副題は「時空を超える植物の知恵」。
むちゃくちゃ面白かった!
植物にはまったく詳しくないのだけれど、稲垣栄洋さんの本とかNHKの番組「植物に学ぶ生存戦略」を見るのは好き。そんな私にぴったりの本だった。
タネはいわばマイクロカプセル。みずからの設計図である遺伝子と、芽が育つための栄養が詰め込まれています。新しい場所で新しい世代を担うべく、タネたちは旅立つのです。
種を遠くへ運ぶ方法として、風や雨や川などの自然を利用するものもあれば、鳥やリスなどに食べられたり動物や人間にくっ付いたりするもの、あるいは自ら物理法則を使って弾き飛ばすものもある。
暑い気温の中で花を長く咲かせるのは、呼吸による消費や水分のロスも多いので、植物にとってもしんどいことなのです。ムクゲの花も、虫の活動が盛んな時間帯だけ開き、実を効率よく結ぼうとしています。
山火事のあとは、光が豊富で競争相手もおらず、灰の栄養もたっぷり。この絶好の機会を待って、ブラシノキはタネを散らし、後継者の木を育てるのです。
生命豊かなマングローブ林では、潮が引いた泥地にカニの巣穴が無数にあいています。うまいこと胚軸の先がカニの巣穴に刺されば万々歳。根が伸びて体を支え、小さなメヒルギの木に育ちます。
ヤドリギの実は消化しにくく粘液質に富み、食べると糞もネバネバになります。糞とともに落とされたタネは、ほかの木の枝や幹にへばりつき、そこで芽を出して育ちます。
2個のタネは、大きさや皮の厚さが少し違います。そして不思議なことに、芽を出すタイミングも違います。(…)オナモミの仲間が住んでいる空き地や水辺などは環境の変化が激しく、芽を出しても確実に育つとは限りません。2番手のタネは、1番手が事故にあったときのための保険なのです。
こんなに精巧で見事な仕組みは、一体どうやって生まれたのだろう?「進化」の概念だけではとても説明できる気がしない。
やっぱり神様がいるのかしら。
2024年10月1日、ヤマケイ文庫、1300円。


同じシリーズの同じ筆者による『じめんのうえとじめんのした』という本も面白かったです。
福音館の科学シリーズは、面白そうな本がたくさんありますね。Amazonで内容紹介を次々と見てしまいました。