2026年02月07日

門田隆将『狼の牙を折れ』


副題は「史上最大の爆破テロに挑んだ警視庁公安部」。

1974年8月30日の三菱重工爆破事件(死者8名)をはじめ12件の連続企業爆破を起こした東日本反日武装戦線の犯人を追った公安捜査官の姿を描いたノンフィクション。

1975年5月19日の大道寺将司ら主要メンバー7名の一斉逮捕(斎藤和は自殺)までの捜査の状況が細かく記されているほか、その後の超法規的措置による釈放(佐々木則夫、大道寺あや子、浴田由紀子)や現在の状況についても言及がある。

「尾行」という言葉は、刑事部独特の言葉である。公安部では、尾行とは呼ばない。「行確(こうかく)」だ。これは、「行動確認」を略したもので、公安部の前身である思想警察の特高(特別高等警察)時代からの名残りである。
基調とは、捜査官が最初におこなう「基礎調査」のことだ。まだ犯人の目星がどうこうする段階ではない「基礎的な調査」のである。まずは、住民登録どおりに、そこに目的の人物が居住しているかどうか。それを確かめるのも基調のひとつだ。

この本を読むと公安部は1974年末には東アジア反日武装戦争と思想的に近い旧東京行動戦線の筋から佐々木則夫と斎藤和をマークして、その後、基調や行確を通じて他のメンバーを突き止めていったことがわかる。

メンバーの住むアパートの近くに捜査官が部屋を借りて行動確認をするだけでなく、部屋から出たごみ袋のチェックも行っている。こうしてメンバーは24時間監視のもとで泳がされ、組織の全貌が明らかになった段階で一斉逮捕となったのであった。

東アジア反日武装戦線も尾行対策や証拠隠滅などを念入りに行なっていたのだが、公安部の執念と組織力がそれを上回っていたと言っていいだろう。

2024年8月11日、小学館文庫、860円。

posted by 松村正直 at 13:47| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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