新美南吉の名作「ごんぎつね」をめぐるミステリー。
ちょうど今年4月に発行した同人誌「パンの耳」第8号に、新美南吉や「ごんぎつね」に関する連作15首を載せたところだったので、興味深く読んだ。
「ごんぎつね」が小学校のほとんどの教科書に取り入れられ、国民的童話≠ノなったのは1980年代からだというから、角田さんは学校で習っていなかったのだろう。
かつて団地は近代的な造りで、家族にとって憧れの住まいだったらしい。しかし、高度成長やバブルの時期をへて、有馬一家が越してきた頃には、団地は時代から遅れた住居となっていた。
半田はお酢で知られていましたが、今は作者の新美南吉の故郷ということで、ごんぎつねの町になってますね。
古本とか前の時代の雑誌とかは、過去の時代に立ち戻れるタイムマシンとも言えるでしょうな。古本屋は昔に戻れる場所なんだね
新美南吉は宮沢賢治と並んで詳細な研究の進んでいる児童文学者らしい。それだけ人を惹きつける魅力があるのだろう。
2024年5月1日、新潮文庫、710円。