2026年07月15日

池内紀『旅の食卓』

著者 : 池内紀
亜紀書房
発売日 : 2016-07-27

何度か書いたことがあるけれど、池内さんは私の大学時代(独文科)の先生だった方。池内さんの文章を読むと、その独特な話し声が聞こえてくるような気がする。

日本全国の旅と食の思い出を記したエッセイ集。「石狩川と鮭」「八丈島と島寿司」「金沢のドジョウのかば焼き」「播州のそうめん丼」「豊後・日田の鮎料理」など、全23編が収められている。

ビジネスホテルのフロントには、第二、第三のおつとめといったタイプの年長者がおられるもので、土地のこと、また夜の居酒屋にくわしい。そんな人の助言をかりる場合は知ったかぶりはしないことで、素直にきいてメモをとったりしていると、親身になって教えてもらえる。
旅先でおでん屋に入るには勇気がいる。おでん屋そのものではなく、店をつつんでいる雰囲気があって、それが土地の人の憩いの場であることを告げている。
伊豆半島の東側には伊豆急が走っているが、西伊豆には鉄道がない。熱海、伊豆、沼津と距離はさほどではないが、ながながとのびる天城山系にさえぎられている。そんな西伊豆の先っぽにあたる松崎は辺鄙な土地と思われがちだが、実はそうではない。古くは船が足だった。

いかにも旅慣れている人という感じがする。

知られるとおり丼物は上の具と下の飯からなりたっており、正確にいうと、下の飯には二種類あって、おしるのしみたところと、しみていない白いごはんのところがある。わが独断であるが、その比率七・三といったところが望ましい。

このあたりは、先日亡くなった「東海林さだお」っぽいな。

2016年8月17日、亜紀書房、1600円。

posted by 松村正直 at 22:46| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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