2025年05月05日

藤谷治編『文学傑作選 鎌倉遊覧』


鎌倉を舞台にした文学作品のアンソロジー。

3年前に米川稔の墓を探して鎌倉を訪れて以来、何となく鎌倉のことが気になっている。

編者の作品の選びや並べ方のセンスが素晴らしく、収録作のどれもが胸に沁みる。特に、嘉村礒多「滑川畔にて」、小津安二郎「晩春」、黒川創「橋」が印象に残った。

元弘三(一三三三)年五月二十二日以後、鎌倉は「歴史」から見捨てられ、江戸中期あたりから細々と、明治の鉄道開通からは賑やかに、観光地、避暑地として注目を浴びた。古廟名刹の立ち並ぶ「歴史」を感じさせる場所として、何のことだか知らないが「和」の趣きを味わえる土地として、つまりは芝居の背景幕のような場所として、鎌倉は人気を得た。

鎌倉に住んでみたら楽しいだろうな。

2024年11月10日、ちくま文庫、1084円。

posted by 松村正直 at 23:17| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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