2026年06月14日

黒田賢治『イラン現代史』


副題は「イスラーム革命から核問題、対イスラエル戦争まで」。

1925年のパフラヴィ―王朝の成立から、1979年のイスラーム革命を経て現在に至るイランの歴史を記した本。最後は2025年6月のイラン・イスラエル戦争(12日間戦争)まで。

戦争が起きてから本を読んでも後追いにしかならないのだが、それでも読んで良かった。やはり最低限の知識は持っておくに越したことはない。

英国は米国に接近し、米国はモサッデグ政権の打倒と親英派のザーへディー少将を首相へと挿げ替える英国の計画に合意した。CIAはメディアを用いた政治工作を行いつつ、ザーへディーらとともに国内の軍高官らにクーデタ支持を取りつけようと奔走した。
米国のカーター政権は、ペルシア湾の石油権益の確保のため、それまでの中東情勢を注視する姿勢から、介入姿勢へと舵を切った。同政権は、一九八〇年一月の一般教書演説で、ペルシア湾支配を企図するいかなる外部勢力の試みも、米国の死活的権益への挑戦と見做し、軍事力を含めて、それらを排撃することを明示した。
一九八七年後半から、米国を中心に諸外国によるペルシア湾への介入が本格化した。イランが地対艦ミサイルを配備し、ホルムズ海峡の自由航行をめぐる緊張がさらに高まりを見せたからだ。さらにイラク軍が米国フリゲート艦を誤爆し、米兵三七名が死亡すると、米国は準臨戦態勢に入り、空母および巡洋艦を新たに派遣した。
欧米を中心とする国際社会は、イランはもっと国際的に協調する「正しい」国になっていくべきだと考え、経済制裁や軍事的な介入を行ってきた。しかしイランに生きる人にとっては、どうだろうか。自分たちを苦しめる相手の価値観を、「正しい」と思うことができないのは当然だろう。

この100年間、欧米諸国は幾度もイランやペルシア湾への介入を繰り返してきた。現在起きている戦争も、その続きと言っていいのかもしれない。

2025年11月25日、中公新書、1050円。

posted by 松村正直 at 23:42| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。