京都から近鉄で松阪へ出て、そこからJR紀勢本線に乗る。
熊野市駅で降りて海岸沿いを歩く。
熊野灘。
このあたりは「七里御浜」と呼ばれている。三重県熊野市から紀宝町に至る約22キロの砂礫海岸だ。
獅子岩。
高さ約25メートル。岩を何かの形に見立てるというのは全国各地にあるけれど、これはかなり獅子っぽい。
花窟(はなのいわや)神社へ。
社殿はなくて、高さ約45メートルの巨岩がご神体になっている。
圧倒的な存在感だ。
再び七里御浜。
ひたすら海。波音のほか何もない。人もいない。
その後、有井駅まで歩いて列車に乗り新宮へ。新宮まではJR東海のテリトリーであった。
亡父が持っていた『三重のうた』というLPレコードに収録されていた「木本節」の歌詞が子供心に好きでした。何節か抜粋しますと、
主は鬼ヶ城 雄々しき姿/私しゃこがれて 散る女浪
七里御浜はかすみに暮れりゃ/沖に漁火 主恋し
徐福偲んで 書きたる文字の/岩に不老の 苔が蒸す
花の窟に 松吹く風は/神代ながらの 声がする
YouTubeで聴けますので、お聴きになってみてください。
「木本節」の歌詞は公募して作られたとのことで、名所が次々と出てきますね。今回訪ねた場所も多く、聴き入ってしまいました。
今回、新宮を訪れて知ったのは、三重県がけっこう南の方までのびていること。かつての「紀伊」の一部は三重県になっているのですね。漠然と尾鷲のあたりまで和歌山県のように思ってました…。
文化もそれぞれ微妙に違って、言葉も三重県は基本的には関西アクセントですが、尾鷲・熊野のあたりはどうも東のアクセントのようです。
ついでながら私が子供の頃、志摩のご老人同士の会話は、同じ三重県人でも聴き取れませんでした。
三重県の地図を見ると確かに「メ」や幽霊のような形をしていますね。伊勢、伊賀、志摩、紀伊の4つの国を含んでいるとは。伊勢と志摩が三重県なのはすぐわかるのですが、伊賀は「三重県かな?滋賀県かな?」となってしまうし、紀伊は100%和歌山県だと思ってました。