聖地巡礼シリーズの1冊。副題は「熊野紀行」。
これでシリーズ4作すべて読んだことになる。
・『聖地巡礼 ビギニング』
https://matsutanka.seesaa.net/article/399764437.html
・『聖地巡礼 リターンズ』
https://matsutanka.seesaa.net/article/445838563.html
・『聖地巡礼 コンティニュード』
https://matsutanka.seesaa.net/article/516566653.html
釈 日本の宗教性を考える場合、「場」の神道と「語り」の仏教との組み合わせという側面から見ると、なかなか面白いのではないでしょうか。
辻本(雄一) 熊野には牟婁という地域があるんですが、現在は、東牟婁郡と西牟婁郡が和歌山県で、南牟婁郡と北牟婁郡が三重県なんです。もともと熊野はひとつの大きなエリアだったわけですが、明治になって熊野川に県境ができて分離されてしまい、その不便を我々はいまでも被っているんです。
森本(祐司) 地域的には新宮と本宮の関係ってあんまりよくないんです。商業都市として発展してきた新宮の背景には、熊野川沿いの山林が生み出す富があったんです。ですから、本宮の人たちにとっては、搾取というと語弊があるんですけど、新宮に富を吸い取られているという感覚があるように思います。
内田 「一義的なもの」よりも「両義的なもの」のほうが、「義とはなにか」という問いを深めてくれる。だから、「クロスボーダーなもの」というのは、ボーダーを否定するものじゃなくて、「ボーダーとはなにか」、それはどういう基準で設定されていて、そもそも何を生み出すもののためか、という問いを深めてくれるものなんです。
熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)や花の窟神社、神倉神社、補陀落山寺には行ったことがあるので、読んでいて楽しかった。
さすがに熊野は奥深い。
2015年3月13日、東京書籍、1500円。


