主要登場人物の「ソフィア」のモデルの一人であるロシアの革命家ソフィア・ペロフスカヤ(1853ー1881)が、実は啄木と関わりがあるのだ。
彼は『悲しき玩具』という歌集の中で、「五歳になる子に、何故ともなく、ソニヤといふ露西亜名をつけて、呼びてはよろこぶ。」という歌を詠んでいますが、ロシア人研究者の報告の中に、このソニヤというのがアレクサンドルU世暗殺を指揮したソフィア・ペロフスカヤのことだ(ソーニャはソフィアの愛称)と書いているものがあるということです。確かめてみると日本の啄木研究者も同じように考えているらしいということがわかりました。
これは、まさにその通り。
岩城之徳は『石川啄木伝』に「女性革命家ソフィア・ペロフスカヤ」という一章を設け、この問題を丁寧に論証している。
現実の歴史とフィクションが不思議な符合を見せているのが面白い。