監修:高橋敏夫、田村景子。
太宰治、夏目漱石、志賀直哉、谷崎潤一郎、野上弥生子など36名の文学者を取り上げて、彼らが住んだ家のうち現存するものについて紹介している。
写真や間取り図もあって、文学者の見た風景や暮らしの様子が浮かび上がってくるようだ。
漱石は終生借家暮らしであった。生後間もなく里子に出され、二歳の時には他家の養子とされた生い立ちを想起するまでもなく、松山で二軒、熊本で七軒、ロンドンで五軒、帰国後に三軒の下宿・借家を転々とする(…)
父の井上隼雄は陸軍の軍医で、各地を転任。靖は、父が当時勤務していた旭川第七師団の官舎で生まれた。
苦悩を吐露するかのように作品を書き続けた火野葦平は、一九六〇(昭三五)年、河伯洞の薄暗い書斎で自殺した。
本書に載っている家のうち、私が訪れたことのあるのは、
漱石鷗外旧居(愛知県明治村)、夏目漱石内坪井旧居(熊本県)、啄木齋藤家(岩手県)、啄木新婚の家(岩手県)、本郷喜之床(愛知県明治村)、旧有島家住宅(北海道)、北原白秋生家(福岡県)、小泉八雲旧居(島根県)、幸田露伴蝸牛庵(愛知県明治村)、斎藤茂吉箱根山荘の勉強部屋(山形県)、志賀直哉旧居(奈良県)、中村憲吉生家(広島県)、林芙美子旧居(東京都)、子規庵(東京都)、鷗外生家(島根県)
の15か所。まだまだ行ってみたいところがあるなあ。
2022年7月19日、エクスナレッジ、1680円。