5月6日(水・祝)に開催される「啄木祭」で講演をします。
演題は「言論統制と啄木」。
啄木は1910(明治43)年に起きた大逆事件に深い関心を持ち、「所謂今度の事」などの鋭い評論を書いているが、生前に発表されることはなかった。
また、〈時代閉塞の現状を奈何(いか)にせむ秋に入りてことに斯く思ふかな〉〈地図の上朝鮮国にくろぐろと墨をぬりつゝ秋風を聴く〉など政治に深く関わる歌は、歌集『一握の砂』に収められなかった。
その理由は次の日記の記述に明らかだろう。
思想上に於ては重大なる年なりき。予はこの年に於て予の性格、趣味、傾向を統一すべき一鎖鑰(松村注:錠と鍵のこと)を発見したり。社会主義問題これなり。予は特にこの問題について思考し、読書し、談話すること多かりき。たゞ為政者の抑圧非理を極め、予をしてこれを発表する能はざらしめたり。
大逆事件以降、政府による検閲や発禁処分などの言論統制が強化され、自由にものを言うことのできない時代が訪れていたのであった。
そうした問題について、今あらためて考えてみたいと思います。

