読書というのは流れが大事だと思っている。この本について言えば、
・大木毅『独ソ戦』
https://matsutanka.seesaa.net/article/482885876.html
・スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』
https://matsutanka.seesaa.net/article/518043925.html
を読んで、ここにたどり着いた。ふだん小説はあまり読まないのだけれど、深い読後感の残る一冊だった。
始まりは「進撃の巨人」や「鬼滅の刃」を思わせるもので、エンターテインメントとしても優れている。そして、もちろん独ソ戦における女性狙撃兵の戦いが克明に描かれる重さもある。
ドイツ兵のことはいついかなるときも「フリッツ」と呼ぶこと。
「イワン(ロシア兵を意味するドイツ側俗語)どもは人間ではないのです」
相手側の兵のことは、それぞれ「フリッツ」「イワン」と呼ぶ。個別の顔や名前を持たない匿名の存在に貶めることで、初めて平気で殺すことができるようになるのだ。
そんなディテールの描写に、ひしひしと怖さを感じる。
2024年12月15日発行、2025年8月15日第10刷。
ハヤカワ文庫、1100円。

