近年の短歌雑誌は残念なことに、自由なテーマの評論を書く場がどんどん減っている。その中にあって「短歌往来」には「評論シリーズ 21世紀の視座」というコーナーがあり、7ページという分量の評論が毎号のように載っている。これは特筆に値することだと思う。
今月号掲載の白川ユウコの評論「「少女の友」というSNS」も面白かった。
1908年創刊の雑誌「少女の友」(実業之日本社)の昭和10年代の投稿欄の短歌を取り上げ、投稿者同士の交流が盛んだったことや戦前にも口語を用いた印象的な作品があることを指摘している。また、三國玲子や田辺聖子の投稿歌も紹介されていて興味深い。
以前、評伝『高安国世の手紙』を書いた時に、同じ実業之日本社の「日本少年」の投稿欄を調べたことがあった。高安も熱心な投稿者だったのである。そして、高安もまた投稿仲間と親しい関係を持つようになるのであった。
2024年09月27日
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