2025年06月04日

万城目学『バベル九朔』


2016年にKADOKAWAから刊行された単行本の文庫化。

先日、万城目学・門井慶喜『ぼくらの近代建築デラックス!』を読んだ流れで、そう言えば、このところ万城目学の小説を読んでいないなあと思って積読の山から掘り出してきた。

万城目学の小説はわりと読んでいる方だと思う。それでも全部は読めていない。

『鹿男あをによし』
https://matsutanka.seesaa.net/article/387138304.html
『プリンセス・トヨトミ』
https://matsutanka.seesaa.net/article/387138476.html
『偉大なる、しゅららぼん』
https://matsutanka.seesaa.net/article/387138567.html
『とっぴんぱらりの風太郎』
https://matsutanka.seesaa.net/article/440568523.html
『悟浄出立』
https://matsutanka.seesaa.net/article/473577644.html

5階建ての雑居ビルの管理人をしている「俺」の冒険譚。地下1階は「千加子ママ」、1階は「レコ一」、2階は「双見くん」、3階は「蜜村さん」、4階は「四条さん」という設定に、「めぞん一刻」を思い出して懐かしくなった。

オーナー用の住居フロアを最上階に備えた雑居ビルは、驚くほどそこかしこに建っている。俺の感触では四階から六階建てあたりの高さのビルに多い。十階建てくらいになると、ほとんどお目にかからない。見分け方は、一階から「洋」のテナントが続いているのに、突如最上階のガラス窓に「和」の障子が現れたり、同じく最上階のベランダに必要以上の密度で観葉植物が置かれ、特に多肉植物が多く見られること――、これらがオーナーの生活の存在をひそかに伝えるサインだ。

何だかんだ言って、やっぱり万城目学の本はおもしろい。また、しばらく読もうかな。

2019年2月25日、角川文庫、680円。

posted by 松村正直 at 22:58| Comment(2) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「めぞん一刻」に反応してしまいました。
この春、大泉学園にある東映アニメーションミュージアムに行ったあと、同じ西武池袋線の少し所沢寄りの東久留米のホテルに宿泊しました。駅周辺は「めぞん一刻」のモデルだと聞いていたので、付近を歩き回ってみました。
連載から既に40年ぐらい経過しており、当時とはずいぶん変わっているのだろうなと思いつつ、それでも駅北口の周辺には、昭和の商店街の雰囲気が残っていました。
五代くんが通っていためざめ湯≠フモデルだという銭湯に行って(こちらもキレイなビルになっていた)、ホテルに戻りました。
万城目学さんには全く関係のない、「そこかよ!!」みたいなコメントですみません・・・
Posted by 小竹 哲 at 2025年06月05日 07:29
小竹さん、コメントありがとうございます。
「めぞん一刻」の舞台は東久留米だったのですか。まったく知りませんでした。ネットで見ると、2009年に駅舎が解体される際には「めぞん一刻」の舞台をめぐるスタンプラリーが行われたりして賑わったようですね。なるほど。

Posted by 松村正直 at 2025年06月06日 06:09
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