短歌を始めたきっかけや大学時代の恩師の言葉、「未来」入会からニュー・ウェーブ流行に対する反応など、40年に及ぶ歌歴を振り返って話をしている。かなり率直な語り口で、とてもおもしろい。
でもこんなふうに文語で短歌を作っとったら、人気歌人にはなれへんやろうなとか、総合誌から注文が来(け)えへんやろうなとか、正直、そんなさもしい思いもしました。
大体僕の体の三〇%ぐらいは岡井さんでできていて、二九%ぐらいが玉城徹で、二九%ぐらいが佐藤佐太郎。そんなくらい影響は大きいです。
やっぱ、佐太郎はわかりやすいんですよ。茂吉の混沌をもうちょっと浄化して精製して、上澄みを取ったようなところがある。佐太郎から茂吉に入っていくと、逆に茂吉の混沌がよく見えるところがあって、そこからやっぱり茂吉の沼に入っていったって感じですね。
「八雁」主催の阿木津英さんもかつて「未来」に所属していたので、「あのころ阿木津さんは、本当に怖くて(笑)」といった話も出てくる。短歌のことだけでなく、結社の歴史や継承といったことも考えさせられた。
2024年1月1日、八雁短歌会、1100円。