副題は「ニッポンとことこ歩き旅」。
2018年〜2023年に『地域人』に連載した「暮らすように町に泊まる」の中から17篇を選び、加筆修正してまとめたもの。
全国各地を訪ねて、そこに住む人々、特に地域の活性化や町並み保存、新しい取り組みをしている人などに話を聞いて回った旅行記。
訪れている場所は、宮崎県高千穂町、北海道砂川町、埼玉県川口市、高知県室戸市、神奈川県茅ケ崎市、岩手県盛岡市など。
「かみすながわ炭鉱館」というのも夏場しか開いていないようだったし、「無重力科学館」というのも閉鎖されたようだった。バブルの時に観光を当て込んで造ったが人が来ず、人件費、光熱費が入館料をはるかに上回ったのに違いない。私は驚かなかった。北海道にはこのように、造られたが開かれていない観光施設があちこちにあるからだ。
午後は足袋蔵を見て歩く。リンゴやお茶の蔵は温度管理が大事だが、足袋は蒸れたり腐ったりはしないので、窓のない小屋裏のない蔵が多い。と言っても、漆喰壁、木の壁、トタン壁、石壁、いろんなタイプがある。ほとんどが家の奥にあるため見つけにくい。蔵を壊すのは費用がかかるので、工場や住宅は壊しても、蔵だけ残る。
市川は東京の郊外で、静かな環境を求めて文化人の多く住むところだった。大正時代は画家が多かった。戦後は、空襲で焼け出された幸田露伴や永井荷風が住んでいた。幸田文が父の死を看取るか「菅野の記」というのは、市川市菅野のことだ。
珈琲でも飲みますか、と「大菩薩峠」という名前の喫茶店へ。今まで見た自力建設の建物で五本の指に入る面白さ。レンガを自分で積み上げて造った迷路みたいな建築で、今も建設中である。
おお、「大菩薩峠」!
ここは私も2年前に訪れたことがある。懐かしい。
https://matsutanka.seesaa.net/article/503188791.html
2025年6月2日、亜紀書房、2000円。


