「石川桂郎」という名前に何か見覚えがあって買った本。
何で見た名前だったのか、結局思い出せないまま。
1954(昭和29)年に刊行された短篇集。随筆のような、小説のような、不思議な味わいがあって面白い。
嬉しかったのは作者が戦後、鶴川に住んでいて鶴川近辺の話がたくさん出てくるところ。私の生まれ育った玉川学園の隣駅である。
そうして電車の中で眠ってしまい、自分の駅を通り越した先のトンネルの騒音で眼を醒ました。玉川学園で周章(あわ)てて降りると上りはもう一台もなかった。しかたなく私は線路づたいに、トンネルを抜け歩いて帰った。
う〜ん、懐かしい。小田急線の玉川学園前駅の手前にあるトンネル。私は中学から大学2年まで小田急線に乗って都心まで電車通学していたのだが、帰りはいつもこの轟音で眼を覚ましたものだった。
私の村から二つ先の駅に小田急線の新原町田駅があり、其処の繁華街の映画館で上演四時間という「風と共に去りぬ」が、この三日間特別興行されて、御近所の某家からその無料入場券を頂き、一家揃って出掛けた、私はいま留守番役なのである。
これまた懐かしい! 今は小田急線もJRも「町田駅」になっているが、私が子どもの頃は小田急線は「新原町田駅」で国鉄は「原町田駅」だった。
当時、町映グリーン・町映ローズという二つの映画館があって、小学校を卒業した春休みに「宇宙戦艦ヤマト 完結編」を観に行ったことを覚えている。
・・・何だか小説とはまったく関係ない話になってしまった。
石川桂郎、もっと読んでみたい。
2024年5月10日、講談社文芸文庫、2000円。


