2026年03月08日

「THE 新版画」と啄木

何でも石川啄木と関連付けて考えてしまうのが私の癖なのだろう。

渡邊庄三郎や川瀬巴水の生没年を見ると、啄木と同じ明治十年代の生まれだとわかる。

石川啄木 (1886−1912)
渡邊庄三郎(1885−1962)
川瀬巴水 (1883−1957)

渡邊や川瀬は昭和三十年代まで生きているので、明治で生涯を終えた啄木とは世代が違うように感じるが、実は同世代なのである。

そして、今回一番驚いたのは、「THE 新版画」展に名取春仙の作品が6点展示されていたことだ。

「初代中村鴈治郎の紙屋治兵衛」「六代目尾上梅幸のお富」「十五代目市村羽左衛門の入谷直侍」「初代中村吉右衛門の馬盥光秀」「二代目市川左團次の鳴神」「五代目中村歌右衛門の淀君」と、すべて役者絵である。役者絵の版画家として人気があったらしい。

実は、この名取春仙は啄木の『一握の砂』の装幀を担当したことでも知られている。


『一握の砂』(復刻版).JPG

これが『一握の砂』(復刻版)の表紙である。

名取は当時、東京朝日新聞社に勤めていたので啄木の同僚ということになる。その縁で、装幀を任されたようだ。

名取春仙(1886−1960)

偶然であるが、二人は同じ年の生まれであった。

啄木が亡くなってから48年後、名取は74歳で亡くなる。娘を肺炎で亡くしたあと、墓の前で夫婦揃って服毒自殺を遂げたとのこと。何とも凄絶な最期であった。

posted by 松村正直 at 22:36| Comment(0) | 石川啄木 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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