副題は「1945年の真実」。
米軍ハウスが建てられた「府立植物園」やゴルフ場が造られた「神山」など、占領下の京都で起きていた出来事を記した本。
一九四六(昭和二十一)年、(…)堀川通から、米軍の小型飛行機が飛び立った。京都市内最大の幹線道路は、占領軍の滑走路となっていたのだ。
平安神宮を、平安時代から続く神社だと勘違いする人は少なくない。しかし、実は極めて歴史が浅く、明治維新の後に造られている。その新しさこそが、米軍との親和性を高めたともいえるだろう。
樹木はチェーンソーでなぎ倒され、薬草園やロックガーデンはブルドーザーでつぶされ、貴重な山野草も埋め立てられた。池の水が抜かれ、鯉も水辺の植物も全滅。
知らなかった話も多く興味深く読んだのだが、一つのトピックに関して10ページ程度の記述しかないので掘り下げが足りない印象を受ける。また、最後の方は日本文化礼賛の匂いが強くて、今ひとつ共感できなかった。
2024年12月20日、新潮新書、880円。