2026年04月26日

『山種美術館所蔵 速水御舟作品集』

先月、山種美術館に行った際に購入したもので、同館が所蔵する速水御舟の作品120点すべてが紹介されている。

「画塾からの出発」「古典への挑戦」「十ヶ月にわたる渡欧と人物画への試み」「更なる高みを目指して」の4章構成。速水御舟(1894−1935)は40歳という若さで亡くなったが、それでも作品を見ると初期から晩年に至る一生分の変遷がある。

有名な作品で言えば、13「炎舞」(1925年)、23「翠苔緑芝」(1928年)、41「名樹散椿」(1929年)、96「牡丹花(墨牡丹)」(1934年)など。119「一本松(写生)」120「三本松(写生)」(1935年)を見ると、死期が近いのがわかる。

ところどころに御舟自身の書いた文章が引かれているのだが、これがまたいい。

それから、わたしは自然を徹底的に見ようと思った。自然のまま、草木の葉の葉脈までも美際に見なければ安心が出来ないと思った。小さな自分の主観は夢だ、現実に即して徹底して行こうと、努力して行った。これは非常に苦痛なことであった。
私は常に型を破壊するのに苦心している。いつになったら自分で満足し得られる画境に落付くのだろうか。それは知らない。一生型を壊しつつ終るかも知れない。
写生にも順序が有ると思います。最初は形を写す事。それから形の心持を写す事。この心持が写せなければ画にはならないと存じます。どうしても写生が肝要だと思います。

このあたり、石田比呂志の「写神、不写形」という言葉を思い出す。石田は「対象の模写を越えて心を写生する」「外形的描写ではなくて、精神の、命の描写」と書いていた。絵画に限らず、どの表現にも当て嵌まることなのだろう。

2019年6月8日第1刷、2021年9月9日第2刷。
山種美術館、1300円。

posted by 松村正直 at 10:02| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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