2024年02月20日

二村高史『ようこそシベリア鉄道へ』


副題は「ユーラシア大陸横断9000qの旅」。

2015年にウラジオストクからモスクワまでシベリア鉄道に乗った旅行記。途中、ハバロフスク、イルクーツク、ノヴォシビルスクで宿泊して、計12日間かけて9000キロあまりを乗り通している。

カラー写真が豊富で、現在のシベリア鉄道の様子がよくわかる。いくつかハプニングがあったものの、概ね快適で楽しい旅だったようだ。

今回の旅で私たちが出会ったすべての食堂車の係員、車掌のなかで、英語らしきものが通じたのはこのときが最初で最後だった。
ロシア国内では英語はあまり通じない。ホテルのフロントやツーリスト・インフォメーションくらいだと思っておいたほうがいいだろう。
シベリア鉄道の時刻はすべてモスクワ時間で管理されている。だから、ハバロフスク8時9分発の列車は、駅の時刻表では夜中の1時9分発と表示されていて、慣れないうちはひどく戸惑うことになる。

このあたりは、同じ2015年に私がサハリンを旅行した時にも感じたことだ。また、ロシア語に関する話もおもしろい。

ノヴォシビルスクという名前は、ノヴォが「新しい」、シビルスクが「シベリアの(町)」という意味だ。人口は約150万人で、モスクワ、サンクトペテルブルクに続くロシア第3の大都会である。
ロシア語由来の単語というと、コンビナート、ペチカ、セイウチなどのほかに、ノルマ、アジト、カンパなど、いかにも社会主義時代のソ連から伝わったであろう単語がいくつもある。
ロシア鉄道のターミナル駅(バグザル)は男性名詞のため、同じ場所であってもロシア鉄道の駅は男性形でキエフスキー、地下鉄の駅(スタンツィーヤ)は女性形でキエフスカヤというように、異なる名前になってしまうのだ。

本書が書かれたのは、ロシアがウクライナに侵攻した2022年2月より前のこと。まえがきに「本書を読んでシベリア鉄道に興味を抱いたら、アフターコロナの旅先の候補のひとつに、ぜひ加えていただきたい」とあるのだが、ちょっと難しい情勢になってしまった。

2022年3月24日、天夢人、2100円。

posted by 松村正直 at 15:37| Comment(0) | シベリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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