2024年09月06日

飴屋法水『キミは珍獣(ケダモノ)と暮らせるか?』


1997年に筑摩書房から出た単行本を改題、文庫化したもの。

当時、動物商として珍獣ショップ「動物堂」を開いていた著者が、犬猫以外の動物の飼い方について記した本。文体は軽いが内容はいたって真面目である。

登場するのは、キノボリヤマアラシ、トビウサギ、ワオキツネザル、ショウガラゴ、スローロリス、スカンク、ビントロング、ピグミーオポッサム、シマテンレック、ストローオオコウモリなどなど。

もともと、動物というものには値段はない。動物の値段というのは実は全て人件費だと思ってほしい。
人間は、たとえ知らない初めて見る動物でも、それが何の仲間かさえ分かれば意外と驚かないものである。「あらー、珍しいおサルさんねー」それで終わりである。
夜行性の動物、中でも目や耳の大きな動物は、小さな音、かすかな光にも当然敏感なわけだ。まぶしい光は人間の百倍まぶしく、大きな音は人間の百倍うるさいと思っといた方がいい。
動物は全て、ただ生きて、ただ死んでいく、決して肉体を超えようとなどしない。むしろ、肉体に支配され続ける。それが生きるということだ。

動物について考えることは、人間について考えることにもつながる。生きることや他者と関わることについて、思索を深めてくれる内容であった。

2007年10月10日、文春文庫PLUS、524円。

posted by 松村正直 at 08:01| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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