2026年04月07日

木村聡『不謹慎な旅 2』


副題は「負の記憶を巡る「ダークツーリズム」」。

「週刊金曜日」2021年11月〜2024年10月の連載を再構成したもので、『不謹慎な旅』(2022年)の続篇である。
https://matsutanka.seesaa.net/article/518638308.html

「天災・人災の記憶」「喪失する産業の記憶」「戦争の記憶」「差別・抑圧の記憶」「生命と悲しみの記憶」の五章構成で、「名古屋オリンピック構想」「化女沼レジャーランド」「陶器爆弾と焼き物の里」「イエスの方舟」「前期旧石器捏造事件」など35件が取り上げられている。

不謹慎な旅の現場では大声にかき消される小声に耳を澄ませ、そばだてねばならない。だから難しい。でもそれが旅の醍醐味。
遺跡指定を取り消された旧上高森遺跡はもう誰も訪れやしない。二〇一八年に太陽光発電所が完成し、空を見上げるのはソーラーパネルだけ。
産まれた障がい児の命を絶つのではなく、家の体面のため外に出さずにずっと閉じ込めるという選択。(…)「口減らし」の必要のないそもそも裕福な家にこそザシキワラシがいられたということだ。
およそ都内のどの国の大使館も、抗議デモで近寄れるのは五人以内という制限があるのだそうだ。一説に警察がこの「五人ルール」を最初に始めたのが在日本イスラエル大使館らしい。

過去の歴史を学ぶことから現在が見えてくることも多い。

長引く戦争はこの国の物資を逼迫させていた。こと九割以上を輸入に依存する石油。開戦に踏み切った一因には米国などによる対日石油禁輸があり、それゆえ油田を求め出兵した東南アジアであったが、戦況の悪化で原油の輸送が困難になる。

戦時中の「松根油」緊急増産の話。80年前も今も石油の輸入が止まれば生活が立ち行かなくなる状況は、何も変わっていない。

2025年1月30日、弦書房、2000円。

posted by 松村正直 at 23:19| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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