副題は「パレスチナを知るための緊急講義」。
2023年10月20日に京都大学で行われた「緊急学習会 ガザとは何か」と10月23日に早稲田大学で行われた「ガザを知る緊急セミナー 人間の恥としての」における講演をもとに編集、再構成したもの。
現在ガザで起きていることの背景や原因を明らかにするとともに、私たち一人一人が何をなすべきか問い掛けている。
パレスチナとイスラエルの間で起きていることは、「暴力の連鎖」でも「憎しみの連鎖」でもありません。これらの言葉を使うかどうかで、それが信頼できるメディアか、信頼できる人物かどうか、その試金石になります。
イスラエルは、パレスチナに対して行使するありとあらゆる暴力を、自分たちがユダヤ人であること、ホロコーストの犠牲者であることをもって正当化し、自分たちに対する批判の一切合切を「反ユダヤ主義」だと主張してきました。日本のマスメディアはあたかも、イスラエル=ユダヤ人であるかのように報道しています。
もちろん、今生きていくためにはそうした人道支援は不可欠です。でも、封鎖や占領という政治問題に取り組まずに、パレスチナ人が違法な占領や封鎖のもとでなんとか死なずに生きていけるように人道支援をするというのは、これは、封鎖や占領と共犯することです。だから、政治的な解決をしなければいけないんです。
イスラエルという国家やシオニズムの問題とユダヤ人に対する差別や迫害の問題を、まずは冷静に区別して考える必要があるのだろう。
その上で、昨年10月7日のハマスの攻撃を起点に考えるのではなく、2007年のイスラエルによるガザ封鎖、さらには1948年のイスラエル建国まで遡って、争いの原因や解決策を考える必要がある。
2023年12月31日、大和書房、1400円。