

昼食を挟んで午後からは投稿作品(小・中・高校生の部、一般の部)の講評と表彰式があり、16:00に終了。

20年以上前に岩国の「草笛短歌会」にお呼びいただいた時にお会いした方々と再会できて何とも懐かしかった。また、現代短歌社賞を受賞して歌集『かたへら』を出された森田アヤ子さんともお会いすることができた。

岩国短歌協会のみなさま、ありがとうございました。

posted by 松村正直 at 21:21| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月23日

岩国へ

岩国市民短歌大会で講演をするため、今日から2泊3日で岩国へ行ってきます。

岩国に行くのは20年ぶりくらいかな。

posted by 松村正直 at 06:24| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月16日

現代短歌社3賞の授賞式・祝賀会

今日はエースホテル京都で開催された現代短歌社の3つの賞の授賞式・祝賀会に参加した。

・第11回佐藤佐太郎短歌賞 一ノ関忠人『さねさし曇天』
・第12回現代短歌社賞 上川涼子「水と自由」300首
・第5回BR賞 野川りく「ここではじまっている」

上川さんは私が選考委員をしていた第10回の現代短歌社賞で次席になった方。今回再挑戦して見事に受賞されたのを見て感慨深かった。

会場では、香川哲三、三枝浩樹、正岡豊、門脇篤史、森山緋紗、土居文恵、雲嶋聆、三潴忠典、川上まなみ、といった方々と話をした。

京都で短歌の授賞式が行われるというのは、けっこう画期的なことだと思う。

posted by 松村正直 at 22:18| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月14日

『駅へ』の歌の一首評

2021年に『駅へ』新装版を出したおかげで、この第1歌集を読んでくださる方がだいぶ増えたようだ。ネットで取り上げられている一首評をいくつかご紹介。

・「短歌研究室」
待つように言ったら待ってくれたろう二十分でも二十年でも
https://shikimorimisao.com/tanka/matsumuramasanao/

・「tankalife」
煙草吸う友は煙草の自販機の場所に詳しいそれだけのことだ
https://tankalife.net/vending_machine14/

・「1分で短歌解説」
手を出せば水の出てくる水道に僕らは何を失うだろう
https://www.youtube.com/watch?v=v2P_BNtwbi8

みなさん実に丁寧に一首を読み解いてくださっていて、とてもありがたい。

posted by 松村正直 at 23:28| Comment(2) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月10日

倉吉から

第53回鳥取県民短歌大会で「平明で奥深い歌」という講演をして帰ってきました。

特急「スーパーはくと」で京都⇔倉吉は直通なので便利でした。片道約3時間40分。

大会の準備・運営に当たられた鳥取県歌人会のみなさん、お疲れさまでした。久しぶりにお会いする方も多く、楽しい2日間でした。

posted by 松村正直 at 21:25| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月09日

倉吉へ

明日は第53回鳥取県民短歌大会。
今日から倉吉へ行ってきます。

posted by 松村正直 at 05:26| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月05日

体調回復

しばらく体調を崩していましたが、だいぶ回復してきました。
現在80%くらいの状態です。

秋晴れの気持ちの良い日が続いています。

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2024年10月30日

11月12月の予定

9月〜12月にかけては短歌のイベントが多い。
備忘のために、11月12月の予定を書いておこう。

11月 2日(土) 国際啄木学会関西支部研究会
11月10日(日) 鳥取県民短歌大会 講演「平明で奥深い歌」
11月16日(土) 現代短歌社授賞式・祝賀会
11月17日(日) 第16回別邸歌会
11月24日(日) 岩国市民短歌大会 講演「短歌と省略」
12月 1日(日) 現代歌人集会秋季大会
12月 8日(日) 明星研究会

NHK学園の新しい講座「N学短歌plus」も始まります。
https://college.coeteco.jp/bundles/b8arse6P

どうぞ、よろしくお願いします。
posted by 松村正直 at 22:49| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月28日

父と選挙

神奈川県でひとり暮らしをしている84歳の父が、昨日、衆議院議員選挙に行ってきたそうだ。半月前に屋外で転倒して救急車で搬送され、顔に大きな内出血の痣ができたばかりなのだが、投票所まで約500メートルの距離を30分ほどかけて、ゆっくり歩いて往復したとのこと。

無理せずにタクシーを使ったらとも言ったのだが、これくらいの距離を歩けなくなったらおしまいだと思って歩き、何とか無事に往復できたらしい。これまで選挙には欠かさず参加しているので、何としてでも行きたかったそうだ。

やはり投票できた喜びは大きかったようで、今日は電話で政治の話をあれこれ喋っていた。いろいろ心配なことはあるけれど、本人のやる気があるうちはあまり制限を設けずに、自由にやらしてあげたいなと思う。

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2024年10月05日

佐太郎と三四二

上田三四二の短歌を読んでいると、しばしば佐藤佐太郎からの影響を感じる。

大木(たいぼく)の幹の間ほそきひかりさし光の幅に霧はかがやく/『黙契』
茫然と机に居ればをりふしの風に灰皿の灰うごきをり/『雉』
水槽に降り込む雪は水の輪のなかにしばらくかたちを保つ/『湧井』
冬樹々のかげこまやかにうつる池かげの投網(とあみ)のなかに鯉ゐる/『照徑』

三四二は『短歌一生』の中でも、繰り返し佐太郎に言及している。

私は初学のころより斎藤茂吉に惹かれ、かさねて、『帰潮』を機に佐藤佐太郎に親炙して今日にいたっているが、(…)佐藤氏に受けた影響の大きさは門下の人々におとるとは思えないにもかかわらず、直接、その門をたたくことをしなかった。
佐藤氏は短歌の中で物の把握をもっとも徹底しておこなってきた人で、ここでも「風にかたむく」にその実行がある。それは実景であり、実景でなければならないが、しかしただの写生を越えたものがある。心眼と言いたいものがはたらいている。

両者の歌には似ている点も多いが、佐太郎の歌がドライであるのに対して、三四二の方はややウェットだと言えるだろう。

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2024年10月02日

傷痍軍人と国立病院

日本の国立病院(現・独立行政法人国立病院機構)の多くは、戦前の陸軍病院・海軍病院・軍事保護院(傷痍軍人療養所)がもとになっている。

という話を、この夏のオンラインイベント「戦争で負傷した軍人は何を詠んだのか? ― 村山壽春の短歌」でした。

上田三四二は1952年から9年間、京都府久世郡城陽町(現・城陽市)の国立京都療養所(現在の国立病院機構南京都病院)で働くが、ここの前身も1939年設立の傷痍軍人京都療養所であった。

医の業(わざ)をたのしともなく山裾の療舎にわかき十年(ととせ)すぎにき/『遊行』
寝台に正座し待ちし傷痍軍人も診たりきわかき結核医われ

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2024年09月22日

父と過ごす時間

84歳の父は神奈川県でひとり暮らしをしている。

父の家に泊まったついでに、父の生い立ちや親族や仕事のことなど1時間ばかり話を聞いてみた。最初はぽつりぽつりという感じだったが、だんだんと記憶が甦ってきたのか、自分から積極的に話をしてくれた。

父と母は私が高校2年の時に離婚した。それ以前も父とは仲が悪かったので、父については知らないことが多い。今回はじめて知ったこともいくつかあった。

父の生い立ちは複雑だ。父の生母は昭和20年、父が5歳の時に結核性の腹膜炎で亡くなった。ほとんど記憶にないらしい。その後、消防士だった祖父は2人の後妻を迎えた(1人目はすぐに離婚)。

父はもともと兄・姉・弟がいて4人きょうだいだったが、それ以外に義母の連れ子が2人と、新たに生まれた異母きょうだいが2人、全部で8人の子がいた。(後に祖父は2人目の後妻とも離婚する)

「オレみたいに複雑な生まれの人もあまりいないでしょ」

中学卒業後、父は集団就職で東京に出てきて、業務用冷蔵庫の製造・販売・修理の会社で働き始める。二十数年働いたところで会社が倒産(私が小学生の頃)、関連会社に勤めたものの、そこも業務縮小により解雇された。

その後、企業のメール便配送の仕事をして、最後は養護学校の送迎の運転手を80歳まで勤めた。15歳から80歳まで実に65年間も働いてきた人生だったわけだ。

「だから、働き過ぎたんだよね」

父は体調がよくなったら、もう何年も行っていない両親の墓参りに行きたいらしい。また、施設に入っている姉にも会いに行きたいようだ。何とかしてあげたいと思うけれど、現状ではなかなか難しい。

posted by 松村正直 at 22:06| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月21日

短歌研究三賞授賞式

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昨日は17:00から講談社の26階の会場で、短歌研究三賞の授賞式が行われた。

・第60回短歌研究賞
  坂井修一「鷗外守」20首
  山田富士郎「UFO」24首

・第67回短歌研究新人賞
  工藤吹「コミカル」30首

・第42回現代短歌評論賞
  竹内亮「仮想的な歌と脳化社会 ― 二〇二〇年代の短歌」

受賞されたみなさま、おめでとうございます。

山田さんは体調不良のため残念ながらご欠席。まだ一度もお会いしたことがない。

久しぶりにいろいろな方と話ができて楽しい一日だった。

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2024年09月18日

「ぬえ的」をめぐって

以前、土屋文明が短歌の言葉は文語でも口語でもなく、新旧取りまぜで「ぬえ的」なものだと論じた話をブログに書いたことがある。

https://matsutanka.seesaa.net/article/425594195.html

今日、江戸後期の国学者石原正明の『年々随筆』巻二 にこれとほとんど同じ話が載っていることを知った。

すべて世の事と詞と打ちあいたる物にしあれば、今時の雑事を、古言にいいとらん事、難きわざなり。されば俗語も入りまじりて、頼政の卿の射たりけむ怪鳥のごとく、かしらは猿、尾はくちなはにて、みぐるしきわざならずや。

「頼政の卿の射たりけむ怪鳥」=ぬえ、である。

古い言葉と新しい言葉の混在について、文明が「悪くいえばぬえ的、よくいえば両者の長を取った新しい一つの領域というもの」と肯定的に捉えているのに対して、石原は「みぐるしきわざならずや」と否定的だ。

そうした違いはあるけれど、ぬえに喩える点では約150年の時を隔てて共通しているのが面白い。

posted by 松村正直 at 20:00| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月11日

残りすくなきいのち

花山多佳子『三本のやまぼふし』にこんな歌があった。

残りすくなきいのちと詠まれし老人は牧水よりも長く生きけむ

この歌の元になっているのは次の歌。

老人(としより)のよろこぶ顔はありがたし残りすくなきいのちをもちて
/若山牧水『山桜の歌』

牧水が1921(大正10)年に上高地を訪れた時の歌で、「わが伴へる老案内者に酒を与ふれば生来の好物なりとてよろこぶこと限りなし」という詞書が付いている。牧水も酒好きだったので、ガイドの喜びようが胸に沁みたのだろう。

牧水はこの旅から7年後、1928(昭和3)年に43歳という若さで亡くなる。「残りすくなきいのち」であったのは、むしろ牧水の方だったのかもしれない。

posted by 松村正直 at 08:51| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月27日

総力戦というもの

『稲の大東亜共栄圏』を読んで印象に残った言葉がある。

大東亜戦とは米と小麦、水田と畑との文化戦である。稲を作り米を食ふ民衆が、麺麭を食ひ、小麦を作る民族に決して劣らない、否彼の為し得ざる処を成し遂げることを事実に示す秋が到来した。

永井威三郎『随筆水陰草』(1942年)に記されたものだ。永井はまた少年少女向けの『日本の米』(1943年)の中で、ドイツが食糧難により第一次世界大戦で敗北した事実をもとに、

あの大戦争は、つまりはたべ物のあるなしで、勝ち負けがきまつたとも考へられます。

と書いている。

ドイツの敗北から得たこの教訓は、大日本帝国陸軍にも広く共有されたものであった。そこから生まれるのが「総力戦」という考えである。先日読んだ『東條英機』から引く。

東條は、第一次世界大戦を経た今日においては「武力、経済、思想攻略等各種作戦を、一元的に統制する国家が、近代戦争の勝利者たることができる」と言い切り、ロシアなどの対日思想戦、プロパガンダ戦の脅威を指摘して(…)

つまり、戦争は武力だけでなく、経済戦であり、思想戦であり、情報戦であり、文化戦でもあるというわけだ。こうした思考は、いわゆる戦争協力の問題を考える際に欠かせないものだろう。

先日観た映画「アナウンサーたちの戦争」にも「電波戦」という言葉が出てきた。ナチスのプロパガンダ戦にならってラジオ放送で戦意高揚を図るとともに、戦場では偽の情報を流して敵を混乱させるというものだ。

もちろん、歌人も例外ではない。斎藤瀏『わが悲懐』(1942年)には、次のような認識が示されている。

新体制は従つて、国民各自に国防観念と国防力を充実するを要求する。高度国防は国家の総力を綜合することによつて、達せらるゝ故に、政治、外交、産業、経済、教育、文化、思想総てが国防を負担するを要する。(…)このことを歌人についていへば、歌人も国防人であるべく、その行動する短歌も消極的には国防を傷けず、積極的には国防を強化しなければならぬ。

この文章を現在の目で見て批判するのは簡単なことだが、その前にこうした認識がどのようにして生まれたのかを理解しておく必要もあるだろう。

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2024年08月15日

東京へ

今日は父の誕生日。
1940年生まれの84歳。

というわけで、東京(厳密には神奈川)にいます。

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2024年07月27日

足で調べる

良真実さんと暮田真名さんのラジオ「短歌・川柳耳学問」の「夏休み集中講座・月のコラムを読むC」を聞いていたら、今年から現代短歌評論賞の選考委員になった私についての言及があった。

11:20あたりから。
https://open.spotify.com/episode/44BqJT41FgxqXitA5ZgQT6

「情熱がすごくて行動派」
「フリーのジャーナリストですかって感じでフットワークが軽い」
「松村さんがヤバすぎるんですよね」

こんなふうに言ってもらえると、けっこう嬉しい。

私が短歌評論を書く際に現地に出向いたりするようになったきっかけは、『高安国世の手紙』の連載8回目「榎南謙一を探して」で岡山県の旧金光町を訪れたこと。この取材で高安の古い友人であった榎南について突き止めることができ、はっきりとした手応えを感じたのだ。

評論にはいろいろなアプローチの仕方があるけれど、私にはこの「足で調べる」方法が向いている気がした。それ以来、高安山荘に行ったり、サハリンに行ったり、渋民に行ったり、北海道に行ったり、堀之内に行ったりするようになり、今に至っている。

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2024年07月18日

東京へ

短歌関連の取材と用事で東京にいます。
明日の夜に京都に帰ります。

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2024年07月17日

今後の予定

下記の講座や歌会などを行います。
みなさん、お気軽にご参加ください。

7月27日(土)講座「短歌―歌集の編み方、作り方」(くずは、オンライン)
https://matsutanka.seesaa.net/article/503924191.html

8月6日(火)講座「戦争で負傷した軍人は何を詠んだのか?」(オンライン)
https://yatosha.stores.jp/items/6688a1b2f06ae80578503259

8月28日(水)講座「現代短歌セミナー 作歌の現場から」(オンライン)
https://college.coeteco.jp/live/m331c69e

9月15日(日)第15回別邸歌会(奈良)
https://matsutanka.seesaa.net/article/503430273.html

10月6日(日)講座「没後35年、上田三四二の短歌を読む」(大阪)

11月10日(日)鳥取県民短歌大会 講演「平明で奥深い歌」
https://toricul-kenbunren.jp/pages/50/detail=1/b_id=251/r_id=38/

11月16日(土)第16回別邸歌会(滋賀)【予定】
https://matsutanka.seesaa.net/article/503430273.html

11月24日(日)岩国市民短歌大会講演 講演「短歌と省略」

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2024年07月13日

女性歌人の歌集シリーズ

黒木三千代『クウェート』(1994)は本阿弥書店の「ニューウェイブ女性歌集叢書」(1992〜1995、10冊)の1冊として刊行された。ラインナップは以下の通り。

1 梅津ふみ子『わらふ山鳩』
2 木畑紀子『女時計』
3 草田照子『天の魚』
4 久慈こうこ『星河原』
5 黒木三千代『クウェート』
6 五所美子『三耳壷』
7 斎藤佐知子『風峠』
8 高旨清美『珈琲パペット』
9 中野昭子『たまはやす』
10 吉宗紀子『緑の卵』

「ニューウェイブ」という名が付けられているが、短歌史的な意味での「ニューウェーブ」とは関係ない。全体にやや地味な印象と言っていいだろう。

この時期、河出書房新社も「同時代の女性歌集」(1991〜1994、15冊)というシリーズを刊行している。

俵万智『かぜのてのひら』
道浦母都子『風の婚』
李正子『ナグネタリョン』
林あまり『最後から二番目のキッス』
大田美和『きらい』
沖ななも『ふたりごころ』
松平盟子『たまゆら草紙』
井辻朱美『コリオリの風』
干場しおり『天使がきらり』
早坂類『風の吹く日にベランダにいる』
今野寿美『若夏記』
米川千嘉子『一夏』
永井陽子『モーツァルトの電話帳』
佐伯裕子『あした、また』
栗木京子『綺羅』

『サラダ記念日』がベストセラーになった俵の第2歌集をはじめ、錚々たる歌集が並ぶ。今ではベテラン歌人ばかりだが、当時はまだ30代・40代の若手・中堅歌人であった。彼女たちを選んだ河出書房新社の力量をまざまざと感じる。

posted by 松村正直 at 21:27| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年07月02日

今後の予定

下記の講座や歌会などを行います。
みなさん、お気軽にご参加ください。

7月15日(月・祝)第14回別邸歌会(京都)
https://matsutanka.seesaa.net/article/503430273.html

7月27日(土)講座「短歌―歌集の編み方、作り方」(くずは、オンライン)
https://matsutanka.seesaa.net/article/503408936.html

8月6日(火)講座「戦争で負傷した軍人は何を詠んだのか?」(オンライン)
https://yatosha.stores.jp/items/6688a1b2f06ae80578503259

8月28日(水)講座「現代短歌セミナー 作歌の現場から」(オンライン)
https://college.coeteco.jp/live/m331c69e

9月15日(日)第15回別邸歌会(奈良)
https://matsutanka.seesaa.net/article/503430273.html

10月6日(日)講座「タイトル未定」(大阪)

11月10日(日)鳥取県民短歌大会 講演「平明で奥深い歌」
https://toricul-kenbunren.jp/pages/50/detail=1/b_id=251/r_id=38/

11月16日(土)第16回別邸歌会(滋賀)【予定】
https://matsutanka.seesaa.net/article/503430273.html

11月24日(日)岩国市民短歌大会講演 講演「短歌と省略」

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2024年06月19日

くにたち短歌大会

 くにたち短歌_表紙.jpg


今年の「くにたち短歌大会」(主催:NHK学園、共催:日本歌人クラブ)の選者を務めることになりました。

たくさんのご応募、お待ちしております。
https://www.n-gaku.jp/life/topics/8719

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2024年06月15日

歌集を読む楽しみ

歌集を読みながら、先行するさまざまな歌からの影響や広い意味での本歌取りを思い浮かべるのは楽しい。

疾風に胸を圧されて自転車を漕ぎなづみゐる女学生ひとり
/大辻隆弘『橡と石垣』
疾風を押しくるあゆみスカートを濡れたる布のごとくにまとふ
/上田三四二『遊行』

「疾風+女性」というモチーフに共通したものがある。

  米国大統領来日
天皇と天皇に身体二倍なるドナルド・トランプ歩みゆく様
/大辻隆弘『橡と石垣』
わが妻のからだ五倍なる小錦が土俵を去りしのちのしづかさ
/小池光『静物』

「身体(からだ)○倍なる」はかなり目立つ表現で印象的。

ひと厭ふこころにあゆむ川の辺は楢のこずゑの夕しづむ音
/大辻隆弘『橡と石垣』
連結を終りし貨車はつぎつぎに伝はりてゆく連結の音
/佐藤佐太郎『帰潮』

文脈上のねじれを伴う歌。大辻が「浮遊する「は」」と名付けた手法である。

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2024年06月14日

小高賢の励まし

黒木三千代の30年ぶりの歌集『草の譜』のあとがきに、こんな一節がある。

早く歌集を出すようにとくり返し励ましてくださった岡井隆先生、小高賢さん、亡くなられたあとに出すようなことになり、慙愧に堪えません。

岡井隆は黒木の先生なのでよくわかるが、小高はなぜ黒木を励まし続けていたのだろう。

そんなことを考えていたら、小高賢編著『現代の歌人140』(2009年)のこんな文章に出会った。

 性愛を卓抜な喩とし、一九九一年の湾岸戦争を鮮やかに主題化した黒木の歌集『クウェート』が刊行されたのは、一九九四年だった。いまでも、たびたび引用されるように時代を画する歌集の一冊である。
 ところがその後、黒木は歌集を上梓していない。もう十五年もたつ。会うたびに、どうなっているのかと、まるで責めるように追求するのだが、なかなか踏み切らない。『クウエート』の後であるから、躊躇する気持も分からないではないが、やはりあまりにも間があきすぎてしまった。こうなったら二、三冊、続けざまに出すほかはない。それくらい待望されているのである。

熱烈なラブコールと言っていい。それだけ黒木の歌を高く評価していたということだ。

『現代の歌人140』は小高の選んだ歌人140名のアンソロジーだが、すべてに小高の鑑賞文が付いている。あらためて読み直してみると、それは140名それぞれに宛てた小高の手紙のようでもあるのだった。

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2024年06月10日

三密と三徳

コロナ禍でさかんに「三密」(密閉・密集・密接)を避けるようにと言われたが、仏教用語にも「三密」というのがある。

司馬遼太郎『街道をゆく32』には次のように記されている。

三密(身・口・意)とは身体と言語と心のことをいう。この三密を法に従って行ずることで宇宙の内奥(仏のこと)に入ってゆくことができ、やがて即身(生きたまま)で成仏できるのである。

先日、ゾロアスター教に関する話を読んでいたら、「善思・善語・善行」の三徳の実践について書かれていた。英語で good thoughts ,
good words , good deeds である。

宗教は違っても、言っていることは共通しているなあと思った次第。

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2024年05月28日

東京から

東京から帰ってきました。
京都は雨。

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2024年05月25日

東京へ

東京へ行ってきます。

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2024年04月24日

90年前の歌

来月の講座「ラジオと戦争」に向けて下調べをしていたら、こんな歌が見つかった。

眉あげて戦争をとく人びとは兵役の関係なきものおほし
/木下国一「アララギ」1932年1月号
たはやすく戦をいふこの人は死を他人事(ひとごと)と思へるらしき
/半田良平「国民文学」1932年5月号
兵役にかかはりの無きがたはやすく世界を敵と戦へと言ふ
/大和勇三「歌と観照」1933年12月号

90年前も今も変わらないなあと思う。

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2024年03月28日

現代短歌評論賞

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今年から新たに現代短歌評論賞(短歌研究社)の選考委員を務めることになりました。川野里子さん、土井礼一郎さん、寺井龍哉さんと私の4名で担当します。

現代短歌評論賞は歌壇で唯一の公募の評論賞として長い歴史を持ち、多くの優れた書き手を輩出してきました。短歌評論を書いたことのある人もない人も、どしどしご応募ください。

応募要項は「短歌研究」4月号の47ページ、または下記の短歌研究社HPにてご確認ください。

第42回 現代短歌評論賞 - 短歌研究社 (tankakenkyu.co.jp)

posted by 松村正直 at 16:56| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年03月27日

オーディオドラマ「風がやむまでは」

FMシアター「風がやむまでは」(3月23日放送)の中で、私の短歌を使っていただきました。

抜かれても雲は車を追いかけない雲には雲のやり方がある
                  『駅へ』

主人公の再出発の場面でこの歌が出てきます。

3月30日の22:50まで配信中ですので、お時間のある方はどうぞお聴きください。
https://www.nhk.or.jp/radio/ondemand/detail.html?p=0058_01

posted by 松村正直 at 16:35| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年03月26日

アオサギ

昨年7月に映画「君たちはどう生きるか」を観た。面白かったけれど何だかとりとめのない感じもあって、正直なところ評価には迷った。

その後、ネットでたまたま英語版の予告編を目にした。
https://www.youtube.com/watch?v=fPa6iL_gQRQ

自分が観た映画なのに、まるで違うもののような感じがして驚いた。何よりタイトルが「The Boy and the Heron」(少年とアオサギ)なのだ。それがとても新鮮に感じられた。

刺激を受けて12月にもう一度映画館で「君たちはどう生きるか」を観たところ、いろいろな場面がすんなりと胸に入ってきて、とてもいい作品だと感じた。映画は何も変っていないのに、観る私の何かが変化したのだろう。

先日批評会が行われた笠木拓歌集『はるかカーテンコールまで』にも、アオサギが登場する。

青鷺、とあなたが指してくれた日の川のひかりを覚えていたい
ぶらんこが軋むみたいな声で鳴きいま青鷺がよぎりぬ春を

そうか、この歌集も「君たちはどう生きるか」だったのか。再読しながら、そんなふうに思ったことだった。

posted by 松村正直 at 21:52| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年03月24日

息子の引っ越し

息子が大学を卒業して引っ越すので、昨日は千里山の部屋を片付ける手伝いに行った。ごみを捨てたり業者の手配をしたりして、一日かけてようやく目途が付いた感じ。引っ越しってやっぱり大変だな。

posted by 松村正直 at 10:23| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年03月23日

笠木拓『はるかカーテンコールまで』歌集批評会

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明日、3月24日(日)に京都で笠木拓『はるかカーテンコールまで』歌集批評会が行われます。参加申込みは下記のフォームまで。

笠木拓『はるかカーテンコールまで』批評会 (google.com)

多くの方とお会いするのを楽しみにしております。

posted by 松村正直 at 08:27| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年03月16日

原稿依頼

原稿依頼は重なる時は重なって、身動きが取れなくなる。
今抱えているのは下記の6本。

・角川短歌   連載
・短歌研究   作品10首
・歌壇     評論
・短歌往来   書評
・現代短歌新聞 書評
・NHK短歌  連載

さて、どれから手を付けたらいいものか。

posted by 松村正直 at 23:13| Comment(2) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年03月14日

公職追放と教職追放

中村正爾が公職追放を受けていたことを知って少し意外な気がした。それは、

歌作による被追放者は一人のみその一人ぞと吾はつぶやく
           小泉苳三『くさふぢ以後』

という有名な歌があり、歌人で公職追放を受けたのは小泉苳三だけと思っていたからである。「ポトナム」主宰で立命館大学教授であった小泉は、1946年に教職不適格と審査され大学を追われた。

公職追放者約20万人の氏名を掲載した総理庁官房監査課編『公職追放に関する覚書該当者名簿』(1949年)を見ると、中村正爾(アルス編集部長)以外にも、

・斎藤瀏(言論報国会理事 明倫会理事)
・吉植庄亮(推薦議員)
・大熊信行(大日本言論報国会理事)
・三井甲之(著書)
・保田與重郎(著書)

といった歌人の名前を見つけることができる。
https://dl.ndl.go.jp/pid/1276156

ちなみに、この名簿は「安部」から始まって「ア」の名前がしばらく続いた後に「馬場」になる。あれっ?と思ってよく見ると、アイウエオ順ではなくABC順に並んでいるのだった。まさに、戦後という時代を感じさせる名簿と言っていいだろう。

そして、これが大事な点なのだが、小泉苳三(小泉藤造)の名前はこの名簿には見当たらない。つまり、小泉は公職追放を受けてはいないのだ。

小泉が受けたのは「教職追放」であって「公職追放」ではない。まず、この二つを明確に区別しておく必要がある。

・教職追放(1946年5月7日の勅令「教職員の除去,就職禁止及復職等の件」)
・公職追放(1946年2月28日の勅令「就職禁止、退官、退職等ニ関スル件」、1947年1月4日の「公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令」)

教職追放の該当者は大学教授など約7000人であったが、公職追放は国会議員をはじめ約20万人という大規模なものであった。そこには、先に記したように何名かの歌人も含まれている。

posted by 松村正直 at 09:53| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年03月13日

中村正爾の歌をめぐって

奥村晃作さんがXで中村正爾(1897‐1964)の歌を紹介して、歌についての疑問点をお書きになっていた。

神無し月十三日けふ金曜日ゆるさし一万九十名の中の一人なり我は
(「ゆるさし」って何?「一万九十名」って何?)

調べてみると、これは1950(昭和25)年の歌で、10月13日に10,090名の公職追放が解除(第一次)された出来事を詠んだものであった。

小高賢編『近代短歌の鑑賞77』の中で「ゆるさし」となっているのは誤植で、正しくは「ゆるされし」。アンソロジーには時々こういうことがあるので注意が必要だ。

初出は「多磨」1950年12月号。「解除」という題で9首載っているうちの最初の歌である。ちなみに2首目は、

いまさらの解除なにぞとおもほえど我が反証よつひに徹りし

というもの。不当な公職追放だったという無念の思いが滲む。

そもそも、なぜ中村は公職追放を受けたのか。

昭和23年6月7日の官報の「公職資格訴願審査結果広告第十九号」に、中村正爾は「アルス編集部長」として載っている。
(「中村政爾」となっているが、翌8日の官報に訂正が掲載)

同じく北原鉄雄(白秋の弟)も「アルス社店主」として載っており、出版社での活動が公職追放の原因となったようだ。

この時点で北原の追放は「解除」となったが中村は「不解除」で、中村の追放解除は1950年10月13日まで待たなければならなかった。

アルスは昭和15年から16年にかけて、『日本とナチス独逸』『日独伊枢軸論』『ナチスのユダヤ政策』『ヒットラー伝』など「ナチス叢書」25冊を刊行しており、そのあたりがおそらく追放の原因になったのだろう。

posted by 松村正直 at 10:33| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする