前著『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』に続く第2弾。
https://matsutanka.seesaa.net/article/475974993.html
本文558ページ、約3センチという分厚さ。
人気漫画「ゴールデンカムイ」から衣食住、道具、狩猟、採集などに関わる絵を引用しながら、アイヌ文化について解説している。
さらに、樺太アイヌやニヴフ、ウイルタなどの北方少数民族についても詳しい記述があり、『樺太を訪れた歌人たち』を書いた時のことを懐かしく思い出した。
和人もかつて入れ墨をしていたのであり、日本列島を含んで、太平洋の人々は北から南まで入れ墨文化を持っていたのである。だから「なぜアイヌは入れ墨をしていたのか」より「なぜ和人の先祖は入れ墨をするのをやめてしまったのか」という理由を追求した方がよさそうです。
大熊座はローマ時代から知られている星座ですが、アイヌもそれを同じように熊として見ていたというのは、何か人間の感性の普遍的なものを感じさせます。
アイヌ語では、イソカムイ(クマの神)のように、さまざまな動植物の名にカムイを付けて呼びますが、単にカムイとだけ言った場合、樺太の西海岸ではトドを、東海岸ではアザラシを指します。
著者は「アイヌ語監修」という肩書から想像される以上に、「ゴールデンカムイ」に深く関わっている。アイヌの登場人物の名前を考えたり、アニメ化の際にはアイヌ語の発音やアクセントの指導も行う。
漫画家と学者・専門家の見事な協力体制が、「ゴールデンカムイ」という傑作を生み出したのであった。
2024年2月21日、集英社新書、1500円。