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今日、江戸後期の国学者石原正明の『年々随筆』巻二 にこれとほとんど同じ話が載っていることを知った。
すべて世の事と詞と打ちあいたる物にしあれば、今時の雑事を、古言にいいとらん事、難きわざなり。されば俗語も入りまじりて、頼政の卿の射たりけむ怪鳥のごとく、かしらは猿、尾はくちなはにて、みぐるしきわざならずや。
「頼政の卿の射たりけむ怪鳥」=ぬえ、である。
古い言葉と新しい言葉の混在について、文明が「悪くいえばぬえ的、よくいえば両者の長を取った新しい一つの領域というもの」と肯定的に捉えているのに対して、石原は「みぐるしきわざならずや」と否定的だ。
そうした違いはあるけれど、ぬえに喩える点では約150年の時を隔てて共通しているのが面白い。