副題は「新訳中国詩選」。
1925(大正14)年にローマ字表記の『UGUISU NO TAMAGO』(アルス)として出版され、1956(昭和31)年に春秋社より新版が出た本を1985年に筑摩書房が新たに刊行したもの。
「晋の陶潜以後、唐宋元明清に及ぶ」漢詩167篇を取り上げて、日本語訳と短い解説を付けている。
最近、「啄木ごっこ」の連載で土岐善麿(哀果)について書いたので、その流れで積読の山から掘り出した。
「春眠不覚暁」(春あけぼのの うすねむり)、「生涯在鏡中」(鏡の中の こしかたよ)など、味わい深い文言が数多く出てくる。高校時代の漢文の授業を思い出したりした。日本語訳が主に五音・七音になっているのは、作者が歌人だからでもあるだろう。
解説によれば、日本では古来、漢文の訓読が行われてきたので、漢詩の日本語訳が本格的に始まったのは明治以降になるらしい。
これはあるいは森鷗外らによる『於母影(おもかげ)』や、上田敏『海潮音』、あるいは堀口大学の『月下の一群』など、ヨーロッパ詩のすぐれた訳業から逆に示唆と刺戟とを受けた結果ではないかと思われる。
なるほど、漢文訓読はすぐれた読解法であると同時に、純粋な翻訳を妨げる要因にもなってきたわけか。おもしろい問題だと思う。
1985年3月29日、筑摩叢書、1500円。
私の読んだ『鶯の卵』には「江雪」は載ってないですね。柳宗元の別の詩が載ってます。注を読むと「江雪」は土岐善麿が1955年に刊行した『新訳杜甫詩選』に日本語訳が載っているようです。
お送りいただいた写真の舟に乗っている人物は、ひまわりの種でしょうか?
舟に乗っているのはご明察通りひまわりの種、舟はマッチ棒、あと錆びついて見えにくいですが、釣り針はホッチキスの針です。要らんことをして遊んでばかりいました(汗…)。