歴史文化ライブラリー534。
かつて日本海軍の鎮守府が置かれた4つの軍港都市の成り立ちと発展、敗戦から戦後復興の歩みを描いた本。
先月、横須賀を訪れたこともあって、このところ海軍のことが気になっている。
基本的に既存市街地を指向して駐屯地が決められた陸軍に対して、海軍はまったく異なる方針をとった。国内で言えば、海軍は横須賀・呉・佐世保・舞鶴の四か所に軍港を設置し、青森県の大湊や長崎県対馬の竹敷には軍港よりも下位にあたる要港を設置した。いずれも江戸時代までは都市が形成されていなかった場所である。
戦後に新しい都市を「建設」しようとした広島と、戦前の要素を「転換」しつつ都市作りをおこなおうとした呉。等しく「平和」な都市を目指すスローガンを掲げながらも、一方は戦前との断絶性を強調し、他方は戦前との連続性を保ちつつ、それぞれの歩みを進め始めるのである。
海上自衛隊は戦前の海軍鎮守府(および要港部)の施設を継承する形で活動を開始し、現在に至る。海軍と海上自衛隊の関係もまた、断絶しているが連続しているのであり、結局のところ、軍港都市の戦前・戦後の都市史もまた、断絶するが連続するものとして描くことができる。
4つの都市のうち佐世保だけはまだ行ったことがない(ハウステンボスは行ったけど)。機会を見つけて訪れることにしよう。
2021年10月1日、吉川弘文館、1900円。


