副題は「イスラエルとパレスチナ 攻防の裏側」。
ガザをめぐって戦争が起きる歴史的な背景や国際情勢について、コンパクトにわかりやすく解説した本。
パレスチナ問題は、しばしば「イスラムとユダヤの2000年来の宗教対立」といった言葉で語られる。しかし、こうした解説は事実と対応していない。(…)争いはパレスチナという地域を誰が支配するかをめぐってである。これは土地争いであり、それに付随する水争いである。
第一次世界大戦の終結まで、オスマン帝国という国が存在した。この帝国は、現在のトルコのイスタンブールに首都を置き、ヨーロッパ、アジア、アフリカに及ぶ巨大な領域を支配していた。パレスチナは、この帝国の一部であった。
中東最強の軍隊と、世界最先端のテクノロジーを持ち、世界で最も「テロ対策」が進んだ国で、なぜ世界で最もテロ≠ェ起きるのか。その理由と向き合うことなしには、イスラエル国民の本当の安全はないのではないか。
現在でも、アメリカの対外援助の相手国のランキングでは1位がイスラエルで、2位がエジプトというのが通常は定位置である。エジプトが援助を受け続けることができるのは、イスラエルとの関係を維持しているからである。
入門書といった程度の内容なのだと思うが、初めて知ることも多く理解が深まった。
2024年2月25日、ワニブックスPLUS新書、990円。