2025年04月09日

啄木の「半日」評

啄木が「スバル」で鷗外の「半日」を読んだときの感想が1909(明治42)年の日記に残されている。一昨日「半日」について書いたときに記し忘れたので書いておく。

三月八日 月曜
 スバル三号とゞいた。森先生の(半日)を読む。予は思つた、大した作では無論ないかも知れぬ。然し恐ろしい作だ――先生がその家庭を、その奥さんをかう書かれたその態度!

啄木は作品の出来よりも、家庭生活を克明に描いた鷗外の態度に感銘を受けている。それは、どこまで赤裸々に描けるかという問題が啄木にとっての関心事であったからだ。

この約1か月後の4月7日から、啄木の「ローマ字日記」が始まる。啄木のもっとも赤裸々な作品と言っていいだろう。

posted by 松村正直 at 14:20| Comment(0) | 石川啄木 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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