2025年09月09日

『戦争は女の顔をしていない』のつづきのつづき

繰り返しになるけれど、この本は「過去のもの」ではない。

本に出てくる地名は、チェリャビンスク(ロシア)、クラスノダール(ロシア)、クールスク(ロシア)、ミンスク(ベラルーシ)、ジトーミル(ウクライナ)、キエフ(ウクライナ)、クリミヤ(ウクライナ、ロシア実効支配中)など、当時のソ連西部の諸都市である。

現在、ウクライナとロシアは戦争中で、ベラルーシはロシアと同盟関係にある。ウクライナとロシアの戦争を考える際にも、独ソ戦の歴史は踏まえておく必要があるだろう。

また、訳者のあとがきには、次のような記載もある。

「アレクシエーヴィチの真実など我々には不用だ。外国で著書を出版し祖国を中傷して金をもらっているのだ」と彼女を外国に身売りをした裏切り者と非難するルカシェンコ大統領が統治するベラルーシでは、ここ十年以上彼女の本は出版されていない。

2001年以降、弾圧を避けて西欧で暮らしていたアレクシエーヴィチは2011年にベラルーシに帰国したものの、2020年に病気の治療のためドイツへ出国し現在も事実上の亡命生活を余儀なくされている。

この本に出てくる人々にとっても、この本を書いた著者にとっても、事態はまだ現在進行形で続いているのである。

〈スヴェト〉は光だ光を捕えろとスヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ 光へ
/貝澤駿一『ダニー・ボーイ』(2025)

posted by 松村正直 at 07:58| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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