副題は「内子町・岡田文淑の町並み、村並み保存」。
愛媛県内子町役場職員として長年にわたって町並み保存、村並み保存に取り組んできた岡田文淑氏への聞き書き。
伝統的建造物群保存地区に指定されている内子の木蠟資料館上芳我邸や内子座は以前訪れたことがあるので、興味を惹かれて読んだ。
あの頃は経済成長時代で、どんどん若者は都会に出て行き、地方は寂れるばかり、人がいなくなったところにダムだの、空港だの、原発だのが押し付けられてきた。愛媛には伊方原発がある。
大事なことは、本当の住民参加ということです。いままでの行政のやり方は、町会長とか公民館長とかに肩書きの「はく」をつけてやって、ちやほやしながらこき使う。彼らだけを住民とか市民と呼び、それ以外の活力やアイディアを持つ人たちを敵視して、町会経由で意見を言わないと聞かないという疑似住民参加のシステムを作り上げた。
僕も昭和五〇年代に景観意識調査というのをやった。五〇枚のスライドを見せて、美しいと思ったらボタンを押してもらうというのだったわ。そうするとコンクリート景観を見せると農家の人は「美しい」と思う。すっきりして近代化して。ヨモギが生えるあぜ道を見せると「美しくない」と思う。その辺を説得するのは難しいですよ。
何だかとても懐かしい。また内子に行ってみたいな。
ネットに出ている兄の日記によれば、内子に行ったのは2001年11月9日のことである。もう24年も前の話なのか……。
https://marrmur.com/2001/11/30/2796/
2014年5月23日、亜紀書房、1800円。