2024年09月14日

「塔」2024年9月号

本文明(熊本日日新聞文化部、編集専門委員)「新たな人生への出発の力」が良かった。

河野裕子が学生時代に所属していた熊本の歌誌「人間的」(人間的短歌会)に掲載された初期作品85首について書いている。この作品の存在は知っていたが、「人間的」の現物は見たことがなかったので、甲斐雍人や会員の河野作品に対する評などを興味深く読んだ。

致死量をあほりて失敗せしといふ話聞きつつ林檎むきおり
            (昭和41年6月号)
白きコップ吾が残し来し病院の鉄のベッドに誰が眠りゐむ
            (昭和41年8月号)
落日にあかく染るものみなかなし野に落つる鳩も汚れし山羊も
            (昭和42年4月号)
はかられつつ試されてゐる愛ならむか楕円の形に月のぼり来ぬ
            (昭和42年12月号)

河野裕子の初期作品については、「塔」2011年8月号(河野裕子追悼号)にまとめたことがある。それ以降に新たに見つけた歌もあるのだが、今のところ発表する機会がない。

posted by 松村正直 at 23:32| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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