2024年12月02日

山田良介編著『ダークツーリズムを超えて』


国境地域研究センターの刊行する「ブックレット・ボーダーズ」の11冊目。副題は「北海道と九州を結ぶ」。

過去の歴史の負の部分を見つめる中からどのような明るい未来を見出していくのか、という観点で北海道と九州各地のさまざまな事例を取り上げている。

九州と北海道を結ぶもの。端的に考えれば、それは近代化を支える労働や資源の「供給源」となったことだろう。
坑内馬は島原や対馬、熊本などから買い集められた。坑内は高さが十分ではなかったので、使役できるのは肩までが一三〇センチぐらいの体高の低い馬でなければならなかった。(…)ひとたび坑内に下がった馬は生きては地上へ戻ることはなかった。
一九四四(昭和一九)年八月、日本政府は戦況悪化により「内地」への石炭輸送が困難となったため、樺太や釧路の炭鉱での採炭を中止し、労働者を北部九州などの「内地」の炭鉱へ移動させた。
夕張市はかつて石炭産業で栄えたまちである。(…)石炭産業によって一九六〇年には人口が一一万人を越えていたが、それ以来六〇年以上にわたって人口は減少し続け、二〇二四年現在では六千人ほどの人々が暮らすまちとなっている。

このブックレットのシリーズは、どれも読み応えがある。
http://borderlands.or.jp/seika/seika.html

2024年11月10日、国境地域研究センター、1200円。

posted by 松村正直 at 02:50| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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