塩見恵介さんを中心に京都で行われている「まるたけ句会」のメンバーによる俳句誌。
柳へも触らせにゆくランドセル/塩見恵介
九割の毛虫がいいね!した葉っぱ
ひとりでも鼻で遊べる象の梅雨
近道は寄り道に似て牛膝
まじめな包丁ふつつかな人参
蒼穹の形なぞって鷹渡る/平田和代
しゃぼん玉あちらのお客様からです/斎藤よひら
十二月八日ボタンを押せばお茶/赤川京子
一つずつ留めるボタンや冬に入る/板垣華蓮
風薫る天津飯が似合う人/川越来留美
節くれの指が舞ひたり祭笛/高橋康子
ジーパンの舞妓の昼や栗の花/田邉好美
手を挙げたまま溶けていく雪だるま/松尾唯花
黒田公平の評論「高安国世から学ぶもの―甲南時代とその生涯―」は12ページにわたる力作だ。甲南高等学校時代の校友誌『甲南』に載った高安作品を詳しく紹介している。
今日、高安の短歌は、『高安国世全歌集』によっておおよそを知ることが出来る。しかし、雑誌『甲南』に発表された作品は、収録されていない。(…)その全てを知るには、やはり雑誌『甲南』を手に取るしかない。しかも、それら高安が作品を載せた各号を読むには、現在、甲南大学の学園史資料室に保存されているものを閲覧する必要がある。
これはその通りで、私も以前この学園史資料室にお願いして高安作品の掲載部分のコピーを送っていただいた。古本屋などにもほとんど出ておらず、第10号と第14号を入手できただけである。
このように、探求し続けること、生活を直視する誠実さ、「真実」を求める浪漫性、教養に裏打ちされた表現、他分野との融合などは、短歌に留まらず私たちが高安から学ぶべき点であろう。
こうした高安国世論が読めるのは何とも嬉しい。今後さらに『甲南』掲載の初期作品に関する研究や議論が深まっていきますように!