8月15日の「終戦の日」を過ぎても、ソ連との国境では戦争が続いていた。
こういう言い回しはしばしば新聞やテレビで見かけるけれど、よく考えると変だよなと思う。「戦争が続いていた」なら、そもそも「終戦」ではないのでは?
同じ記事のなかには「日本は9月2日に降伏文書に調印」ともある。それなら、8月15日を「終戦の日」としていることの方が間違っているのではないか、という問題提起があってもいいだろう。
実際に、天皇の玉音放送をもって「終戦の日」としたために、それ以降に起きた樺太や千島列島での戦いは切り捨てられ忘却されてしまっている。戦いが終わっていない「終戦の日」って、どう考えても矛盾しているのに。
この問題については、以前『短歌は記憶する』(2010年)に収めた「八月十五日の謎」にも書いた。「終戦の日」をいつに設定するかで、アジア・太平洋戦争に対する見方自体が変ってくる。

