以前、「角川短歌」1996年6月号に河野裕子さんが書いた文章をブログで引いたことがある。
https://matsutanka.seesaa.net/article/387139218.html
短歌好きの母は、折りにつけて、娘時代に覚えた歌を口遊んでいた。聞くともなしに聞いていて、すっかり覚えてしまった歌が何首もある。
ゆふぐれになりにけらしな文机(ふづくえ)の鉢のサフラン花閉ぢにけり
という歌は、作者名もわからないまま母から私に伝えられた歌であり、早春の光りが射す頃になると、決まって思い出す歌である。
11年前のブログの最後には「一体だれの歌なのだろう」と書いたのだが、今ならこうしたことも調べればわかってしまう。
作者は村山壽春(むらやまとしはる)という方である。