副題は「〈自分でつくる〉を取り戻せ」。
建築の歴史や仕組み、人との関係を解説しながら、今後の建築のあり方を示した本。
建築が専門家だけのものでなく誰にとっても身近で関わりを持てるものになるように、との提言が記されている。
現代の建築はどこに行っても同じような材料を使っているのが普通です。鉄筋コンクリートも鉄もガラスも集成材も、土地土地の違いなどありません。どこか遠くから運ばれてきた材料なのですから。でも、トラックも鉄道もなかった時代には、遠くから建築材料を運んでくるのは並大抵のことではありませんでした。ですから、その土地で取れる身近な材料を使うのは当たり前で、結果として建築に豊かな地域性がもたらされたのです。
日本で住宅用アルミサッシが上市されたのは1961年です。それまでの日本の住宅の窓はほぼ木製建具でできていました。主に地域の建具屋が製作していた住宅部品です。ところが、アルミサッシが登場して10年少々を経た1974年の時点で、新築住宅へのアルミサッシ普及率は約9割に達しました。
歴史的に長く続いてきた建築職人の流れと、それとは全く別物として明治時代以来幅を利かせてきた建築学の流れ。この二つの異なる流れが、人の行き来を通して部分的にであれ合流を始めていることは、建築を造ることに関心のある人にとっても、建築それ自身にとっても、望ましいことだと思います。
住宅やオフィスや公共建築を大量にどんどん建てれば良かった時代は終って、私たちの暮らし方や生き方に合った建築を考える時代になってきたのだ。
2025年10月17日、岩波ジュニア新書、880円。


