副題は「軍靴と娼婦の記憶を旅する」。
全国各地の軍隊の町とそこに付随する色街の跡を旅して回ったノンフィクション。先日、横須賀を訪れた際に本屋で手に取って、第一章が「横須賀」だったので迷わず買った。そういう偶然は強く信じることにしている。
軍都を起源とする色街は、日本中を見渡してみれば、各地にある。北海道の旭川、千歳、青森県の大湊や三沢、山形県の神町、茨城県の土浦、神奈川県の横須賀、兵庫県の丹波篠山、京都府の舞鶴、大阪府の信太山、山口県の岩国、広島県の呉、鳥取県の米子、福岡県の芦屋、久留米、長崎県の佐世保、鹿児島県の鹿屋。
天下泰平の江戸時代は、伊勢参りをはじめ、庶民の間に寺社仏閣へ詣でることが流行した。(…)江戸時代の寺社仏閣への参拝は、寺社周辺や街道筋にあった飯盛旅籠などで遊ぶことが、言ってみれば大きな目的だった。
高倉健の服装は、アメリカの匂いを感じさせる服装も多かったように思う。映画でも米軍がベトナム戦争などで着用していたM65フィールドジャケットを羽織っていた。北九州におけるアメリカ文化の影響はここ芦屋基地が原点だった。
明治時代に日本政府が徴兵制度を導入するに当たって気にかけたのは、国民病とも呼ばれた梅毒への対策だった。軍隊に性病が蔓延すれば、罹患者の分だけ戦闘力が低下することになる。
軍隊と性、あるいは性暴力はいつの時代も密接に関わっている。それは過去の話ではなく現在もそうであり、また将来も続く問題なのだと思う。
2025年6月25日、集英社文庫、840円。


