2024年06月26日
足立巻一『やちまた』(上)(下)
1968年から1973年まで雑誌「天秤」に連載され、1974年に河出書房新社から単行本が刊行された本の文庫版。今から50年前の本ということになる。
この本を最初に知ったのはもう40年近く昔のこと。高校の先生にすすめられたのである。その時は「やちまた」という不思議なタイトルが印象に残った。「やまたのおろち」や「ねこまた」のような、妖怪的なものを思い浮かべたのだ。
「やちまた」が漢字で書くと「八衢」で「道がいくつにも分かれた所」を指す言葉だというのはだいぶ後になって知った。
その後、1995年に朝日文庫から『やちまた』が出た時に書店で見かけた。「あっ、先生がすすめてた本だ!」と思ったものの、手に取ることはなかった。2015年に中公文庫から再び『やちまた』が出て初めて購入したが、長らく積んだままになっていた。
今回、読み始めたきっかけは、一昨年松阪を訪れたことである。
https://matsutanka.seesaa.net/article/495260781.html
本居宣長記念館でたまたま「宣長と春庭」という企画展をやっていた。その春庭という人物が、まさに『やちまた』の主人公なのだ。
その後、国学についても少し関心が向いてきて、ようやく上下巻ともに500ページを超える厚さの『やちまた』を読んだ次第。本を読むにもちょうど良いタイミングというのがあって、すこぶる面白かった。
もし高校生の時に読んでいても、きっと退屈でしかなかっただろう。
(上)2015年3月25日、中公文庫、1200円。
(下)2015年3月25日、中公文庫、1200円。
この記事へのコメント
コメントを書く