詩のカルチャースクールの話も出てくる。
北村は、実作の批評ではできるだけ生徒に喋らせるようにしている。詩をつくるにはまず詩を読む力が必要で、詩を読む力は人の解説を聞いただけでは身につかないと思うからである。
実作指導にあたって北村が気をつけているのは、生徒の詩の言葉にはいっさい手を触れないということである。ここをああしたら、こちらをこうしたら、というようなことはいっさい言わない。それで詩が少しよくなったとしても、その詩は厳密には生徒自身のものではなくなってしまうからだ。あるじからはぐれた言葉ほど淋しいものはない、と北村は考えている。
その通りだよなあと思う一方で、耳が痛い話でもある。短歌のカルチャー講座では、今でも「添削」を求められることが多い。
2007年9月30日、文藝春秋、1800円。