2026年07月16日

穂積和夫『絵で見る明治の東京』


2010年に草思社より刊行された単行本の文庫化。

明治時代の東京の様子を文章と数多くのイラストで紹介した本。「絵で見る」というのは大事で、イメージが何倍にも広がってくる。

そのころの東京は「車夫と書生の町」といわれていた。人力車夫と書生がやたらと多かったからだ。本郷から神田界隈には下宿屋や書店が立ち並び、学生街として知られるようになっていった。
堀割りと水運の町といわれた江戸の河川には、大小の橋がたくさん架かっていた。いずれも船の通行のために中央が太鼓状に盛り上がった木造橋で、これらは明治になると車馬交通のために平坦な形式に架けかえられるようになる。
江戸時代には高い建造物は禁止されており、高層といえば城の天守ぐらいで、江戸城の大天守も明暦大火後は再建されていないから、一般の高層建造物といえば火の見櫓ぐらいしかなかった。
江戸以来の高級商店は店先に商品を置かず、客の求めに応じて裏の蔵から品物を運んできて売る「座売り」の方式が一般的だった。これに対して、最初から店先に商品を並べて、客に手にとって買ってもらうのが「陳列販売」という方式で、これが急に流行するようになったのは、内国勧業博覧会の売店のスタイルが人気を集めたからだといわれている。

江戸から明治になって、町の風景も人々の暮らしも大きく様変わりする。その一つ一つの意味を、こうしてあらためて知ることができるのはありがたい。

2017年10月9日、草思社文庫、1000円。

posted by 松村正直 at 23:28| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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