監督・脚本:ジョナサン・グレイザー
出演:クリスティアン・フリーデル、サンドラ・ヒュラーほか
アウシュヴィッツ強制収容所に隣接する敷地に暮らす所長のルドルフ・ヘス(ナチスの副総統のルドルフ・ヘスとは別人)と妻や家族たちの生活を描いた作品。
小池光『廃駅』(1982年)に収められた連作「生存について」と重なる。
かの年のアウシュビッツにも春くれば明朗にのぼる雲雀もありけむ
夜の淵のわが底知れぬ彼方にてナチ党員にして良き父がゐる
ガス室の仕事の合ひ間公園にスワンを見せに行つたであらう
クレゾールで洗ひたる手に誕生日の花束を抱へ帰つたであらう
棒切れにすぎないものを処理しつつ妻の不機嫌を恐れたであらう
ルドルフ・ヘスの残した告白録『アウシュヴィッツ』(講談社学術文庫)も読んでみたい。
MOVIX京都、105分。