2018年に始まった「サンデー毎日」の連載コラム「校閲至極」を書籍化したもの。校閲の現場で体験したこと、感じたことなど74篇が収められている。
「吹奏学部」はワープロが普及する前、手書き原稿の時代から指摘され続けてきた息の長い誤りで、2020年も大量発生し根絶されることはありませんでした。
「ばえる」は2022年1月に発行された『三省堂国語辞典』の第8版で見出し語に追加されるなど、大出世を遂げた。江戸時代の国学者・本居宣長は「古代日本語には濁点で始まる言葉がほとんどない」という発見をしており、単独で「ばえる」と読むのは不自然だと言う声が根強かった。
一般に固有名詞は東日本では連濁、西日本では連濁回避の傾向があると聞く。兵庫出身の柳田(やまぎた)国男、和歌山出身の南方(みなかた)熊楠という民俗学者2人の例もある。
平成初期まで新聞製作の現場では「?」を「みみ」と当たり前に読んでいました。「詠み合わせ」、つまり手書き原稿と、パンチャーが入力したものの照合のために2人1組で声を出して照合していたとき、記号には特殊な読み方が用いられていました。
校閲というのは地味で大変な仕事だけれど、言葉に関する知識が詰まっていて楽しそうだなと思う。
2023年8月30日、毎日新聞出版、1300円。


